をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

映画「マディーナ」~東京国際映画祭今宵の1本

2023年10月29日 | 映画
マディーナ(映画)

どこの国でもシングルマザーはつらい。
カザフスタンのシングルマザーの物語。

主人公のマディーナは、ダンスのプロで、昼は主婦にベリーダンス、子供たちにバレエを教えているダンス教師。
夜は、ショーガールとして華やかでエロティックな衣装や装飾に身を包み、踊り子をしている。このシーンは華やかで美しい。
よく、フランスやラスベガスで観られるショーの縮小版のようだ。

そうして稼いで、思春期の息子と幼い娘の子供2人とおばあちゃんを養っている。
娘との水泳教室や、ピアノを習わせたいなど、娘にいい生活をさせたいと思うシーン。他の映画にも同様のシーンがあったな。

そんな彼女の足もとを見て、冴えない男性や金をちらつかせた成金男性が近づいてくるエピソードはさもありなん。

しかし、息子がアメリカへ行くと言う。その理由の告白に、母はある決意をする。

最後、水の中を全裸で泳ぐ母・マディーナ。若い人のような美しい姿態ではないが、何かを吹っ切るためのシーンか。
このような水の中で母が吹っ切るシーン、衣服は着ているが、中国の映画でも見られた。
女性の置かれた立場や気持ちは、古今東西共通していることが多いのかもしれない。

東京国際映画祭
アジアの未来
マディーナ
監督:アイジャン・カッセイムベック


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映画「バイタルサイン」~東京国際映画祭今宵の1本

2023年10月27日 | 映画
バイタル・サイン(映画)

久々の香港映画。
小さい娘を抱える男やもめの救急救命士と、キャリアアップを目指す若い男性救急救命士の2人を主人公に、人命救助の熱い現場を描き出す。
テンポも香港映画ならではポンポンポンと進むし、眉間にしわを寄せて観なくていい娯楽大衆映画なのがいいね。
段々、キャリアだけを目指していた若者が、ベテラン救命士の姿に感銘を受け、現場視線になっていくのはお約束のストーリー。
一方、ベテランは娘をカナダに移民させるためになんて、今の香港事情も垣間見せる。

ベテラン救命士役は顔の濃いルイス・クーさん。香港映画はたまに濃ゆい顔の人がいるのが特徴ですね。
子役と看護師のお姉さんもいい味出してます。

東京国際映画祭
香港フォーカス
監督:ヴィンシー・チェク
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トニーさん来日(マスタークラス)

2023年10月26日 | 海外ドラマ
トニー・レオンさん来日

東京国際映画祭のマスタークラスで、「2046」上映後にトーク。
「非情城市」について語った。
お久しぶり~。
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映画「漁師」~東京国際映画祭今宵の1本

2023年10月25日 | 映画
漁師(映画)
フィリピン映画の「漁師」。
なかなかよかった。お勧めの1本。

最初はモノトーンの映像の中、漁師が魚を獲っているが、引き上げてみると腐っていて臭くて食べられない、というところから始まる。
漁師には、家族がいて、いつも咳をしている妻と、美しく若い娘がいる。
海に囲まれた小さな島に住む家族の家はあばらやだ。
母の咳止めの薬を買いに町へ行く娘。途中で生理になったのが分かるシーンがあり、このあとの伏線になっている。
娘は歌が好きで街で屋外カラオケに興ずるが、もっと歌えば金をやるという中年男にまとわりつかれ、と思ったら、漁師が娘のことが心配で街にやってくる。もちろんこの中年男には強烈パンチを見舞って、娘とうちへ帰る。

ある日、漁師が漁で網をたぐると、瀕死の一人の若い男が網にかかっていた。
どうやら外国人らしい。
家に連れ帰り介抱すると、いつのまにか元気になっていた。やがて娘とも仲良くなる若い男。
いつもニコニコしているが、ちょっと得体が知れないし、たまにどこかへ行ってしまう。
やがて、娘に変化が訪れる…。

というストーリー。
かなりおとぎ話っぽい(グリムみたいに本来的なダークな部分がある)つくりで、飽きさせずに見せてくれる。
街には魔女のような老女が支配しているし、首を吊られた死体がぶらぶらしている。
まだ土着的な考えが染みついている島という感じだ。
だから、良い金色の魚と悪い黒い魚がいて、悪いこと(不漁になる)が起きると、黒い魚をとったせいだと島民を扇動する。
でも、島を出たことのある漁師は、なぜそうなったかが事実として分かっている。
そこに対立の芽が生まれる。

若者と娘の物語の方は、いわゆる異類婚姻譚だが、善か悪か、あるいは言い伝えに左右される漁師の心は波のように揺れる。
童話的な話の裏には、現代のいろいろな問題が見え隠れしているようだ。

なんだかラストは横尾忠則さんの絵のようであったが…。

東京国際映画祭
ワールド・フォーカス部門
監督:ポール・ソリアーノ
フィリピン




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