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アクトレス~女たちの舞台~ (映画)

2015年09月27日 | 映画
映画「アクトレス~女たちの舞台」

ジュリエット・ビノシュ主演のこの映画。タイトル通り、ある有名女優をめぐる物語といったところか。
まずは、ある賞を受賞した作家の代わりに、授賞式の行われるスイスのある地に向かう有名女優の姿から始まる。彼女は若い頃、この作家の作品で主役を演じたことにより、今の大女優の地位があるということが分かってくる。その作品そしてタイトル名が、今回のキーワードになっている。

前半は、その作品を何十年ぶりに演じてほしいと若い演出家から懇願され、悩む女優の姿が描かれる。悩みのもとは、若い頃に自分が演じた主人公役ではなく、現在の年相応の年配の会社社長役。主人公役は奔放で魅力のある役どころ。それに対し、オファーされた役は主人公に翻弄される普通の中年女だということ。

そこに若い秘書が、今回主人公役をオファーされている新進女優についての破天荒な私生活と、対する演技を大女優にぶつけ、刺激を与える。
若い秘書とのその舞台の練習シーンが始まる。徐々に劇の練習か、現実に本音をぶつけ合っているのか、段々その差が見えなくなってくる構成が上手い。

前半の最後、2人が川か湖で水遊びをするシーンがある。ここでジュリエット・ビノシュが一糸まとわぬ姿になるのだが、それはもうアクトレスと言うより、でっぷりと体がたるんだおばさん。「キャー大胆」とか、「セクシー」などとは全然頭に浮かばない。温泉場のおばちゃんの体といったらいいだろうか。

それが後半、ガラッと変わる。髪をショートカットにして、パンツスーツを着こなしたジュリエット・ビノシュはまるで前半とは別人のよう。絞り込んだ体型や洋服、立ち居振る舞いはマニッシュで中性的な魅力が漂う。
すでに、劇は初日を迎えるところらしい。

最後に観終わって、凝った構成なのだなと分かる。そして、アクトレスというテーマを様々な工夫をして見せてくれた映画だと思う。
芝居好きとしてはとても興味深く、面白く観た。


監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ
2014年/フランス・スイス・ドイツ・アメリカ・ベルギー/124分/DCP/シネスコ/5.1ch
配給:トランスフォーマー
2015年秋、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
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