Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

イランの旅 23 アブヤーネ村

2014-07-31 19:46:12 | 中近東/北アフリカ
5月4日

世界の半分、イスファハンを出発するとまわりの景色は緑もほとんどない半砂漠。
 
そんな中に突如現れる高い山は標高3899mのキャルキャス山。

この山のふもとにあるナタンズという小さな町を過ぎたところで車は幹線を外れ、くねくねとした道を標高を上げていく。
 谷には緑が増えて居心地が良さそう。

やがてナタンズから小一時間ほどで目的地に到着。
 
手前の駐車場で車を降り、門をくぐるとその先がアブヤーネ村だ。

この村は標高2200mにあり、山の中に隠れているからだろう、昔ながらの住居が残り、村人の衣装や言語も他とは異なっていると言うことでイランの国家遺産に登録されている。
村の中に入ると狭い通路に面して並ぶ家々はすべて赤い土壁づくりで
  
 
さらに山の上へつながる階段が見える。
   
    
テラスの付いた家も多く
  
 
窓や扉の形も様々で面白い。
 見通しのきくところから見ると山肌に重なり合うように家が並ぶさまはマシャド郊外のキャン村にちょっと似ている。

しかしキャン村がまさに昔ながらの素朴さだったのに比べて、こちらの家々はあまりにもきれいに修復されすぎている。
 こちらでも修復なのか増築なのか、工事が現在進行中。

聞けばこの村の教育水準は高く、若い人たちはテヘランに出て成功している人が多いので金回りがいいんだそうな。
しかも国家遺産として観光客に人気となり
  村中国内外からのツーリストでいっぱい。 
 
若いお姉さんたちは記念撮影に余念がない。

そんな観光客たちを相手に商売しているのはこの村独特の衣装のおばあちゃんたち。
  
  
花柄の服とスカーフがかわいいのだが、この観光客ずれしたばあさんたちの性格はかわいくなくて、売っている乾燥リンゴなどは高いし、写真集をめくっただけで「いらない」とおいたら、「なんだい、見るだけで買わないのかい。わたしゃ貧乏なんだからこの値段よりもっと高く買え」とどなりまくる。これまでイランでこんなことはなかったのでびっくり。
 少数派のじいちゃんたちも明らかに負けている。

この村もおそらく少し前まではキャン村のような素朴なところだったのだろう。
それが観光客が押し寄せるようになり、被写体となる村人たちに欲が出てこうなってしまい、そうなると村の魅力もなくなる。
観光客とはわがままなものだと思いつつ、
 
村の参拝所からまわりの景色を眺めてアブヤーネ村の観光終了。
正直、ここはわざわざ寄り道をしてまで来る価値はなかったかもしれない。

とナタンズまでまた小一時間かけて戻り、荒涼とした景色の中をカシャーンへ向かってしばらく行くと、「あれ、あれ」と運転手氏が前方を指さす。
なにごとかと見ると、道路脇に高射砲が置かれ、監視塔が並ぶ高い塀に囲まれた広い敷地が現れた。

これがなんと悪名高いイランのウラン濃縮工場。
建物などは全く見えないが、まさかこんな観光客がバンバン通る幹線道路脇にあるとは思ってもいなかったので驚いた。

「車の中からでも写真など決して撮ってはいけない」とガイドブックにあったのでさすがに自粛したが、そんなに内緒にしたいならこんなところに作らなきゃいいのに。
イランは不思議な国だ。


にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランの旅 22 イスファハンのマスジェデ・イマーム

2014-07-28 19:15:31 | 中近東/北アフリカ
5月3日 続き

遅い昼食の後、イマーム広場に面したもう一つの大きなモスク、マスジェデ・イマームへ。

 
広場に面して建つ2本のミナレットを持つ入口の門は30mあり、この上部の鍾乳石飾りは圧巻の細かさ。
  
 重厚な扉のあるこの入り口の建物からもうブルーのタイルの洪水。

広場とメッカの方角の関係から45度曲がったこの入口の建物を抜けると
 正面に大きなドームのある南のイワーン。
  
左右に同じ造りの東西のイワーンがある。

まずは右手にある西のイワーンに入ると
  
 
ここも繊細なブルーのタイルで覆い尽くされている。
 この奥に進むと
 中庭があって、周りを囲む平屋の建物は神学校のもの。
  中庭からは中央の大ドームが良く見える。

