をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

首(映画)

2023年12月22日 | 映画
映画「

言わずと知れた北野武監督の新作。
今回は黒澤監督ばりに時代劇に挑戦。
役者も当代切っての面々が顔を揃え、セットも衣装もすごいね。

作品としては「アウトレイジ」、古くは「ソナチネ」や「その男~」のハードさのある作風というより、「みーんなやってるか」の雰囲気を感じたのだがいかがだろうか。
笑い、そして「たけし」としての遊びがふんだんに盛り込まれていて、肩の力を抜いて楽しんでいる、そんな印象を受けた。

それから、少し北野監督の幼少時代の思い出が投影されているのかな、と思ったのが、桐谷健太が演じた服部半蔵である。
彼だけは、ギャグ一切なして終始カッコよくキリリとした決め顔で出番が終わる。昔の東映時代劇のスターたちを投影しているのかなと、想像が膨らんだ。

反対に、時期的にもったいなかったなと思ったのが大森南朋。同時期に終了したばかりのNHK大河ドラマ「どうする家康」でも、主人公の相談役という同じような役どころだったため、その印象が強く…。

西島秀俊は「ドライブ・マイ・カー」を経ての北野映画への凱旋参加。文楽から時代劇となったが、次は現代劇の北野映画でぜひ。

この西島演じる明智と「首」の男との関係をはじめ、男色が一つのカギになっているが、くしくもTVで映画「GONIN」が放映されていて、主人公たち(佐藤浩市と本木雅弘)だけでなく、ヒットマン役のたけしとそれこそ小姓のような相棒との関係も男色関係のシーンがあり、自身が演じた役柄も「首」には投影されているのではないだろうかと思った次第。

個人的には津田寛治は昔から応援している役者の一人だが、映画序盤で死んでしまいなーんだと思っていたら、その後も何度か出てきましたね。


ミワさんなりすます(ドラマ)

2023年12月07日 | ドラマ
ドラマ「ミワさんなりすます」(NHK)

映画好きの人がニヤリとするドラマ。
毎日15分という短時間での夜の帯ドラマでしたが、とても面白かった。

ストーリーは、映画オタクの主人公が、ひょんなことから憧れの世界的な実力派俳優の家に家政婦として働くことに。
俳優の作品の隅々まで知りつくした主人公が、身分がばれそうになりながらも、俳優の支えやヒントを与えたり、立場をきちんと保ちつつ交流を深めていくといった内容。
主人公に松本穂香さん、世界的俳優に堤真一さん。

小道具にも映画ファンが分かるような工夫が。
有名俳優はあの人がモデルかなと思ったり、映画関係者が集まるバーに、ジム・ジャームッシュ監督作品風のポスターが貼られていたり。

映画以外にも、家政婦の一人を演じる片桐はいりさんが面白く、でも出しゃばりすぎず、楽しめました。





屋根裏のラジャー(映画)

2023年12月05日 | 映画
映画「屋根裏のラジャー

スタジオジブリ出身の次世代の人々がスタジオポノックを作って制作した初のアニメ映画。
冒頭から場面場面が美しく、躍動感にあふれてとてもいい!
ストーリーも最近のジブリ作品のように立ち止まって考えさせてしまわず、めくるめく楽しさが用意されていて、どんな世代でもワクワクドキドキさせてくれる。また、躍動感あふれる主人公たちのほか、ジブリ作品で出てくる得体のしれない怖いものも、このポノック作品ではイッセー尾形の声と相まって存在感アリだ。

なんといっても、子供だけのストーリーではなく、昔、子どもだった大人たちへのメッセージが終盤の映像に盛り込まれていて、不覚にも涙がこぼれてしまった。
とてもよかった。
観て損はない、その言葉を、スタジオポノックの最初の船出に送りたい。