映画「アントキノイノチ」
冒頭、岡田将生のオールヌードではじまるこの映画、見終わった後、いろいろ考えさせられるというか余韻の残る映画だ。
映画はいろんな要素をはらんでいて、いじめ、無関心、自殺や、レイプ事件と被害者の人権保護の未確立など、今、学校内で起きている問題や、独居老人の孤独死という社会的な問題、それに伴う遺品整理業の仕事、心に傷を負った人の社会復帰、そしてラブストーリー…。
主人公の岡田演じる青年は、何か過去にあって心に傷を負っていることがなんとなく冒頭伝わってくる。その過去は徐々に映画に挟み込まれて分かってくるのだが、最初は父に連れられ、遺品整理業の会社へやってくる所から始まる。
社長に鶴見辰吾、チーフの社員に原田泰三。2人の大人の語り過ぎない芝居が、この映画をとてもよくしている。
そして、リアルな遺品整理の場面も挿入される。この場面は、実際の整理業の方の指導を受けながらの撮影だ。
実際にニオイはしてこないが、室内の乱れた様子や害虫がうじゃうじゃわいている様子に、人が死んでしばらく放置された後のにおいが画面から伝わってくるようだった。
ここで青年はもう1人の主人公、榮倉奈々演じる先輩社員ゆきに出会う。
淡々と片づけを行う中にもルールがあり、教わっていく中で、2人はお互いに安心を感じ、それぞれの過去と向き合う。
そこで恋愛が成立してハッピーエンドとならないところが、この映画に深みを持たせている。
青年の高校時代の挿入シーンでは、険しい山を登るシーンが本物で、心の葛藤もとてもリアルに浮かび上がってくる。
ねじくれた根性の同級生に松阪桃李。同じ日に観た「映画版 新参者:麒麟の翼」でも、似たような役柄を演じてたので、そういうカラーを今後壊せるか。
第2章と言えるふたたびのふたりの出会いでは、別の小さなエピソードがからみ、そこに出てくる柄本明がとてもいい。夫婦とその死別によるお別れについて考えさせられる。こういった主人公以外のエピソードが合間に挿入されることで、ストーリーに余韻を与えているように思う。
このあと、主人公たちが冗談「アントキノイノキ」を言うシーンへと移っていくのだが、唯一ともいえる明るいはずのシーンがこんなにも違和感を感じて浮いて感じられるのだから、監督のこの映画の撮り方は間違っていないといえるのだろう。
あっけない最後、淡々とした色調だが、命って、生きていくことって…という余韻を残す映画だった。
ちなみに、人から問われたので書いておくが、エンドロールに流れる曲は原作者のさだまさしの曲ではないのであしからず。GreeeeNの曲です。
公式HP http://antoki.jp/aboutthemovie/index.html
冒頭、岡田将生のオールヌードではじまるこの映画、見終わった後、いろいろ考えさせられるというか余韻の残る映画だ。
映画はいろんな要素をはらんでいて、いじめ、無関心、自殺や、レイプ事件と被害者の人権保護の未確立など、今、学校内で起きている問題や、独居老人の孤独死という社会的な問題、それに伴う遺品整理業の仕事、心に傷を負った人の社会復帰、そしてラブストーリー…。
主人公の岡田演じる青年は、何か過去にあって心に傷を負っていることがなんとなく冒頭伝わってくる。その過去は徐々に映画に挟み込まれて分かってくるのだが、最初は父に連れられ、遺品整理業の会社へやってくる所から始まる。
社長に鶴見辰吾、チーフの社員に原田泰三。2人の大人の語り過ぎない芝居が、この映画をとてもよくしている。
そして、リアルな遺品整理の場面も挿入される。この場面は、実際の整理業の方の指導を受けながらの撮影だ。
実際にニオイはしてこないが、室内の乱れた様子や害虫がうじゃうじゃわいている様子に、人が死んでしばらく放置された後のにおいが画面から伝わってくるようだった。
ここで青年はもう1人の主人公、榮倉奈々演じる先輩社員ゆきに出会う。
淡々と片づけを行う中にもルールがあり、教わっていく中で、2人はお互いに安心を感じ、それぞれの過去と向き合う。
そこで恋愛が成立してハッピーエンドとならないところが、この映画に深みを持たせている。
青年の高校時代の挿入シーンでは、険しい山を登るシーンが本物で、心の葛藤もとてもリアルに浮かび上がってくる。
ねじくれた根性の同級生に松阪桃李。同じ日に観た「映画版 新参者:麒麟の翼」でも、似たような役柄を演じてたので、そういうカラーを今後壊せるか。
第2章と言えるふたたびのふたりの出会いでは、別の小さなエピソードがからみ、そこに出てくる柄本明がとてもいい。夫婦とその死別によるお別れについて考えさせられる。こういった主人公以外のエピソードが合間に挿入されることで、ストーリーに余韻を与えているように思う。
このあと、主人公たちが冗談「アントキノイノキ」を言うシーンへと移っていくのだが、唯一ともいえる明るいはずのシーンがこんなにも違和感を感じて浮いて感じられるのだから、監督のこの映画の撮り方は間違っていないといえるのだろう。
あっけない最後、淡々とした色調だが、命って、生きていくことって…という余韻を残す映画だった。
ちなみに、人から問われたので書いておくが、エンドロールに流れる曲は原作者のさだまさしの曲ではないのであしからず。GreeeeNの曲です。
公式HP http://antoki.jp/aboutthemovie/index.html