その大ドームは内部の高さが36m、外の高さが51mと中空の二重構造になっている。
 
そのためドームの真下に立つと音が反響して小さな声でもよく聞こえる。他の国のモスクでも見たことのある構造だが、音の反響の仕方が好きだ。

 
こちらはまた微妙に模様の違う東のイワーンのドーム。
この奥にもまた神学校があって
 
 
ドームとミナレットをじっくり見ることができる。

ところでおなじみアッバス1世によって創建されたこのモスク、マスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーやマスジェデ・ジャーメに比べるとモザイクタイルが少なく、彩色タイルが多い。
 
これは1611年に建設が始まったものの、なかなかモスクが完成しないと王様がイライラするので少しでも工期を早めようと建築家が工夫して、以来採用されるようになったものだとか。それでもこのモスクの完成には25年もかかっている。

もうタイルはお腹いっぱい、という方も多いだろうが、まだ行けると言う方はこちらへ↓


イスファハンの観光はこれで終了、あとはちょっと買い物に走って、夕食はイスファハンで一番有名らしいこちらのレストランへ。
  階段からして高級っぽい「シェエラザード」
  
内部もステンドグラスがきれいだが、ここも外国人の団体だらけなのは他にあまりチョイスがないので仕方ないのか。

 
野菜たっぷりのスープとご飯はまあ無難な味。
 珍しく魚があったので頼んだこちらのフライは、右はおいしかったが左は川魚らしくちょっと泥臭い。
 羊のケバブはちょっと手の込んだ形で出てきたが、これは塩辛すぎ。
 そしてオムレツのように見えるこちらはイスファハン料理のホレシュテマスト。ヨーグルトと羊肉で作られ、サフランで色づけされているのだが、肉は言われなければわからないほどなめらかにすりつぶされ、味付けはものすごく甘い。料理としてもデザートとしても食べられると言うことだが、味は完全にデザート、しかし食感も味もわからないのになぜ肉が入っているのかが謎。まずいとは言わないが何とも不思議な一皿。
 そんなわけでこの店で一番おいしかったのは食後に出されたギャズ。これまたイスファハン名物のヌガーなのだが、この店のは甘すぎず、歯に付くこともなくてとてもおいしかった。

結局イスファハンで一番おいしかったレストランは泊まっていたホテルの一階ということで灯台下暗し。
イラン一の観光都市イスファハンにはホテルもおいしいレストランも足りない。


にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランの旅 21 イスファハンのバザール

2014-07-26 10:42:20 | 中近東/北アフリカ
5月3日 続き

 見どころ満載だったマスジェデ・ジャーメ。
この周りは1000年も前から続くバザールで、古いアーケードがイマーム広場まで1.7km続いている。

 
こういったバザールでは同業者が固まっているのがお約束。入ってすぐのあたりは衣料品の店が多く
 
派手なドレスの店のお向かいはスーツの店と新婚カップルに便利。
肌を出すドレスもネクタイもご法度のはずだけれど、結婚式だけは特別でOKらしい。
 お子ちゃま用ネクタイを持ったマネキンも大笑い。
 
