[期日不明 時刻不明 洋館地下牢エリア 井辺翔太]
バージョン3.0-50を(別の意味で)自爆させた井辺は、再び牢屋まで戻ってきた。
と、同時にそれまで電子ロックされていたドアが開き、そこからシーが飛び込んできた。
「シー君!」
「良かったぁ!翔太さん、無事だったー!」
喜んだ様子で井辺の胸の中に飛び込んでくる。
「おかげさまで、何とか……。シー君もご無事で何より」
「うん!何とかエリオットの追跡を振り切ったんだ。で、脱出経路を見つけた。これでボク達、外へ出られるよ!」
「それは助かります!」
「こっちだよ!」
シーが背中の羽を羽ばたかせて、井辺を先導する。
「何ですか、ここは?」
それは、今までの洋館とは全く雰囲気の異なる空間だった。
それまでは古めかしい設備が特徴だったが、ここは近代的な設備が整っている。
何の設備かというと、明らかな研究所だ。
「まあ、研究所だね。ボクもここで造られたんだ……」
「そうですか」
「取りあえず、地上に行かないと出られない。エリオットは洋館の方に行っちゃったから、今のうちだよ!」
「了解です」
どうせなら、ここの研究資料を持ち出してやりたかったが、そんな余裕は無い。
敷島なら上手くそこをやってしまうのだろうが、井辺はまだまだ素人だし、それに……。
(シー君自身が証拠物件だな)
と思うのだ、
「! シー君の造られた部屋とかは、どこですか?」
「これから通るよ」
脱出経路の途中にあるらしい。
「まさか、翔太さん……?」
「シー君の設計図が持ち出せたら、素晴らしいと思います」
「そんな余計なこと……!早く脱出しょうよ!」
「ですが……!」
「まずはこの研究施設から抜け出さないと!」
廊下の突き当たりにあるエレベーター。
洋館側にあるのは木製のドアだが、こちらのは普通の鉄製だ。
電源は入っていたが、ボタンを押してもうんともすんとも言わない。
「どういうことですか?」
「! しまった!そこの指紋認証機に指紋を通さないとダメなんだった!」
「どこかに指紋情報登録機は?」
「そんなもの……あったかなぁ……?」
「探してみましょう!」
井辺は取り急ぎ、隣の部屋に飛び込んだ。
そこは研究所の事務室になっているようだが、誰もいない。
しかし、PCの電源を入れると立ち上がった。
「もしかして、これでは?」
とある端末の横に指紋読取機のようなものが置いてある。
PCのキーボードを叩いて、ようやく辿り着けた。
『(臨時)指紋情報を登録します』
そして、読取機のクリアレンズが淡く光る。
井辺は右手の人差し指をレンズの上に当てた。
しばらくして、
『指紋情報を登録しました。認証番号……』
と、画面に出る。
「これでよし」
「おー!」
「ついでに、この端末にある情報を根こそぎ頂戴します」
「えー!?」
だが、
「!? コネクション・エラー!?しまった!気づかれたようです!急ぎましょう!」
とは言いつつも、事務室とその隣にある小研究室なる部屋から、USBメモリーなどの記憶媒体を何個か持ち出すことは忘れなかったという。
PCのアクセスはブロックされてしまったが、エレベーターは動いていた。
「ん!?」
すると上に向かうに連れ、携帯型の通信機に何やら電波が入るようになった。
(本当に出口が近いのでしょうか?)
