をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

老後の資金がありません

2023年02月11日 | 芝居小屋
老後の資金がありません (新橋演舞場)

小説をもとに映画にもなった本作。
今回は、映画版のスラっとした天海祐希とは違い、庶民的な渡辺えりが主役。
マイクがあるとはいえ、渡辺えりは声量と活舌が良く、とてもセリフが聞きやすい。さすがだ。
そして、準主役に室井滋ときては、芸達者の競演というほかない。周囲の演者も、羽場裕一、宇梶剛士、長谷川稀世など、上手な俳優が脇を固めている。

今回のチケット、昨年末の商店街の福引で当たったのだが、海外旅行やテレビよりも当たって良かった。
喜劇で明るく楽しい内容だし、演技の合間に歌って踊ってで華やか。
しかも、終活の知識まで身に着いたりして。
後半は、高齢者問題も絡めながら、楽しく明るい大団円に。
カーテンコールも応えてくれました。

ちょうど席は1階でこそないが2階の1番前で観やすく、このご時世の上でも密集していなくてよかった。
満足な舞台だった。
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藤山寛美追善公演と藤山直美

2022年07月02日 | 芝居小屋
藤山寛美追善公演

藤山直美さんの出ている朝ドラ「芋たこなんきん」が再放送されていて、田辺聖子をモデルとした花岡まち子役を好演しているので、ぜひ見たいと思い、舞台を探したら、新橋演舞場で公演があるとのこと。
お父さんである藤山寛美さんの追善公演で、ゆかりの作品を演じるというので、チケットを取った。

劇場内も、寛美の舞台写真や、当たり役の衣装の展示などにぎやかだ。観客も、周囲はそこそこ満員だった。

さて、始まると、松竹新喜劇の人情あふれる劇が第1部だった。いつ出るのかと思ったが、これには出ないらしい。ちょっとがっかり。
でも、松竹新喜劇は品のある人情物がよかった(吉本ではない)。新派ゆかりということから、なるほどと思う。

2部は、映像で寛美の芸をおさらい。映像なのに、笑いが起きるのはすごい。

3部は、やっと直美が出てきた。寛美の当たり役を、女性に置き換えて熱演。
笑いもあるが、最後はホロリな内容(後方の人が鼻をすすっていたのだが、泣いていたのだと思いたい)。

そのあとに、直美の口上があり、これが真骨頂発揮で笑えた。今回で寛美の追善は終了とのこと。
どちらかというと、それがいいかも。
ご自身主体の芝居を見てみたいなと思います。


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唐十郎 紅テント「ひやりん児」 (芝居)

2011年05月29日 | 芝居小屋
お久しぶりです。今日の午後、台風は温帯低気圧に変わったそうです。とはいえ、外出していたら結構雨足が強かったので、まだ風雨とも注意が必要なようですね。


さて、ちょっと前になりますが、5月中旬に、唐十郎率いる唐組の芝居「ひやりん児(ひやりんこ)」という、へんてこりんな題名の芝居を観て来ました。
場所は花園神社や鬼子母神境内でなく、明治大学のひだまり広場にテントをしつらえて行われましたのさ。唐さんがOBということが関係しているのでしょう。
もちろん地面はでこぼこの上にござを敷いてで、他の上演地となんら変わりありまへん。ただ、大学OBか師弟の親御さんなのか、着飾った年配の方がおり、地べたに座るにはどうかな~といった感じの方もおりました。

さて、整理番号順に靴袋をもらって靴下になり、ござのどこでも好きな場所へどうぞとのことで、丁度窪みになってて背中に石がある場所をゲット。持参したサッカー観戦用の座布団(昔マリノス戦でもらったウレタンの)を置き、準備万端。

実はこの芝居、水戸芸術館(地震の時、ニュースで水戸が映ると、高ーい塔のようなものが見えるところにある)で上演されるはずだったのが、東日本大震災で中止となり、「お見舞い公演」として、大阪と東京へ会場を移して行うことになったとのこと。

さて、神主張りに大幣を持った先触れの演者が観客の間に立ち、今回の震災を踏まえて、テントなので入り口だけでなく左右あちこちから避難できると口上を述べた後、いよいよ開幕!