フレディ・マーキュリーにそっくりなこちらの御仁はつけまつげだ。

 
アーケードには水飲み場があったり、銀行があったり、ちょっと入ると小さなモスクもいっぱい。
  
天井の明り取りから入る光がきれいだが、ぼーっと見とれていると
 忙しい荷車にひかれそうになる。

   
要所要所には美しいドーム天井があり、脇に伸びるきれいな通路沿いにあるのは金の店。

このバザール内に生鮮食品はないが、ドライハーブやスパイスの店がいくつもあって、
   
 
ここで買ったドライレモンとヨーグルト用ハーブはどちらもおいしい!
イラン特産のピスタチオはさすがに高いが、それでも250gで400円ぐらい。

これは屋台で売っていた小さな小さなプラム。とても酸っぱくて同行者には不評だったが、酸っぱいもの好きにはおいしい。
 
売っていたおじさんにカメラを向けたら、そばにいたお客さんに無理やりキス。
イラン人、おちゃめすぎ。

こうしてぶらぶら歩くこと小一時間、イマーム広場脇にあるレストランに到着。
  
 
室内装飾の見事なBastani Traditional Restraunt はガイドブックにもあるような有名店なので2時過ぎでもお客さんでいっぱい。外国人ツアー客だけではなく、イラン人も多いので期待する。
 注文したのは左から羊とプラムの煮込み、ナスの料理、チキンの煮込みだったと思うが、ここも味付けが甘~い。

イスファハンの料理は甘いのが特徴なのだろうか。


にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランの旅 20 イスファハンのマスジェデ・ジャーメ

2014-07-23 18:56:51 | 中近東/北アフリカ
5月3日 続き

ヴァーンク教会の後は川を渡り、バザールの中にあるマスジェデ・ジャーメへ。

  入口はさほど大きくなく、入るとまずは地味な廊下がある。
 ここにある模型で最初にモスクの全体像を確認。
8世紀以降何百年にもわたって増改築を繰り返してきたと言うこのモスクは2万平方メートルもあって、イランでも最大の規模なのだ。

入口の廊下から左手に入ると南側の回廊。
   
たくさんの柱が小さなドームを支えているが、柱の形や模様は少しづつ違い
 天井の模様も様々で渋いが素晴らしい。

  
重厚な石の廊下を通って入るのはネザム・アル・モルクのドーム。ミフラーブに青いタイルがあるだけの地味なドームだが
 中庭に面した入口のしゃれた鍾乳石飾りはモンゴル時代のもの。
  
その下の壁にも繊細な模様のタイルがある。

 次に向かうのが西のイワーン。
  
こちらの装飾は17世紀、サファビー朝時代のもの。
   
その脇の小さな入口を入った部屋にあるミフラーブは一面細かな模様とコーランの文句で覆われている。

さらにこの奥にある部屋に入るとガイドさんが扉を閉めて電灯を消した。
 
冬の祈りの間を照らすほのかな光は天井のアラバスタ―を透かして入ってくる。

  
さらに回って北のイワーンに入ると、正面に2本のミナレットを持つ南のイワーンが見える。
 
またたくさんの柱の間を奥へ進むと
  
広くはないがとても高いタージ・アル・モルクのドーム。このドームは数学的に完璧な設計であるために900年間、数々の地震にもびくともしなかったのだそうだ。

 またぐるっとまわって東のイワーンに入ればこれで一周。

暑くて広くてヘロヘロになるし、イマーム広場のモスクに比べれば地味ではあるが、マスジェデ・ジャーメはやはりイスラム建築の粋。いくら見ても見飽きることがない。

と言うわけで、さらに細部を見たい方はこちら↓



にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランの旅 19 ヴァーンク教会

2014-07-22 16:57:00 | 中近東/北アフリカ
5月3日

イスファハン観光2日目はホテルの目の前のヴァーンク教会からスタート。
ジョルファ地区というこのエリアは17世紀初頭、アッバス一世が商業や工芸に秀でたアルメニア人を移住させたところで、一時期は4,5万人もいたアルメニア人も今では5,000人ほどに減ったものの、現在も教会が13残っているとか。