ドアが開くと、再び洋館の風景が広がった。
「こっちこっち!向こう側の非常口の鍵が開いてたんだ!」
「なるほど!」
だが、
「うわっ!?」
「ブブブブブブ!」
「キュルキュルキュル……!」
廊下の途中にバージョン3.0が待ち構えていた。
井辺は引き返す他は無かったのである。
「シー君!他に出口は!?」
「え、ええと……無いよ!」
「でも、ここは1階のはず!ということは、窓から脱出できるかも……」
だが、窓に近づいたら近づいたで、
「!!!」
窓をぶち破って、バージョン3.0が複数侵入してくるのだった。
「こっちもダメか!」
井辺の睨んだ通り、バージョン3.0は旧館に集結していたようだ。
手持ちの武器が無い井辺は、とにかく彼らから逃げる他は無かった。
さっき気絶した時に、ハンドガンもスタンガンも奪われたからである。
だが、そうして井辺は徐々に追い詰められていき……。
「くっ!しまった……!」
旧館のエントランスホールに来ると、取り囲まれてしまった。
「やあ、どうも。人生最後の運動は気持ち良かったですかぁ?」
2階吹き抜けのT字型階段を下りて来ながら、悠然とエリオットが言った。
「罠……だったんですね」
「執事として、お客様へのサービスですよ」
「……私にはやることがあります。どうか、ここから出しては頂けないでしょうか?」
「ここから出まして、どうなさるおつもりです?」
「これから『ボカロ・フェス』というイベントに行かなければなりません。ボーカロイドは人類に夢と癒しを与える使命があるのです」
「ほほぉ……。では、それは人類の為だと仰りたいのですね?」
「そうです!」
「ならば、この研究所も同じ事!大局的に見れば、これも人類の為なのです!井辺様は人類の役に立てるお仕事をされたいご様子。ではやはり、この実験に参加されるべきだと思うのです!」
「何故私がサイボーグにならないといけないのですか!?」
「強いロイドを使役する為には、人間側も強くならないといけません。でないと、ヒトと同じ思考を持った奴らは、必ず我々に反旗を翻す」
「それは……」
「現時点では確かに『考え過ぎ』だろう!あなたの近くにいるマルチタイプ。連中はその昔、大量虐殺を行っていたことは知ってますね?」
「……旧ソ連政府に対する反乱分子を粛清する命令を受けていたとは聞いてます」
「それが今や、何食わぬ顔で日本国内で稼働している。おかしいと思いませんか?」
「現ロシア政府や日本政府が黙認……あるいは黙殺かもしれないが、それならそれで良いのでは?とにかく、私は人間を辞める気はありません。以上です」
「そうか……。それは仕方無い」
エリオットは右手を挙げた。
「引っ捕えろ!抵抗するなら殺して構わん!」
「ううっ!」
一斉にバージョン3.0が井辺に向かってくる。
「これまでか……!」
井辺が一瞬シーの方を向くと、シーは固く閉ざされた両開きの玄関の方を向いていた。
そして、
「助けて下さい!ここにいます!!」
シーが悲痛とも取れる叫び声を発するのと、井辺がバージョン3.0に捕まるのはほぼ同時だった。
井辺は3.0達に吊るし上げられた。
このままだと、嬲り殺しは必至だ。
「助けて下さい!!」
シーは相変わらず、救助を求める声を発し続けた。
バージョン3.0-50を(別の意味で)自爆させた井辺は、再び牢屋まで戻ってきた。
と、同時にそれまで電子ロックされていたドアが開き、そこからシーが飛び込んできた。
「シー君!」
「良かったぁ!翔太さん、無事だったー!」
喜んだ様子で井辺の胸の中に飛び込んでくる。
「おかげさまで、何とか……。シー君もご無事で何より」
「うん!何とかエリオットの追跡を振り切ったんだ。で、脱出経路を見つけた。これでボク達、外へ出られるよ!」
「それは助かります!」
「こっちだよ!」
シーが背中の羽を羽ばたかせて、井辺を先導する。
「何ですか、ここは?」
それは、今までの洋館とは全く雰囲気の異なる空間だった。
それまでは古めかしい設備が特徴だったが、ここは近代的な設備が整っている。
何の設備かというと、明らかな研究所だ。
「まあ、研究所だね。ボクもここで造られたんだ……」
「そうですか」
「取りあえず、地上に行かないと出られない。エリオットは洋館の方に行っちゃったから、今のうちだよ!」
「了解です」
どうせなら、ここの研究資料を持ち出してやりたかったが、そんな余裕は無い。
敷島なら上手くそこをやってしまうのだろうが、井辺はまだまだ素人だし、それに……。
(シー君自身が証拠物件だな)
と思うのだ、
「! シー君の造られた部屋とかは、どこですか?」
「これから通るよ」
脱出経路の途中にあるらしい。
「まさか、翔太さん……?」
「シー君の設計図が持ち出せたら、素晴らしいと思います」
「そんな余計なこと……!早く脱出しょうよ!」
「ですが……!」
「まずはこの研究施設から抜け出さないと!」
廊下の突き当たりにあるエレベーター。
洋館側にあるのは木製のドアだが、こちらのは普通の鉄製だ。
電源は入っていたが、ボタンを押してもうんともすんとも言わない。
「どういうことですか?」
「! しまった!そこの指紋認証機に指紋を通さないとダメなんだった!」
「どこかに指紋情報登録機は?」
