をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

東京都写真美術館「旅」

2009年11月16日 | アート
仕事帰りにおすすめなのが、夜も開館している美術館。
木・金曜日に時間を延長して20:00までやっているのが東京都写真美術館
わしも先週行ってきたぜい。

今開催しているのが「旅」をモチーフにした写真展。
木村伊兵衛とか、森山大道とか、白川義員とか、並河万里とか、私のようなしろうとでも名前の聞いたことがあるカメラマンの皆様の作品を集めた展覧会で、イタリアやフランス、アメリカ、中国、ヒマラヤ…などなどの旅の彷徨が写真という形で切り取られている。特に殆ど白黒写真なのが趣がある。
面白かった。

観終わったら1Fのショップとカフェで一休み。
そして外へ出ると、恵比寿ガーデンプレイスのイルミネーションが一際美しく迎えてくれる。豪華なシャンデリアと階段沿いの木々のイルミネーションが瞬いており一見の価値有り。

あとは恵比寿のこじゃれた店に落ち着くもよし、帰路を急ぐもよし、といったところか。



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副王家の一族 (映画)

2009年11月14日 | 映画
© 2007: Jean Vigo Italia, RAI CINEMA Spa, RAI FICTION Spa, Isitut del Cinema Catala;

映画「副王家の一族

舞台は19世紀半ばのイタリア統一前夜、シチリア名門貴族の一族の盛衰を描いた作品。
まず「副王家」ってなんぞや、というと、まだスペイン・ブルボン王朝の支配下にあったイタリアで、国王の代理を務める行政官のこと。まー、地方をつかさどるお代官様みたいなもんですな。

ここの名門貴族の跡取りに生まれたのが主人公のコンサルヴォ。おぼっちゃんだからさぞや優雅な暮らしと思いきや、映画の冒頭からおしおきシーン。
そう、一族の長であり父親のジャコモはとても厳しく、政治的にも狡猾で権力欲の権化のような人だった。なんてったって、兄弟を追放し相続を我が物にし、妹の結婚には「身分が違う」といって猛反対するのだ。
もちろんコンサルヴォも修道院へ入れられてしまう。ただ、この修道院も腐敗の限り。

そんな中、イタリアには時代の波が訪れていて、イタリア統一を掲げるガリバルディ率いる赤シャツ隊がシチリアにもやってくる。映画の中でブルボンの騎兵が倒されるシーンが象徴的だ。
同時にコンサルヴォも修道院を抜け、家へ戻るが、いまだ父の横暴さは続いており、母が病気で死ぬとすぐ遠縁の女性を継母に迎え、妹は公爵家の次男と恋仲であるのに、長男と無理矢理結婚させるなどやりたい放題。コンサルヴォは父と益々対立を深めていくのだ。

内容的にヴィスコンティの「山猫」と比較されるかもしれないが、あちらが荘厳耽美なにおいがしていたのに比べ、こちらはなんだか力とか欲とかが等身大で、ときには滑稽な感じさえする場面もある。
俳優陣も「山猫」はドロンやカルディナーレと美形だったが、こちらは主人公は宍戸開に似てるし、父の妹もハリー・ポッターに出てくる魔法使いみたいな感じなのである。だからこそ、生身のイメージが伝わってくるとも言える。

あれだけ反発しながらもラストはそれ以上の怪物になってしまった主人公の最後の独白がそれを象徴しているように感じた。

<ストーリー>
フェデリコ・デ・ロベルトの古典小説『副王たち(I vicerè)』の原作を、イタリアのネオ・レジスタ(新しい監督群)の代表格、ロベルト・ファエンツァが映画化。
舞台は、ブルボン王朝支配下のイタリア統一を目前に控えた19世紀半ばのシチリア。スペイン副王の末裔であり、名門貴族であるウツェダ家。絶大なる権力を持つ極めて封建的な父ジャコモと、嫡男のコンサルヴォは激しく対立していた。自己の利益と意のままに振る舞う父に、コンサルヴォは憎悪ともいえる感情を募らせていく―。

監督:ロベルト・ファエンツァ
原作:フェデリコ・デ・ロベルト『副王たち(I vicerè)』
出演:アレッサンドロ・プレッツィオージ ランド・ブッツァンカ
    クリスティーナ・カポトンディ グイド・カプリーノ
2007年/イタリア・スペイン/122分

BUNKAMURA ル・シネマでロードショー中



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イースタン・プレイ (映画)

2009年11月07日 | 映画
映画「イースタン・プレイ

ほんの少し休みがとれ、白川郷やら高山やら金沢やらを旅しておりました。
美しい紅葉の思い出を胸に、帰ってからの仕事漬けの日々の中で初雪とのニュースを聞き、季節の変わり目は目まぐるしく早いものだなーと感じました。

さて、東京国際映画祭のグランプリを観ず旅立ったのですが、さくらグランプリは「イースタン・プレイ」だったそうですね。
これは今回の映画祭で観た中でも心に残った映画だったので納得。

ストーリーは、ブルガリアの社会問題、低所得者層とその若者世代の不満、不満のはけ口が人種差別につながり、ネガティブな若者の動きを利用する政治家がいるという大きな話が、ある兄と弟のとった行動から徐々に見え始めて行きます。
起点となるのがトルコ人観光客の一家。彼らが襲われるところから物語りは展開、襲った側の弟と助けた側の兄、そして襲われた家族の娘の3人が、その事件からどう関わり歩んでいくかが描かれます。

ブルガリアというと、ヨーグルトやバラの産地、あるいは力士の琴欧州の故郷として、のどかなイメージがあっただけに少し驚きましたが、やはり欧州は移民の問題や失業者の問題など色々あるだけに、どの国でもこういった暗部は抱えているのだなと思いました。ユーロに入る前のチェコを旅したことがあるのですが、感じが似ているなとも思いましたね。
だから弟も確固たる思想とか考えがあるわけでなく悪い仲間に入っていく。これがコワイ。でも、兄さんという対話できる相手がいるのが救いでした。

もちろん兄さんだって、元アルコール依存症で、今はそれを断つため病院通い。実はいいアーティストだが恵まれず、今は木工所で働いている。けれど自宅で製作しているこのアートがいい。そしてそれを作っていく信念を捨てない兄の生き方がいいんです。

この兄さんに助けられてお互いに距離が深まっていくのが旅行者の娘。結局、暴力を受けた親は、一部の若者のせいでブルガリア人皆が悪人とみなすようになるが、娘はそうではないと受けとめる。悲恋には終わるが最後には自立した人生を歩む女性となっていくのであろうと思わせます。

この映画を支えているのはストーリーもですが、兄さん役のフリスト・フリストフという役者の持つ雰囲気や芝居が魅力的で、エンドロールに流れる彼への追悼を読み、とても残念に感じました。この人なくては最後に描かれる希望もそらぞらしいものになったかもしれません。(最優秀男優賞も彼に決まったそうです。これも納得。)

ロードショーになったらぜひ観てもらいたい映画の1本です。

「イースタン・プレイ」
監督:カメン・カレフ
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