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落下の王国 (映画)

2008年07月27日 | 映画
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映画落下の王国

最近はインドの人々の羽振りがよいらしい。そういえば海外旅行の観光地でインド人家族やカップルの姿をよく目にするようになった。IT産業といえばインドという構図から、さらに産業が広がっているという。
朝、ジェネリック薬品の売り込みに日本へ、というTVの1コマがあった。

さて、映画界ではどうか。やはり、現在「ハプニング」が公開中の「シックスセンス」を撮ったN.シャマラン監督が皆さん思い浮かぶのではないか。確かに彼は作品もコンスタントに作っているので、忘れられることはないだろう。

しかし、私はこの「落下の王国」を撮ったターセム監督が、「ザ・セル」からいつ次回作を作るのだろうと気になっていた。「ザ・セル」は評価が2分されたが、この映像的センスは映画でしかなしえないことで、個人的には評価が高かった。

確かに、J・ロペスの演じる心理学者を主人公に犯人の思考を探るという内容は、「羊たちの沈黙」のヒット以来、猫も杓子もという感じだったが、相手の心理に入ったときの映像、例えば一面の砂漠に白い羽をたくさんあしらったドレスの主人公のシーンや、相手の心の中に囚われてしまったときのシーン、ラスト近くの聖母を模した主人公の周りに、金装飾の草が蒔絵のように画面に描かれていくシーンなど、アート系の人でないと考えつかないだろうシーンがふんだんに盛り込まれていて魅了された。

その一端を担ったのが「石岡瑛子」の舞台衣装だ。同部門のアカデミー受賞者でもある石岡は、今回の「落下の王国」でもその才能をあますところなく発揮している。
今回も、現実と空想の2世界のうち、おとぎ話風に語られる空想の中の戦士たちのコスチューム(特に昆虫学者ダーウィンの蝶をまとったようなオーバーコートがいい)や、姫の東洋風の仮面などは秀逸だ。
そして、バリやフィジーのコバルトブルーの海をはじめ、CGに頼らず、世界24カ国以上、13の世界遺産を含む美しいロケーションを背景に、4年の歳月をかけて撮った映像が架空の物語を盛り上げる。
となると、対比される現実世界の話が弱いというか浅い気がしてくる。ただ、実際現実に起こる事とはこんなものなのだろうとも思うが。

あと、監督のスタントマンへのオマージュも見て取れる。
MOMAでアートを楽しむという感覚で観れる方にオススメの1本だ。

<ストーリー>
夜明けの来ない夜はない それは、落ちてはじまる物語
時は1915年。映画の撮影中、橋から落ちて大怪我を負い、病室のベッドに横たわるスタントマンのロイは、追い討ちをかけるように、私生活でも恋人を主演俳優に奪われ、自暴自棄になっていた。そこに現れたのが、オレンジの樹から落ち、腕を骨折して入院していた5才の少女・アレクサンドリア。ロイは動けない自分に代わって、自殺するための薬を薬剤室から盗んで来させるべく、純真無垢な彼女を利用することを計画。アレクサンドリアの気を引こうと、思いつきの冒険物語を聞かせ始める。
それは6人の勇者が世界を駆け巡り、悪に立ち向かう【愛と復讐の叙事詩】―。
めくるめく物語に魅了され、話の続きをせがむアレクサンドリア。その一方で、希望を失ったままのロイは遂に...。


「落下の王国」原題: THE FALL 上映時間: 118分
9月 シネスイッチ銀座渋谷アミューズCQN新宿バルト他全国順次公開

  








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