2月18日
早朝の濃い霧が次第に晴れてきて、船の右舷に陸地が見えてきた。
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これぞ南極大陸からおたまじゃくしのしっぽのように伸びる南極半島。その東側、南極海峡を南に下って行く。
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海岸沿いにかろうじて見えるのはアルゼンチンのエスペランザ基地だろう。
やがて停泊したのは上陸予定地、ブラウン・ブラフ。
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名前の通り、750mもの茶色い崖が立ちはだかっているが、その麓にはゴマ粒のようなペンギンたちの姿が見える。
さあ、いよいよ南極半島に上陸だ!と乗客がワクワクしながら待っていると、
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なんと、一度おろしたゴムボートを回収し始めた。
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船の周りを見ると氷の帯がどんどん押し寄せてくる。
停泊しているとこの氷に囲まれて、へたをすると出られなくなってしまうのでこの海域を離れることを船長が決断したのだと言う。
昨年のクリスマスには同じロシアの調査船アカデミック・ソコルスキー号が氷に閉じ込められ、乗客の救助で大騒ぎになったばかり。それもあって慎重になっているのだろう。
そもそもこの南極半島の東側、ウェッデル海は西側に比べて氷が多く、シャクルトンのエンデュアランス号が閉じ込められたのもこの湾のはるか南。安全策を取るにしくはない。
それでは今日はもう上陸はないのかと思っていたら、対岸のジョインビル島に行くことになった。
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半島側がブラウン・ブラフ、赤丸が上陸地のマッダー・クリフ。
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午後2時半からまたボートを下して上陸開始。
と言っても上陸地が狭いので、またクルーズをしながら順番を待つ。
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島に近づくと地面が分厚い雪の層に覆われているのがよくわかる。写真の左下の黒い点が仲間のゴムボート。
海には面白い形の氷塊が浮かび
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水はきれいに透き通っている。
地面の露出しているところにはペンギンがいるが、この島にはジェンツーとアデリーペンギンが同居している。
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浮氷の上にいるのもアデリー。早くこの子たちを近くで見た~い、と思っていると
アザラシの中でも一番凶暴だと言う Leopard Seal(ヒョウアザラシ)発見。
自分が見たときには水から上がって転がっていただけだが、他のボートの人たちはすごい場面に遭遇した。
アイルランド人のグレッグさんから許可をもらったので使わせていただくが
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ヒョウアザラシがペンギンを捕まえて食べているところ。
他のアザラシは魚やイカ、オキアミを主に食べるが、ヒョウアザラシは肉食でペンギンやオットセイの子供を食べる。
目撃者たちによるとこいつは捕まえたペンギンを投げたり離したり、しばらくなぶってから食べちゃったそうだ。まるで猫みたい。
とクルーズを楽しんでいるうちに順番になったので島へ上陸。
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待望のアデリーたちが走り回っていてかわいい~。
アデリーペンギンはジェンツーより少し小さく、タキシードを着ているように白黒で目の周りに白い輪がある姿は一番ペンギンらしい。JRのスイカペンギンもアデリーだ。
一番見たかったペンギンだが、南極大陸にしか住んでいないので初お目見えだし、実はここでしか見ることはできなかった。南極の温暖化がすすんで、寒いところの好きなアデリーはもっと南に移ってしまっているらしい。
島にはヒナから大人になりかけているのがたくさんいるが、頭のてっぺんにだけぽよぽよした毛が残ってモヒカンになっているのがおかしい。ヒレが頭の上まで届かないのでそこだけ残ってしまうのだ。
こちらはジェンツーのヒナたち。
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頭を丸ごと親ののどにつっこんで餌をもらっている。ペンギンの親も大変だ。
とペンギン観察で楽しいマダ-・クリフだったが、ここには問題が一つ。
それはここがとてつもなくくさいこと。
これまでのペンギン・コロニーもそれなりに糞のにおいがしたが、耐えられないと思うほどのところはなかった。
しかしここはものすごくて
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何しろ地面が餌のオキアミの色に染まっているほどで生臭い。
ぬかるんだ地面で転ぶ人までいて、帰ってからも船中ににおいが充満してしばらく大変だった。
かわいいアデリーちゃんは他のペンギンよりくさいのだろうか。
そんなことを思いつつ
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また流氷帯を抜けて島を離れる。
しばらくすると大きな卓状氷山が見えてきた。
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何百年分もの氷の層が見えるこの氷山も、南極では「ベビーサイズ」なんだそうだ。
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今日も一日、楽しかった。
が、アデリーペンギンをもっと見たいという方はこちら↓
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