をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

YESTERDAY (映画)

2024年04月27日 | 映画
YESTERDAY (映画)
 売れないインド系イギリス人のシンガーが、バイク事故に遭い、退院後に級友たちの前で歌ったビートルズのイエスタデイから、なぜかビートルズのいない世界になっていたことに気付き、彼らのヒット曲をうたうことで大スターになってしまうという荒唐無稽なストーリーの映画。
 さすが、ダニーボイル監督だ!めちゃくちゃ面白いし、ビートルズって、こんなに誰もが知っているヒット曲があるんだなーと改めて驚いたり、え、エド・シーランがご本人で出てくるなんて、ホント盛りだくさんの面白さ満載。
 そして、さらにビックリなゲストが最後に。
 でもメインは恋愛ドラマもしっかり。相変わらず田舎の兄ちゃんをきちんと取り入れて、ボイル節。
 なぜか、ビートルズを知っている人2人は不思議でした。快作!
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ボーは恐れている

2024年02月23日 | 映画
映画「ボーは恐れている」

ホアキン・フェニックス主演のこの作品。
他には真似できない、オリジナリティーのある作品だった。

冒頭は、ボーという冴えない中年男性の目から見た、部屋の外の怖い状況や群衆を映し出す。これは本当か、彼の頭の中だけの想像か。
そんな中、母親の誕生日祝いに出かけなくてはならないのに、出かけるときにアクシデントがあり、パニックとなってしまう。
危ない人々が部屋になだれ込みめちゃくちゃに。逃げ出して飛び出し、車に衝突してしまい…。
主人公は、情緒不安で薬を飲んでいるが、いつもと違う薬を処方されている。
水とともに飲むこととあるのに水が出ないという状況からパニックを起こし、大きな状況になっていく。

目覚めると、親切な家族の家。ここに戦争でPTSDを負った元兵士が間借りしていることから、また大騒動に。

ここを出て、主人公は森へ逃れる。そこには芝居小屋と野外演劇を見に来た観客たちが集っていておだやかな雰囲気。
主人公はまたここで妄想する。
このシーンが、急にアニメになって、これが素晴らしい。絵本で「木を植える人」があるが、そのアニメーションを観たことがあり、それに似た画法でつづられていく。ここだけでも見る価値あり。

また騒動が起きて、ラストへ。
とってもきれいな絵本のような夜空だなと思って見ていると…。

最後のシーン、無人飛行機が裏返っているように見えた。
そして、昔の映画で「ポゼッション」という映画を思い出した。イザベル・アジャーニとサム・ニールの夫婦が異星人の出現で壊れていく話で、蛸のような異星人とのラブシーンや、サム・ニールの一人2役、ラストの子供が空の風呂の中で「怖いよ怖いよ」と言って足をバタつかせているなど、初めて観たときは何じゃこりゃと思ったのだが、ずいぶん経ってから、戦争の脅威を描いていると知って、なるほどと思った次第だ。
なんだか、「ポゼッション」の子供と主人公のボーが重なって見えた。
エンドロールがそのシーンのまま流れるので、とても余韻があり、立ち上がって帰る人があまりいなかったのも印象的だ。



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PERFECT DAYS(映画)

2024年01月31日 | 映画
映画「PERFECT DAYS

いろんな方向から語ることのできる本作。
例えば、あの「ベルリン・天使の歌」や「パリ・テキサス」のヴィム・ベンダース監督作品、カンヌ国際映画祭で役所広司が主演男優賞受賞、公共トイレの掃除人が主人公、個性的な東京の公共トイレ、ルー・リードなどの音楽…。

一つ言えることは、良い映画だったということ。

淡々と語られる主人公の毎日。朝、1本のコーヒー缶を飲み、車中でカセットテープを流し、トイレ掃除を丹念に行い、昼は木漏れ日の中で写真を撮り、帰りに軽く飲んで、読書と盆栽、そして音楽が心を満たしてくれる。
彼とかかわりを持つ若者と恋人や、彼の姪、いきつけの小料理屋のママさんなど、いろいろな人が登場してくる。
後半、ググっと主人公自身の話が垣間見える短いシーンでの麻生祐未の表情が印象的だった。

そしてラスト、このときだけの役所と三浦友和とのシーンが、これもまた短いシーンだが深く胸に刻まれジーンときた。

変わらないようで日々、変わっていく。これが生きているということ。

自分で観て、確かめてほしい、そんな映画でした。

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首(映画)

2023年12月22日 | 映画
映画「

言わずと知れた北野武監督の新作。
今回は黒澤監督ばりに時代劇に挑戦。
役者も当代切っての面々が顔を揃え、セットも衣装もすごいね。

作品としては「アウトレイジ」、古くは「ソナチネ」や「その男~」のハードさのある作風というより、「みーんなやってるか」の雰囲気を感じたのだがいかがだろうか。
笑い、そして「たけし」としての遊びがふんだんに盛り込まれていて、肩の力を抜いて楽しんでいる、そんな印象を受けた。

それから、少し北野監督の幼少時代の思い出が投影されているのかな、と思ったのが、桐谷健太が演じた服部半蔵である。
彼だけは、ギャグ一切なして終始カッコよくキリリとした決め顔で出番が終わる。昔の東映時代劇のスターたちを投影しているのかなと、想像が膨らんだ。

反対に、時期的にもったいなかったなと思ったのが大森南朋。同時期に終了したばかりのNHK大河ドラマ「どうする家康」でも、主人公の相談役という同じような役どころだったため、その印象が強く…。

西島秀俊は「ドライブ・マイ・カー」を経ての北野映画への凱旋参加。文楽から時代劇となったが、次は現代劇の北野映画でぜひ。

この西島演じる明智と「首」の男との関係をはじめ、男色が一つのカギになっているが、くしくもTVで映画「GONIN」が放映されていて、主人公たち(佐藤浩市と本木雅弘)だけでなく、ヒットマン役のたけしとそれこそ小姓のような相棒との関係も男色関係のシーンがあり、自身が演じた役柄も「首」には投影されているのではないだろうかと思った次第。

個人的には津田寛治は昔から応援している役者の一人だが、映画序盤で死んでしまいなーんだと思っていたら、その後も何度か出てきましたね。

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屋根裏のラジャー(映画)

2023年12月05日 | 映画
映画「屋根裏のラジャー

スタジオジブリ出身の次世代の人々がスタジオポノックを作って制作した初のアニメ映画。
冒頭から場面場面が美しく、躍動感にあふれてとてもいい!
ストーリーも最近のジブリ作品のように立ち止まって考えさせてしまわず、めくるめく楽しさが用意されていて、どんな世代でもワクワクドキドキさせてくれる。また、躍動感あふれる主人公たちのほか、ジブリ作品で出てくる得体のしれない怖いものも、このポノック作品ではイッセー尾形の声と相まって存在感アリだ。

なんといっても、子供だけのストーリーではなく、昔、子どもだった大人たちへのメッセージが終盤の映像に盛り込まれていて、不覚にも涙がこぼれてしまった。
とてもよかった。
観て損はない、その言葉を、スタジオポノックの最初の船出に送りたい。


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