「そんなもの……あったかなぁ……?」
「探してみましょう!」
井辺は取り急ぎ、隣の部屋に飛び込んだ。
そこは研究所の事務室になっているようだが、誰もいない。
しかし、PCの電源を入れると立ち上がった。
「もしかして、これでは?」
とある端末の横に指紋読取機のようなものが置いてある。
PCのキーボードを叩いて、ようやく辿り着けた。
『(臨時)指紋情報を登録します』
そして、読取機のクリアレンズが淡く光る。
井辺は右手の人差し指をレンズの上に当てた。
しばらくして、
『指紋情報を登録しました。認証番号……』
と、画面に出る。
「これでよし」
「おー!」
「ついでに、この端末にある情報を根こそぎ頂戴します」
「えー!?」
だが、
「!? コネクション・エラー!?しまった!気づかれたようです!急ぎましょう!」
とは言いつつも、事務室とその隣にある小研究室なる部屋から、USBメモリーなどの記憶媒体を何個か持ち出すことは忘れなかったという。
PCのアクセスはブロックされてしまったが、エレベーターは動いていた。
「ん!?」
すると上に向かうに連れ、携帯型の通信機に何やら電波が入るようになった。
(本当に出口が近いのでしょうか?)
ドアが開くと、再び洋館の風景が広がった。
「こっちこっち!向こう側の非常口の鍵が開いてたんだ!」
「なるほど!」
だが、
「うわっ!?」
「ブブブブブブ!」
「キュルキュルキュル……!」
廊下の途中にバージョン3.0が待ち構えていた。
井辺は引き返す他は無かったのである。
「シー君!他に出口は!?」
「え、ええと……無いよ!」
「でも、ここは1階のはず!ということは、窓から脱出できるかも……」
だが、窓に近づいたら近づいたで、
「!!!」
窓をぶち破って、バージョン3.0が複数侵入してくるのだった。
「こっちもダメか!」
井辺の睨んだ通り、バージョン3.0は旧館に集結していたようだ。
手持ちの武器が無い井辺は、とにかく彼らから逃げる他は無かった。
さっき気絶した時に、ハンドガンもスタンガンも奪われたからである。
だが、そうして井辺は徐々に追い詰められていき……。
「くっ!しまった……!」
旧館のエントランスホールに来ると、取り囲まれてしまった。
「やあ、どうも。人生最後の運動は気持ち良かったですかぁ?」
2階吹き抜けのT字型階段を下りて来ながら、悠然とエリオットが言った。
「罠……だったんですね」
「執事として、お客様へのサービスですよ」
「……私にはやることがあります。どうか、ここから出しては頂けないでしょうか?」
「ここから出まして、どうなさるおつもりです?」
「これから『ボカロ・フェス』というイベントに行かなければなりません。ボーカロイドは人類に夢と癒しを与える使命があるのです」
「ほほぉ……。では、それは人類の為だと仰りたいのですね?」
「そうです!」
「ならば、この研究所も同じ事!大局的に見れば、これも人類の為なのです!井辺様は人類の役に立てるお仕事をされたいご様子。ではやはり、この実験に参加されるべきだと思うのです!」
「何故私がサイボーグにならないといけないのですか!?」
「強いロイドを使役する為には、人間側も強くならないといけません。でないと、ヒトと同じ思考を持った奴らは、必ず我々に反旗を翻す」
「それは……」
「現時点では確かに『考え過ぎ』だろう!あなたの近くにいるマルチタイプ。連中はその昔、大量虐殺を行っていたことは知ってますね?」
「……旧ソ連政府に対する反乱分子を粛清する命令を受けていたとは聞いてます」
「それが今や、何食わぬ顔で日本国内で稼働している。おかしいと思いませんか?」
「現ロシア政府や日本政府が黙認……あるいは黙殺かもしれないが、それならそれで良いのでは?とにかく、私は人間を辞める気はありません。以上です」
「そうか……。それは仕方無い」
エリオットは右手を挙げた。
「引っ捕えろ!抵抗するなら殺して構わん!」
「ううっ!」
一斉にバージョン3.0が井辺に向かってくる。
「これまでか……!」
井辺が一瞬シーの方を向くと、シーは固く閉ざされた両開きの玄関の方を向いていた。
そして、
「助けて下さい!ここにいます!!」
シーが悲痛とも取れる叫び声を発するのと、井辺がバージョン3.0に捕まるのはほぼ同時だった。
井辺は3.0達に吊るし上げられた。
このままだと、嬲り殺しは必至だ。
「助けて下さい!!」
シーは相変わらず、救助を求める声を発し続けた。
むしろ寄り集まることによって、余計に人間臭くなるという……。
ただ、確かにそんなんじゃ信仰を集めることはできなかったのか、その後現れた(仏教も含む)一神教に淘汰されてしまいましたね。
日本神話もギリシャ神話も、登場人物は両方神々。
しかし、神々の癖に皆全然神聖な人格じゃないんだ。
寧ろ問題ばかり。
例えばイザナギ、イザナミは最初の儀式で失敗して産まれた神(ヒルコ)を「失敗だね」とか言って簡単に棄てるし。
で、イザナミはその後黄泉の国に堕ちて、イザナギが会いに行って
「私の姿見ないでね」
とイザナミに忠告されたのに、イザナギ我慢出来なくて見ちゃって、
ゾンビ化したイザナミとバイオハザードなバトルしてるし。
コイツら、神っていう感じじゃ無いよね?
