をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

映画「女帝」

2007年03月11日 | 映画
(C)2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. Huayi Brothers Film Investment Co., Ltd. All Rights Reserved.

映画「女帝」の試写に行ってきた。
シェイクスピアの「ハムレット」を呉越時代の中国に置き換えて、チャン・ツィイーが主役を張って絢爛豪華に演じています。

しかし、以前の可憐なチャン・ツィイーならばオフィーリアでしょうが、今回は権謀術策に長けたガートルード王妃役。すっかり貫禄がつきました。
それでも、裏を返せば、皇太子ハムレットに実は全てを注ぎ込むあまり、好きでもない皇帝たちに身をゆだねることで権力を握り、悪女となってしまった女の悲哀を演じています。だからこそ、ラストは酷い。(わかんなかったという人もいるでしょうが、あの越女剣のシークエンスと原作を読めば・・・)

映像的にワダエミ的衣装&美術を感じさせる「ティム・イップ」という人の芸術センスはただただ素晴らしい。宮中内の耽美的オブジェや衣装、越国での芸術家の白を基調とした仮面と衣装、洛外のシルクロード的な東洋と西洋の入り混じった町並み、東洋風指輪物語のような騎馬隊の騎士たち、スター・ウォーズⅡ(のちにⅣ)の雪の惑星のような辺境騎士団などなど。

場面では、皇太子が仮面をつけて舞うのだが、白装束にくねくねした振り付けで、日本の暗黒舞踏を髣髴とさせて興味深い。

それから、劇中で語られる詩や唄、歌舞、芝居のシーンもそれひとつひとつがアートになっている。

ただ難をいえば、「グリーンディスティニー」ばりのワイヤーアクションが興をそぐことだ。もちろんお家芸だし、戦闘のシーンはよいのだが、リアルを求めるシーンでワイヤーが出てくると、盛り上がった気持ちがガクッときてしまった。


とはいえ、久々に永遠の古典を上手く映画化し、映像的にも面白みのある映画だった。
エンドロールに流れる歌の歌詞が、女の悲哀と男の冷たさを感じさせ、追い討ちをかけるのも情趣に富んでいる。




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映画「バベル」記者会見

2007年03月07日 | 映画
(c)Lucca photo 2007

映画「バベル」記者会見

監督は、現代は人と人とのつながりが希薄で、グレーゾーンの無い、正か否かの両極化が顕著になっていると語る。
この映画、箱根で老人と聾唖の若者を見たことから想を得たという。
続きはまた明日以降・・・。
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