それらを代表するヴァーンク教会は1655年の創建。
  
高い時計塔の下の門をくぐるとやぐらのような鐘楼があり、
 
その隣の教会にはまるでモスクのような大きなドーム。入口の鍾乳石飾りやタイルもモスクのようだ。

しかし一歩中に入ると
 
内部は金を多用したキリスト教式のフレスコ画でびっしり。
  
 
天使も遊ぶ華やかな装飾だけれど
 
その中にまぎれるイスラム風味も美しい。

 
キリスト降架図や懐胎告知のおなじみの絵の下をくぐって表に出ると
 正面にはアルメニア博物館がある。

2フロアの広い展示室だが、入ってまず目に付くのは
  
オスマントルコによるアルメニア人虐殺に関する展示。
100万人ほども殺されたというこの出来事、イランとは関係がないが、アルメニア人としては絶対に忘れない、というところだろう。

   
他にはアルメニア聖書の写本やら、僧衣やらタイルやら、工芸を得意とするアルメニア人らしい細々としたものがいっぱいで楽しく、
 ペルシャの王たちがアルメニア人に特権を与えた証書などもあって面白い。

日本ではほとんど縁のないアルメニア人だが、トルコやシリア、ミャンマーでもアルメニア教会を見かけて興味があった。
教会の華麗さといい、博物館の内容と言い、ヴァーンク教会は期待以上だった。


にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

巨大かき氷@都立大学「ちもと」

2014-07-18 19:51:41 | 食べ歩き
先日の台湾旅行以来、このところの暑さもあってすっかりかき氷がマイブーム。

そこで本日は去年の夏から気になっていた都立大学のこちらの店へ。
 「ちもと」

これも最近テレビで紹介されて大人気になってしまったという「八雲もち」で有名な和菓子屋さんだが、夏の間だけ食べられるかき氷を求めて行列ができると言う話だったので、おとといから始まったばかりと言うし、平日ならなんとかなるだろうと足を運んでみた。

店の開店は10時とのことなので9時半到着予定がちょっと遅れて9時40分に店の前に到着。
すると  おお、平日でももう並んでるよ。
しかし今日は幸いにして曇天、暑さもひと段落なので並んでいても大丈夫。

やがて10時5分前ほどにお店のお兄さんが登場。並んでいる人の名前をリストに載せ、何時ごろに戻ってきてくださいと教えてくれる。

9時40分に並んだ自分は36番目の客。それでも「12時ちょっと前ぐらいに戻ってください」と思いのほか時間がかかる。

リストに名前を載せてもらったところで別の列に並んで八雲もちを買う。
店に入れば時間がかかる理由も納得、かき氷が食べられるスペースは小さな店の中の壁際一列、4人掛けテーブルが2つ、2人掛けテーブルが一つしかないのだ。

駅前のカフェで時間をつぶし、少し早めの11時半に店の前に戻る。
すると店頭には「本日の八雲もちは終了しました」の張り紙。先に買っておいてよかった~。
やがて思った通り、一人なので相席が一つ空き、早めの11時40分に席に着くことができた。

そして待つこと5分ほど、運ばれてきた「おまかせかき氷」1000円がこちら。
 この写真では大きさが今一つ伝わらないが、下のスプーンはテーブルスプーン。氷の高さは20cmほどもあって、運ばれてくるたびにお客さんからどよめきが起きる。
半分には苦みの効いた抹茶、半分には練乳がかけられているが、どうしたらこんなに美しく半分づつかけられるのだろう。

この氷をこぼさず、かつ大量の氷に表面のシロップを行き渡らせつつ食べるにはどうしたらいいか、と頭をひねりつつ掘り進める。
ちょっとこぼしちゃったけど前側3分の1ほど食べたところで
 餡子とよもぎ餅出現。
氷だけの単調さから救われて、さらに食べすすめると
 出るわ、出るわ、いろいろな甘味が出現して、これが「おまかせ」の所以とか。
入っていたのは粒餡、漉し餡、水ようかん、よもぎ餅、わらび餅、白玉、生麩、寒天、栗の甘露煮、栗の渋皮煮といったところ。これは面白い。