神じゃないと思うんだよ。
茜オバハン並みにオワコンだと思います。
しかし、半島自体が既にオワコンですからねぇ……。
すいません、あいにくとギルガメッシュ叙情詩までは分かりません。
何か、メソポタミア文学……くらいしか、ですね。
直接本人達を題材にするわけにはいかない事情があったのか、神格化して伝えた物語だったのかもしれませんね。
ところで、ユタさんは悪逆非道のパククネについてはどう思いますか?www
つまり、これらの神話は実は古代に起こった出来事の描写ではないかと推察しています。
あとギルガメッシュ叙情詩というのはご存知ですか?
知らないうちに進んでるんですね?
いつからやるのかな?
まぁ良く解らないけど、でもf始まる時だって、
「こんなのマクロスじゃねーよ!」
とか何とか言いながら、きっちり最後まで見て、
「あー、やっぱマクロス最高だわ」
とか言ってた俺なんで、なんだかんだで見ると思います。
私の含みを読んで下さいました。
なかなか面白いものでしょう。
聖書なんかも、実は物語として読めば意外と面白いのですね。
特に旧約聖書は、終末が来終わってから読んだ方がいいのでは?と思ったりもします。
浅井会長の武勇伝なんかより、ずっと面白いものでしょう?
西より東側の高齢化も原因ですね。
東側にも若者はいますが、西口よりは少ないかと。
もっと東口にも若者を呼べるようにしないとダメですよ。
早いとこ旧中仙道界隈を再開発してもらわなきゃあ!
何か、色々と利権や特権が絡んで、計画する度に頓挫しているみたいですけどね。
マクロスΔってわけがわからないよ
5人対5人の関係でそれがいろいろと重なり合ってとか
もうわからないよ
すると、オカルト魂を擽るエピソードが沢山出てきますね。
ギリシャ神話と日本神話って、似たエピソードが沢山あるようなのです。
不思議ですね。
それの関連なのでしょうか、ギリシャ神話ではオリュンポス山(オリンパス山)、そうあの日本の企業オリンパスの名前はこのギリシャ神話から来てるそうで、そのオリンパスの旧名は高千穂製作所だとか。
高千穂は日本神話の舞台ですね。
何だか知らない事って沢山あるんですね。
約1ヶ月半ぶりという久々の開催だったのだが、気がつけばまた施設が縮小されていた。具体的には3号スタンド裏の「ふじや」が潰れており、名物のジャンボチキンカツはもう食えなくなってしまったorz
川口オートや戸田ボートはそこそこ盛り上がっているのに、なぜ大宮競輪は衰退してしまうのか……?
原因はいろいろあるわけだが、ひとつ意外な要因があった。なんと、鉄ヲタのせいであるw
大宮は鉄道の街である。したがって全国の鉄ヲタが大宮を訪れる。ヲタの興味は鉄博や車輌工場、つまり大宮西口に集中するわけだが、そうなると西口ばかりが発展し、これが東口の大宮競輪(大宮公園)の逆風になっているのだw
大宮競輪存続のためにも、叶わぬ妄想と知りながら、SRの大宮公園延伸をキボンヌw