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パレード (映画)

2010年02月27日 | 映画
              © 2010 映画『パレード』製作委員会

映画「パレード

ルームシェアする4人の若者のもとに、一人の風来坊がやってきたことで、はじめはお気楽に見えた彼らの共同生活から、じわじわとそれぞれの持つ心の闇があぶり出されていく・・・。という印象のこの一作。

芥川賞作家の吉田修一「パレード」(この作品は山本周五郎賞)を原作に、行定勲監督が撮ったということで、会場は満員、遅い人はお断りの大盛況。それだけマスコミの期待は大きいが、一般にはいかに?!

設定が、まあ小説だなー、という感じがプンプン。気楽な大学生はバイトと仕送りだろうとか、大手映画会社社員がシェアしていて現実味ないとか、営業しないのにイラスト収入だけで毎日飲み歩く収入があるはずないとか、スターになった恋人をひたすら待って仕事をしてないとか、どうもルームシェアして家賃が安いからって、絵空事っぽくってイカン。

でもそんなこと、本題には関係ないといわれればそれまで。
個人的には期待せず観たら、ダークな感じに片足取られてズルズルと深みにはまって、最後にヒヤリ。悪くないテイストです。

知らないうちにこの部屋に現れた林 遣都扮するゲイの青年サトルが出てくるところから、話が段々ダークな方に展開していきます。なかなか存在感アリのこの俳優・林 遣都といえば、「バッテリー」とか、「風が強く吹いている」とか、スポーツ系の純なさわやか青年という役どころが印象的なのに、今回は180度違う。
見た目のブリーチ具合だけでなく、人の心をかく乱していきながら相手を惹きつける、男小悪魔を演じ切っている。全身ヌードにも挑戦しているし、汚い言葉が口から出るのも「!」と感じるほどイメチェンなのだ。

もう一人、演技がツボに入っているのが貫地谷しほり。鈍臭く、普段はスウェット上下にポシェツト、恋人からの呼び出し電話を待つ女の子が妙にはまっていた。そして最後は妙に頑固。
昔、彼女を取材したことがあるが、真面目な方で、今回も演技プランを練ったのではないかなと思われますな。

残念なのは、地域で起こるある事件があるんだけど、その犯人がいかにもなこと。それを演じている彼も(ネダばれになるので伏せますが)、最近そういう役の色が付いてきた感じがして、せっかく実力があるのに残念な気がします。

あと、大学生を誘惑する先輩の彼女はどうみても子どもにしか見えないのが残念。昔の加賀まりこ太地喜和子とは言わないが、もう少しなんとかならなかったのでしょうか。

純愛でも歴史骨太作品とも違う行定さんの新作は吉とでるか凶と出るか…。

監督:行定勲 出演:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介
2010年春、渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国にてロードショー
公式ホームページ http://www.parade-movie.com/



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快挙 寺島しのぶ

2010年02月22日 | 映画
もう各ニュースでご存知の方も多いでしょうが、女優の寺島しのぶさんがベルリン国際映画祭で主演女優賞(映画「キャタピラー」)を受賞しました。
昔、TVの某不倫ドラマで主演カップル(布施博と酒井美紀)を食ってしまった演技以来、スゴイなーと思っていましたから納得。

彼女の演技というと「赤目四十八滝心中未遂」が代表作でこれもおすすめですが、個人的には「ヴァイブレータ」もラストに「ミイラとりがミイラに…」という感じがよく出てて、これもなかなかです。

人間失格」が観たくなったなー。



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