をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

それぞれのシネマ~カンヌ国際映画祭60回記念製作映画~(映画)

2008年05月25日 | 映画
           今年のカンヌ映画祭の様子。上記は映画「CHE」の監督、出演者ら。

映画「それぞれのシネマ(カンヌ国際映画祭60回記念製作映画)」

カンヌ映画祭開催にリンクして、昨年、同映画祭の60回を記念して世界の名だたる映画監督たちが、たった3分間の持分だが「映画館」をモチーフに競作した短編映画集がコレ。
その監督の顔ぶれたるや、キアロスタミカウリスマキカンピオンクローネンバーグオリヴェイラルルーシュポランスキーフォン・トリアーヴェンダースエゴヤンモレッティヴァン=サントアンゲロプロスイニャリトゥ、リンチ、ポランスキー…など総勢32名。
アジアからはチェン・カイコーウォン・カーワイチャン・イーモウ…など中国勢が多く、日本からは北野武だけだったのがとても残念。もっと日本の映画監督が入ってもいいように思うのだが。

個別の作品を観て行くと、「映画館」という決められたテーマを基に、少なからず似た視点を取り上げた作品も見受けられる。例えば過去のスターへのオマージュ、視覚的な媒体である映画と視覚障害者、スリ、戦争など。
しかし、監督それぞれの個性がまったく別の作品として独立させている。

たった3分の中に、その監督の他作品にも流れる撮り方やストーリー性、個性があり、エンドロールで名前が出なくとも滲み出て来るのが映画の素晴らしさだろう。カンヌでは上映されなかったデヴィッド・リンチ作品などは、3分間で「ツイン・ピークス」や「マルホランド・ドライブ」が凝縮できる=監督の作品全てに流れる共通テーマが感じられたし、これはラース・フォン=トリアーやシェーン・カンピオンやウォン・カーワイにも言える。

また、アンゲロプロスのようにジャンヌ・モローという大女優を配し、亡きマルチェロ・マストロヤンニという大俳優に敬意を払うというつくりも映画の良さであるし、ポランスキーのようにちょっとエッチな「艶笑」も、映画になると憎めないコメディー感があり、映画というものの奥行きを感じる。
こういった点を感じながら見ていくととても面白い。


やはり、各自たった3分間だが、エンドロールのキャスト・スタッフ・関係者の膨大な手を経て映画は作り上げられていることを改めて感じるとともに、その素晴らしさを感ぜずにはいられない。

5月30日まで、ユナイテッド・シネマ豊洲で期間限定上映
http://sorezore.asmik-ace.co.jp/

 


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ミスト (映画)

2008年05月18日 | 映画
    Ronn Schmidt(C)2007 The Weinstein Company.All rights reserved.


映画「ミスト

スティーブン・キング原作のこの映画。あまり有名な俳優は出てきませんが結構劇場は埋まってました。
「霧」というタイトルだけあって、いたって普通の田舎町にある日霧が発生し、そしてその中になにかいる! というストーリー。

原作はというと、キングの他の有名な作品よりも怖いと感じましたなー。まず、モンスター(なんかスターシップ・トゥルーパーズグレムリンみたいでいまひとつ怖さが出ない)よりも人間がコワイ! 極限状態になったときの集団心理のコワサが如実に出ています。これは、演技派のマーシャ・ゲイハーデンが演じることで、不快な狂気が伝染していく様がリアルに迫ってきます。

それから、今回はラストが話題を呼んでいます。原作ではパンドラの箱の話と同じで、どう考えても絶望的な状況なんだけど、ラストは希望を感じさせるようには書かれていたんです。しかし、この映画ではなんとその後に、フランク・ダラボン監督オリジナルのラストが用意されているんですね。これはかなりヘビーだ。

もう一つ原作との比較で、原作は原子力発電事故をモチーフに描いたらしいのですが、映画はやはり9.11以降の影響がうかがえるのではないでしょうか。最近の映画は多かれ少なかれそうなのでしょうが。

とにかく、疲れているときに観るとどっと来ますので、パワーのあるときに観ることをお奨めします。
 

<ストーリー>
 のどかな田舎町を襲った嵐が過ぎ去ったあと、不審な深い霧がゆっくりと街中を包んでいった。霧にのみこまれていく街を見つめながら、身動きが取れずにスーパーマーケットに取り残された人々。デヴィッド・ドレイトンと幼い息子ビリーもそのひとりだった。時が経つと共に霧の中に何かがいることがわかり始めた。この世のものとは思えない生物が、無数に蠢いていたのだ。生き残るためには、店内にいる人々が団結するほかに術がない。しかし、人間の本質上、それは可能なのだろうか?
 生物群団が襲撃すると、人々は恐怖とパニックに直面し、理性は音をたてて崩れ始めた。生物と必死に戦う者もいれば、殺される者もいる。恐怖に耐え切れず死を覚悟で店外に逃げ出す者もいれば、自殺する者もいた...。

監督・脚本・プロデューサー:フランク・ダラボン
出演:トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン
HP=http://www.mistmovie.jp/

 
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ウェルカム!ヘヴン (映画)

2008年05月12日 | 映画
映画「ウェルカム!ヘヴン

題名から察するとおり、天国へようこそ!ってわけで、天使が出てくる映画だが、一筋縄ではいかないのがこの映画。なんてったって、天国に来る人が少なく、今や消滅寸前。そこで、天使が使命を帯びて、もうすぐ死ぬ運命のチンピラボクサーを天国に行けるよう画策。

ところがどっこい、地獄からも勧誘のエージェントが地上に舞い降りて、天使(妻)VS.地獄の使者(従兄妹)の争奪戦が始まるんだな。

この配役は、天使がビクトリア・アブリル、地獄の使者がなんとペネロペ・クルス! 特にペネロペは、ワイルドで(実は男だったが罰として女にされているという設定)、かつマニッシュで、セクシーな役どころ。トム・クルーズと来日した時はとてもおとなしい格好だったが、本当はさすがラテンというカンジ。

さらに、天国の元締めがトリュフォー作品と言えばのファニー・アルダン、地獄の元締めが、「モーターサイクルダイアリーズ」が記憶に新しいガエル・ガルシア・ベルナルと、豪華なのだ。

ともかく、地上で争っているうち、天上の思惑が絡んできて…。
まあ、天上界も地上界とさして変わらず、な映画ですな。

2001年 スペイン・仏・伊
監督: アグスティン・ディアス・ヤネス
出演: ペネロペ・クルス / ビクトリア・アブリル / デミアン・ビチル / ファニー・アルダン / ガエル・ガルシア・ベルナル
http://www.crest-inter.co.jp/wheaven/



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