話は「豆腐売り」の青年ひやりん児を中心に、唐が演じる風来坊の兄貴分や、ルビーを巡る男女の争奪戦のような内容。
主人公はガラス張りに水を張った水槽のようなリヤカーに豆腐を1丁入れて彷徨している。
それに絡む男女が、あまり上手とは言えない歌をところどころで歌い、へんてこりんな雰囲気をかもし出すのだ。
物語中盤では唐が登場。往年のファンからも若いファンからも歓声が上がる。

ラスト近くには、唐が熱湯風呂に入るたけし軍団のように水槽リヤカーの中へ潜り、豆腐をこなごなにしてしまうのだ。
なんとメチャクチャ&痛快で大笑い!
そしてラストはおきまりの、背景がバーンと倒れて、本当にそこにある風景の中へ主人公が去っていくという形。

上演後はなんかほのぼのした感じがしましたねー。

その後は、特別にアフタートークが行われました。これはホント面白かった。
大学の学長さんの挨拶の後、
唐さんと、文化人類学者の中沢新一、あと編集者の人と大学の教授の4人でいろいろ語りあったのですが、何かと中沢さんは東日本大震災と原発事故に絡めて語りたがり、豆腐はまさにプルプル震えている日本だとか、3台のスクリューは1~3号機を連想させるとか、最後にはあまりにこじつけなこと言ったので、皆が「そ、それは考えすぎでは」みたいな場面も。
でも、実際は震災前に作られた台本ですが、そうやって見ればそう見えないこともないという部分はあります。

それより、唐さんの東北との縁の話が興味深く、戦中は福島に疎開されていたそう。また、寺山修司とも芝居を通じて縁深いため、後年、足跡を辿る旅を明大の教授としたときの話などもされていました。

あと、大阪公演の話が出て、中沢さんが大震災への温度差があったと言っていました。例えば、酒場で東京では「余震が」「1号機が」といった話がそこここで交わされるのに、大阪では誰もそんな話をしていないというのです。
実際、私も震災後、取材で中部以西へ行った時に、東日本大震災についての話を取材相手と交わした際に、東北の方へのいたわりや励ましの気持ちはもちろん一緒ですが、私たち関東圏の人間のように「まだ危機を脱していない不安感」というものは、感じていないようでした。もちろん、それを感じない地域に住んでいるということは幸せなことなので、完全復興までは被害を受けなかった地域の方、自治体や企業が頑張って日本に活気を与えていってほしいですな。

ところで、劇中、実在する築地場内に1軒だけある豆腐屋さんや近所のお寺の名前が出てくるのですが、これは唐さんが街を散策して見つけた所を台本に盛り込んだとのこと。こういう話も聞けるのがいいですね。

といった感じで、アフタートークも終わり、夜は更けていきましたとさ。終わり。
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名脇役! 山谷初男リサイタル

2009年05月24日 | 芝居小屋
皆さんは山谷初男さんという俳優さんを知っていますか?
名前は知らなくても、顔をみれば「あ~」とわかるはず。よく駐在さんなどのちょいとした役で、東北なまりのある独特の喋りをしながら印象に残る演技をされるあのおじさんです。

その山谷さんの滅多にないリサイタルが下北沢で行われるというので、先日行ってきました。

「私が歌を歌うとシャンソンみたいだって言われるんですよね~」なんて、とぼけた口調のトークの合間に、寺山修司に作ってもらった曲を披露したり、きりえが印象的な絵本「花さか山」の朗読をしたり。
もちろん、寺山修司との交流、アングラ時代のこぼれ話や、ゴールデン街で酔いつぶれていた頃の話、国分寺の小さな居酒屋での話など、知らない相手でも気軽に交流をしていた良き時代のちょっとほかでは聞けない話が多数あり、これは貴重でした。

曲も寺山作詞のものから、「ぼくは3丁目の電柱です」のCMソング、シャンソン…。特に笑えたのが、歯医者さんに扮装して、お客さんを舞台に上げて患者に見立て、診療している間にだんだん奥さんに迫ってしまうという、芝居っ気たっぷりの歌。奥さんが引いていくのが益々おもしろく・・・。

あとは本当の歌とは違い、本人曰く「ちょっとHな」秋田音頭を歌ったのですが、お客さんが合いの手を入れ、何番も歌っていくので途中で口が回らなくなったりしてご愛嬌。

むかーし電車の中で半そでシャツに編み物をしているおじさんが前に座っていて、それが山谷さんだったのですが、昔もおじさんだったけど御年72とか。あれだけ歌えて体も動くのはスゴイ。何度か「お年寄りですから~」ととぼけた声で言っていたのがおかしみを感じさせてくれました。
益々がんばってください!