氷はふわふわと細かいのでこめかみが痛くなることもなく、しかし冷たいので咳が出る。
添えられたお茶も冷たいけど、これがしっかりとおいしくて、氷を食べた後にほっとする。

30分近くもかかってようやく食べ終わり、席を立ったらお腹にドーンと来た。
中に入っていた大量の餅類で苦しいこと。

ビジュアルのインパクトはすごいが、相席になったお姉さんが言っていた通り、半分の大きさでちょうど良さそう。
台湾のように連れとシェアという感じではないし、鹿児島の白熊のようにベビーサイズをぜひお願いしたい。

ともあれ、昨夏からの念願を果たせて満足。


にほんブログ村 グルメブログ 東京食べ歩きへ ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランの旅 18 イスファハンの橋

2014-07-17 14:55:52 | 中近東/北アフリカ
5月2日 続き

陽も傾いてきた頃合いにまたホテルを出発。
ザクロジュースを飲みに行きましょう、とイマーム広場近くの有名らしいジュース屋に行くが、ザクロはシーズンじゃないのでないとのこと。
我らがガイドさん、いろいろと気を使ってはくれるのだが、いまいち詰めが甘い。

それではチャイハネに行きましょう、とイマーム広場を通ると
 
暑い昼間よりも人出が増えて、芝生ではピクニックをしている人たちもいっぱい。
このイラン人のピクニック、シラーズでは夜中にも見たが、座り込めるところがあればどこででも見られて
 これなどはなんと交通量の多いロータリーの真ん中。
なにも排気ガスを吸いながらピクニックすることもないだろう、と日本人は思ってしまう。

さて、案内されたチャイハネはバザールのアーケードを出たすぐのところにあるこちら。
 
この看板の下をくぐると
 
通路にはがらくたっぽい古道具があふれ、店内も骨董っぽいランプ類でいっぱい。

この店、入ってすぐの部屋は地元の男性ばかりが水タバコをふかしており、案内された奥の部屋には女性も含めた外国人ツーリストがたくさんいる。
チャイハネと言えば中央アジアのように庭の高台に座ってお茶を飲むところだと思っていたのだが、こういう穴倉のようなところでタバコを吸うのもチャイハネ、ただしこちらは普通女性は来ないのだそうだ。ここはツーリストのために部屋を分けていて、ジモティー専用部屋の方は写真撮影禁止になっていた。

  そんなわけで、健全部屋の方でガイドさんにお茶を淹れてもらい、シロップ漬けの甘~いお菓子を食べながら一服。
でも確かにこの穴倉より外のピクニックの方が気持ちよさそうだ。

チャイハネでおなかがたぽたぽになるまでお茶をいただいたが、まだ外は明るい。
イスファハン一の繁華街を歩くと
 
持ち帰り専門の店はハリームだったかな、ベリヤニも店先で焼いている専門店の方がおいしそう。

 ショッピングモールではセール中のスカーフの店に引っかかる。
イランのスカーフ屋さんは当然ながら品数豊富で、日本でも使えるものがいっぱいでお安いのだ。

と遊んでいるうちにようやく暗くなってきたので、橋の見学のためにザーヤンデ川へ。

まずは1602年完成のスィー・オ・セ橋。
 
長さが300mもあって、ライトアップされたアーチがとてもきれい。
下段のアーチの下は本来なら水が流れているはずなのだが、この数年来、降雨量の減少と上流のダムのせいで川に水があることの方が珍しくなってしまったとかでこの時もカラカラ。
ガイドブックに良く出ていた橋のたもとのチャイハネも最近なくなってしまったそう。

 
それでも橋の上は散歩をしたり、座っておしゃべりをしたりする人で大にぎわい。
橋の上部はてっきり屋根が付いているのだと思っていたが、上はオープンで、両脇の壁のアーチはところどころ外へ開かれている。
  意外に複雑な造りで面白い。