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「皆味覚が違うのだから、十人が飲んで皆がそこそこ美味しいという
ビールよりも、そのうちの3人が本当に感動するビールを作りたい。」
元キリン「一番搾り」の商品開発プラント責任者で、ドイツミュンヘン
工科大学で醸造を修めたブラウマイスターも口出しできなかったビール
醸造の天才、「山田一巳」が、八ヶ岳山麓の湧水と出会い、10年の歳月
をかけて織り成した、日本酒類コンクール優勝の地ビールとは・・・

八ヶ岳地ビール


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流山児事務所「MISHIMAワークショッププロジェクト」

2008年04月06日 | 芝居小屋
流山児★事務所MISHIMAワークショッププロジェクト」「綾の鼓」「道成寺」(作/三島由紀夫   演出/流山児祥) を金曜日の夜、観に行った。

早稲田駅近くの小さな小屋、スペース早稲田で、三島由紀夫の戯曲2作を上演するという試み。

もちろん役者の息遣いが聞こえそうなほど近い。だからこそ、各人の好不調がわかってしまう怖さがある。
近くに主宰の流山児さんが座って観ているというのも小劇場ならでは。
特に、今回のワークショップは同じような役を4、5人で演じるので、演技の優劣が特に観客にわかってしまう。

まずは能をモチーフにしたイントロダクションから、「綾の鼓」へ。
物語りは、70過ぎのビルの管理人の老人が、隣家の貴婦人に恋心を抱く所から始まる。しかし、それを知った取り巻き連中が老人をからかうため「この鼓を鳴らしたらその思いを受ける」という手紙を鼓と一緒に老人のもとに送るのだが、その鼓は綾で張ってあり、決して鳴らない鼓だった。それに気づき愚弄されたと老人は自殺してしまう。幽霊となった老人と貴婦人の対話はいかに、という内容だ。
三島の戯曲でよく上演される「卒塔婆小町」も、老人と若者の対話だが、相対の仕方はまったく違う。

さて、お芝居にもどろう。今回の芝居では、最初女が男役、男が女役を演じ、最後に入れ替わる演出となっている。
貴婦人は、最初は女面の人でもないのでどうかなと思ったが、喋らずしぐさだけのときは段々貴婦人ぽく見えてきて巧かった。ただ、ラスト、話し出すと普通の喋りで、貴婦人らしい大様さやため、上からモノを見るような喋り方がなく残念に思えた。美輪さんまでいかなくてもいいが、英映画の上流階級ものを少し観ると勉強になると思う。

女優陣では鼓のお師匠さんが新人落語家か太鼓持ちのようで…残念。もっとニヒルで川端の「千羽鶴」の主人公のように演じたらいいのにと思う。見た目についても、着物の腹にタオルを入れたほうが良かったのでは。
かっちりする必要はないが、他の役者と異なる役をもらえたのは儲けものと思って役作りしてみたらと思う。脇の所作、見栄え一つで芝居の印象は大きく変わるのだから。
主役の老人役の女性は、老人のときかわいらしいおじいちゃんで、老いらくの恋を気持ち悪いとは観客に思わせず、純愛が哀れに思える演技でよかった。欲を言えば、貴婦人に役を変わったら、男性が貴婦人を演じていたときと違い、ちょっと猛々しくなってしまって、同一人物としてのつながりが途切れてしまったように思えたのが残念だ。それと、もっと幽霊をも狂わせるくらいのゾッとする薄ら寒さを感じさせるようになれば面白いと思う。昔、同劇団で演じられた「Happy Days」(ケラさん作)の篠井英介の演技は心理的に最後ゾッときたのを思い出す。

2本目の「道成寺」。
物語は金持ち相手に高級骨董家具を売る店。客が高値を吊り上げている所に、踊り子が飛び込んでくる。この箪笥の中で恋人が死んだから価値はないというのだ。客は皆去っていき、踊り子と店主の対話が始まる。

個人的にはこちらが良かった。「妖し」の感じが良く出ていた。
また、脇役だが客の1人を演じた茉莉以という女優さんが突出して巧かった。声の発声の仕方も違うし、皆着替えて黒装束で4人次々に喋っていく場面だと、差が出てしまっており、ワークショップならではだなといえる。この女優さんが主役級で演じる芝居があれば今後観たいと思う。
他の役者さんたちもそれぞれコミカルも有りで奮闘していた。
難点は、主役の踊り子役の男性が声が枯れてしまっていたのが残念。

ともかく、三島由作品をまた挑戦してもらいたいなーと思った夜でした。
(来月は美輪明宏の「黒蜥蜴」で、三島作品をじっくり観ようと思う!)

「MISHIMAワークショッププロジェクト」「綾の鼓」「道成寺」
2008年4月2日(水)~7日(月) 【作】 三島由紀夫  【演出】流山児祥


  
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