ここから1.5キロ離れたところにあるのは1666年完成のハージュー橋。
 
こちらは130mほどと少し短いが、上下段とも歩いて渡ることができ
 
中央には豪華な王様専用のテラスもある。
 
下部はダムの役目も果たすように作られているそうだが、川はご覧の状態。

 
この橋の下段には柱の間に座り込めるスペースがあって、ここでもやっぱりピクニック。
イラン人、どれだけピクニックが好きなんだか。

ザーヤンデ川を行ったり来たりしているうちにすっかり夜も更けたが、食事をまだしていない。
いい加減おなかも空いたのでホテルのすぐ裏手にある通りへ。
 
こんな店がいくつも並んでいるこの通りを我々は「チキン・ストリート」と命名した。

  その中でもおいしそうなチキンがグルグル回っているこちらの店で
 
ハーフチキンを所望。我らがドライバー氏もテイクアウトしていたここのチキンは皮もパリッとおいしかった。

 さらに隣のかわいいジュース屋さんで
 
マシャドですっかり気に入ったマージュン
を注文。ここのは前のものほどチョコレートやゴマが入っていないが、その分ナッツとココナッツがたっぷり。
食事が一人あたま60,000リアルだったのにこの一杯は100,000リアル(約300円)とやっぱりお高いが、大満足のプチ贅沢。
もう夜中なのに。


にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランの旅 17 チェヘル・ソトゥーン宮殿

2014-07-16 18:08:00 | 中近東/北アフリカ
5月2日 続き

マスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーを堪能した後はイマーム広場を出て、道一本隔ててアリ・ガープ宮殿の裏にあるチェヘル・ソトゥーン宮殿へ。
  
入口を入ると大きな池があり、その向こうに背の高い柱が印象的な宮殿がある。
1648年、アッバス2世が迎賓館として建てた宮殿だが、現在の建物は1706年に火事の後で再建したものだそうだ。

   
柱は全部で20本だが、池に映る柱を合わせて「40本の柱」が宮殿の名前とか。
このテラスの天井も象嵌細工が見事。天井の中央と正面入り口の上部には鏡がはめ込まれ
 窓の透かし彫りもすばらしい繊細さ。

そして中に入ると
 
内部の壁は鮮やかなフレスコ画で埋め尽くされている。
 
上部の大きな縦型の絵は戦争の画面、横長の絵は宮廷の宴会場面になっていて
 その下には小さなミニアチュールの絵が並ぶ。 
 
これらの絵はサファビー朝時代から様式の変化があり、さらにその後の加筆や修復で様々な手が入っているので一様ではなく面白い。本格的な修復はパーレビ1世の時代から始まったそうだが、イラン革命後もこれが維持されているのは幸い。
イスラムでは人物画を否定するところが多いようだが、さすがペルシャは違うのだろうか。

午前中から素晴らしい建築を3つも見てさすがに少し疲れた。
ここで昼食休憩、とガイドさんが連れて行ってくれたのはイマーム広場のバザールをちょっと入った所。
  
建物の外階段を2階に上がったところにある Naqsh-e Jahan Traditional Banquet Hall。
  
  
ステンドグラスを多用した室内がとてもきれいだ。

 せっかくなのでイスファハンらしいものを、と注文したお料理。
 まずはベリヤニ。インドのビリヤニに名前が似ているが全くの別物。羊の肉と内臓を細かいミンチにして調理し、パンにくるんで食べる料理だが、肉と内臓のミックスにして口に入れるとコクがあっておいしい。
  
シチューのような一皿は羊肉のザクロソース煮込み、なすとブドウの葉包みの料理はトルコなどと同様のドルマだが、これもザクロジュースが使われていてかなり甘い、というか甘すぎる。
 これはケバブだったはずだが味の印象はなし。

インテリアが素敵なレストランだが、お料理の方は正直たいしたことはない。

お腹が膨れた後はぶらぶらとイマーム広場を囲む店など覗いてみる。
   
アーケードには真鍮の道具屋さんがあったり
 
タイルや七宝の店があったり
 
版木が美しくディスプレイされたブロックプリントのお店も素敵だ。
購買意欲をそそられるが、昼休みで閉ざされた店が多かったのは幸いだったかも。

ここで一休みのために一度ホテルに戻ると、なんと部屋を変われと言う。
昨晩の大きな部屋は特別だったようで
 
今度の部屋は何の変哲もない狭いツイン。ちぇ~、窓からはアルメニア教会が見えて景色は前よりいいけど。

気を取り直してちょっと外へ散歩。
 
発見したイタリアン・ジェラートの店は中に入ると奥にサフランアイスのフリーザーがあって、これが本物のサフラン使用、ピスタチオごろごろでうまい!しかもアイスとメロンジュースでたったの120円、お姉さんも親切で感激。

すっかり機嫌も直った(単純)ところで、また観光に出かけよう。


にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「大いなる沈黙へ」見てかき氷@神保町

2014-07-14 20:37:46 | 機内食・映画・美術展
新聞の記事を見て興味を持ち、神保町の岩波ホールへ足を運んだ。

 「大いなる沈黙へ―グランド・シャルトルーズ修道院」 Die Grosse Stille

フランス・アルプス山中にある修道院の生活を追ったドキュメンタリーで上映時間2時間50分。音楽もナレーションも一切ない映画ということなのでどうせガラガラだろう、と行ってみてびっくり。
月曜の午前中というのに上映開始30分前のチケット売り場に行列。「席はもう前の方しかありません」、とあとちょっと遅かったら定員制の映画館なので午後の回に回されるところだった。
お客さんの90%はシニアの皆さん。そのパワー、すごいな。

この映画の監督はドイツ人で、修道院に撮影許可を申請したのが1984年、それから16年して突然撮影OKとなり、6か月間修道院に泊まりこんで、映画が完成したのがそれから5年後というから、修道院内の時間の流れがそのまま映画製作にも反映しているかのようだ。

映画そのものもひたすら修道院での生活と周囲の景観を追いかけ、修道僧のたてる物音と讃美歌以外にほとんど音はない。照明も使っていないので暗い場面が多く、画質が荒い場面も多いのはハンディビデオでも使ったのかと思うが、明るい野外でも荒い画面があるのは演出かもしれない。
いささか冗長に思える部分もあって、刈り込めば2時間ぐらいにはなると思うのだが、見終わるとこの冗長さも修道院での生活の追体験として必要なのかもしれないと思う。

舞台となっている修道院はカルトジオ会というカソリックの中でもマイナーな一派で、特に厳格な戒律を守っているとのこと。映画を見ていると、おお、「修道士カドフェル」や「大聖堂」の世界そのままだ(自分の修道院に関する知識は所詮その程度)と思うが、日曜の昼以外は食事も個室で各々摂るし、日曜の午後以外は会話も禁止というから確かに厳しい。
特に食事は各個室の小窓からインドの弁当箱のような容器に入れて配られて、まるで刑務所の独房のよう。

その個室は4畳半ほどの広さで、中には藁布団のベッドと机が一つ、あとは祈りのためのベンチがあるだけで、一日3回の礼拝堂での祈祷と日常の労働の他は、ほとんどの時間をここで一人で過ごすのだそうだ。

修道僧の数は20人ちょっと、ほとんどは老人だが、中には20代か30代前半と思しき人もいて、映画の最初の方で新人も二人入会する。ひたすら黙祷を続けるこの人たちが何を思って修道院に入ったのか、この映画では一切の説明がないがそれがいい。

禁欲とは全く無縁の生活をしているくせに、あるいはそのせいか、こういった修道会や禅寺のような生活にはちょっと憧れを感じてしまう。余計なことを考えないシンプルな生活ってすてき、てなところだが、実際には神や仏への信心がなければ耐えられない生活だろうか。
一方では自分一人の解脱に何の意味があるのか、衆生を救ってこその宗教じゃないのか、とも思うし。

ともかく2時間50分、ゆったりと修道院の空気に浸り、ドイツ人らしいくそまじめな描写に退屈するかと思ったが以外にも眠くもならなかった。
得難い経験ができた2時間50分と言うべきか。


そんな映画を見ながらもやはり禁欲的にはならなくて、映画館から出た途端に
 新世界菜館でワンタンメンをいただいて

さらに白山通りからこの看板の所でまがって
 
「なごかふぇ」へ。
本来は沖縄料理の店だが、夏のカフェタイムは看板の通りかき氷があると言うことなので
 
アボカドぜんざい、700円。
かき氷にアボカドってどうよ、といささか疑問に思いつつも面白いので頼んでみたが、砂糖を加えて練られた思しきアボカドはカスタードクリームのようで、思いのほかフルーティーさもあっておいしい。さらに氷を掘り進むと黒糖シロップが現れ、底には甘い金時豆と白玉。沖縄のぜんざいは小豆ではなく金時豆なのだそうだが、これも甘すぎずにたいへん結構。

神保町の楽しみがまた増えたかも。


にほんブログ村 グルメブログ 東京食べ歩きへ ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランの旅 16 イスファハン、イマーム広場

2014-07-13 19:24:08 | 中近東/北アフリカ
5月2日

いよいよイラン観光のハイライト、イスファハンである。

 少し早めの8時半に出発、ホテルのあるアルメニア地区からザーヤンデ川を渡ると大通りは中央が緑の遊歩道になっている。

車を降りてイマーム広場へ。

まだ観光客の姿もまばらな広場はさすがに広い!

目立つのは大きなドームのモスクだが、まずは左手のアリ・ガープ宮殿へ。
 
ここは16世紀末、イスファハンに遷都したサファビー朝のアッバス1世が建てた宮殿。
 地味な入口から入ると 
 
1階はこれまた彩色が褪せて地味ながら、繊細な装飾で早速趣味の良さがうかがえる。

   
途中階の部屋の装飾は19世紀以降に破壊されてしまったとのことだが、階段まで美しいタイル張り。
これを上がって行くと大きなテラスに出る。
 ここから広場を一望できるのだが

現在テラスを修復中のため、正面は足場で視界を遮られてしまう。
それでもここから眺めれば、左手にマスジェデ・イマーム、正面にマスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーが見えて広場の大きさが改めて実感できる。

 
木造のテラスの天井も精緻な模様で彩られ
  壁には優雅な美女たちがいる。
 
テラスに続く部屋の装飾も優美だ。

そしてこの上の階にあるのが有名な音楽室。
  
  
 
壁や天井に無数につぼ型の穴があけられているが、これは雑音を吸収し楽器の音を際立たせるための工夫なのだそう。
同じような装飾はアンベール城など、インドのムガール建築でよく見かけるが、こちらペルシャがオリジナルだ。

最初の建物からもう興奮しきりだが
 広場中央の噴水をまわり
 
次はお向かいのマスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーへ。モスクへの入り口は正面、両脇にはバザールが続いている。

 
入口の見事な鍾乳石飾りをくぐると
 
天井が低く華やかな廊下が途中で折れ、そこを抜けると 

圧巻の空間。

 
この洗練された美しさには息をのむしかない。

正方形の室内は正面にミフラーブがあるのみでからっぽだが、まわりを覆い尽くすタイルはとにかく精緻の一言。
   
 
壁の下部こそ彩色タイルだが、ドームも含めた上部はすべてモザイクタイルで、これもアッバス1世建造のこのモスクは完成まで17年かかったとか。

彩色タイルもトルコとは違った華やかさで、さすがペルシャ!
ということでタイルをもっと見たい方はこちら。


しかしイスファハン観光はまだ始まったばかり。


にほんブログ村 旅行ブログへ  ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする