[11月5日17:04.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区 仙台市営バス鶴巻バス停→仙台市営バスR16系統車内]
夕闇迫る産業道路。
夏ならまだまだ明るい時間帯なのだが、晩秋の時季とあっては暗くなるのは早い。
片側三車線の道路を走る車の殆どがヘッドライトを点けて走っているほどだ。
最寄りのバス停は、往路に乗ったミヤコーバスの物と仙台市交通局の物とポールが2つに分かれている。
休日ダイヤのミヤコーバスは、既に今日の運行を終えていた。
バス用の待避所があるわけでも、バス停の枠がペイントされているわけでもない。
ベンチや屋根が付いているわけでもない。
ただポールが立っているだけのバス停でバスを待つ。
稲生:「これでは仙台駅で夕食ですかね」
イリーナ:「いいんじゃない、それで」
稲生:「何食べますか?」
イリーナ:「この前はお寿司を食べたんだっけ。あれは美味しかったけど、マリアが食べにくいからね」
マリア:「私は別に……」
マリアは生魚が苦手である。
アレルギー体質とか、そういうことではない。
人間時代のトラウマによる。
そこへバスがやってきた。
東京の都営バスでは無くなったワンステップバスである。
平日なら工業地帯を通るバスは夕方ラッシュで賑わっているのだろうが、3連休最後の日とあっては車内はガラガラだった。
後ろの席に座った。
乗車客は稲生達だけ。
彼らを乗せると、バスはヘッドライトの流れに混ざった。
〔このバスは東部工場団地、若林体育館前経由、荒井駅行きでございます。次は賀茂皇神社前、賀茂皇神社前でございます。お降りの際は、お近くのボタンを押してお知らせ願います〕
イリーナ:「あっ、牛タン!牛タンがいい」
稲生:「牛タンですか?」
イリーナがどうしてそんなことを思いついたのか稲生は首を傾げたが、イリーナの視線の先には牛タン屋の広告があった。
稲生:「分かりました。じゃあ、夕食はそれを食べて帰りましょう」
イリーナ:「マリア、それでいい?beef tongueなら大丈夫でしょう?」
マリア:「はい」
野菜のオクラが英語であるのと同様、牛タンのタンも実は英語である。
もちろん、意味はそのまま。舌である。
[同日17:14.天候:晴 地下鉄荒井駅前→駅構内]
バスが駅前のバスプールに到着する。
稲生:「大人3人で」
運転手:「はい、ありがとうございます」
稲生はピピッとSuicaを読取機に当てた。
稲生達が乗ったワンステップバスは日野自動車のブルーリボンシティ。
ノンステップなら都営バスでもよく見かけるが、ワンステップだと埼玉では東武バス系くらいでしか無いかも。
稲生:「風が止みましたね」
イリーナ:「やれやれ。今度は雨か……」
稲生:「雨……?雨降るんですか!?」
イリーナ:「アタシの予知だとね。バスを待っている間に降らなくて良かったね」
一応、傘が無くても魔道師のローブが雨を弾いてくれるのだ。
が、さすがに荷物まで濡れるのは防げない。
稲生:「あっ、ちょっと待ってください。チャージします」
稲生は改札口を通る前に、券売機に立ち寄った。
イリーナ:「いくら入れる?」
稲生:「クレジットカードが使えない部分は、僕が出しますよ?」
イリーナ:「いいからいいから」
イリーナは稲生がSuicaを入れると、そこで1万円札を突っ込んだ。
稲生:「すいません。ありがとうございます」
イリーナ:「じゃ、アタシ達のキップもお願いね」
稲生:「はい」
ゲームセンターなどでは幼女形態をしていたミク人形やハク人形も、今では完全に人形形態としてマリアのバッグの中に収まっている。
なので、人形達の交通費は掛からない。
何とも便利な人形達であるが、幼女形態にあっては、可愛さよりも不気味さがどことなくある。
稲生は最初座敷童のようだと思ったものだが、日本の妖怪であるそれを西洋風にするとミク人形達みたいになるのだろうと思われる。
改札口を通って、ホームに降りる。
地上にキップ売り場と改札口があって、ホームは地下という形態は意外と無い。
東京メトロでも、日比谷線の入谷駅くらいしか思いつかない。
乗車ホームに行くと、ちょうど電車が入線してきた所だった。
引き上げ線からの折り返しなので、既に乗客が中にいるということは無い。
〔お知らせします。この電車は、八木山動物公園行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕
〔「17時22分に発車致します。荒井を出ますと、六丁の目、卸町、薬師堂、連坊、宮城野通、仙台、青葉通一番町、大町西公園、国際センター、川内、青葉山、終点八木山動物公園の順に止まります。発車まで、しばらくお待ちください」〕
ブルーの座席に座った。
網棚は座席の真ん中辺りの上に、申し訳程度にしか付いていない。
これはミニ地下鉄の規格で建設された為、車両もフル規格の南北線よりも小さく、圧迫感を与えない為であるという。
その網棚の上には新聞が置いてあり、拾ってみるとアルカディアタイムス日本語版だった。
稲生:「本当に強かですね」
イリーナ:「何か面白いニュースでもある?」
稲生:「特に無いですね。……あ、なんだこりゃ?『“私立探偵 愛原学”の続編なるか?』『宮城県仙台市内において、お忍び取材をしている雲羽監督目撃さる!』」
イリーナ:「ま、何というか……好きにさせておいたら?」
稲生:「は、はい。(何か、嫌な予感しかしないなぁ……)」
[同日17:22.天候:地下なので不明 地下鉄荒井駅→仙台市地下鉄東西線2000系先頭車内]
〔「お待たせ致しました。17時22分発、八木山動物公園行き、まもなく発車致します」〕
〔2番線から、八木山動物公園行きが発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
チャイムともメロディとも判別のつかぬ発車サイン音がホームに鳴り響いた。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
大きなドアチャイムの音と共にドアが閉まる。
そして、電車がゆっくり走り出した。
〔次は六丁の目、六丁の目、サンピア仙台前です〕
〔The next stop is Rokuchonome station.〕
〔本日も地下鉄をご利用頂き、ありがとうございます。お客様に、お願い致します。……〕
稲生:「……『「ラクーンシティの地下鉄も終点が動物園駅なんですよね」と語る雲羽氏』ですって」
イリーナ:「それ、本当?」
稲生:「いや、多分ウソだと思います」
マリア:「私は映画ができたら、是非とも見てみたい」
イリーナ:「マリアは映画とか好きだもんね」
マリア:「ユウタと観るのが好きなんです」
イリーナ:「そうなの。(前にホラーを観て、手を握っていたのはユウタ君の方だったって聞いたけど……)」
夕闇迫る産業道路。
夏ならまだまだ明るい時間帯なのだが、晩秋の時季とあっては暗くなるのは早い。
片側三車線の道路を走る車の殆どがヘッドライトを点けて走っているほどだ。
最寄りのバス停は、往路に乗ったミヤコーバスの物と仙台市交通局の物とポールが2つに分かれている。
休日ダイヤのミヤコーバスは、既に今日の運行を終えていた。
バス用の待避所があるわけでも、バス停の枠がペイントされているわけでもない。
ベンチや屋根が付いているわけでもない。
ただポールが立っているだけのバス停でバスを待つ。
稲生:「これでは仙台駅で夕食ですかね」
イリーナ:「いいんじゃない、それで」
稲生:「何食べますか?」
イリーナ:「この前はお寿司を食べたんだっけ。あれは美味しかったけど、マリアが食べにくいからね」
マリア:「私は別に……」
マリアは生魚が苦手である。
アレルギー体質とか、そういうことではない。
人間時代のトラウマによる。
そこへバスがやってきた。
東京の都営バスでは無くなったワンステップバスである。
平日なら工業地帯を通るバスは夕方ラッシュで賑わっているのだろうが、3連休最後の日とあっては車内はガラガラだった。
後ろの席に座った。
乗車客は稲生達だけ。
彼らを乗せると、バスはヘッドライトの流れに混ざった。
〔このバスは東部工場団地、若林体育館前経由、荒井駅行きでございます。次は賀茂皇神社前、賀茂皇神社前でございます。お降りの際は、お近くのボタンを押してお知らせ願います〕
イリーナ:「あっ、牛タン!牛タンがいい」
稲生:「牛タンですか?」
イリーナがどうしてそんなことを思いついたのか稲生は首を傾げたが、イリーナの視線の先には牛タン屋の広告があった。
稲生:「分かりました。じゃあ、夕食はそれを食べて帰りましょう」
イリーナ:「マリア、それでいい?beef tongueなら大丈夫でしょう?」
マリア:「はい」
野菜のオクラが英語であるのと同様、牛タンのタンも実は英語である。
もちろん、意味はそのまま。舌である。
[同日17:14.天候:晴 地下鉄荒井駅前→駅構内]
バスが駅前のバスプールに到着する。
稲生:「大人3人で」
運転手:「はい、ありがとうございます」
稲生はピピッとSuicaを読取機に当てた。
稲生達が乗ったワンステップバスは日野自動車のブルーリボンシティ。
ノンステップなら都営バスでもよく見かけるが、ワンステップだと埼玉では東武バス系くらいでしか無いかも。
稲生:「風が止みましたね」
イリーナ:「やれやれ。今度は雨か……」
稲生:「雨……?雨降るんですか!?」
イリーナ:「アタシの予知だとね。バスを待っている間に降らなくて良かったね」
一応、傘が無くても魔道師のローブが雨を弾いてくれるのだ。
が、さすがに荷物まで濡れるのは防げない。
稲生:「あっ、ちょっと待ってください。チャージします」
稲生は改札口を通る前に、券売機に立ち寄った。
イリーナ:「いくら入れる?」
稲生:「クレジットカードが使えない部分は、僕が出しますよ?」
イリーナ:「いいからいいから」
イリーナは稲生がSuicaを入れると、そこで1万円札を突っ込んだ。
稲生:「すいません。ありがとうございます」
イリーナ:「じゃ、アタシ達のキップもお願いね」
稲生:「はい」
ゲームセンターなどでは幼女形態をしていたミク人形やハク人形も、今では完全に人形形態としてマリアのバッグの中に収まっている。
なので、人形達の交通費は掛からない。
何とも便利な人形達であるが、幼女形態にあっては、可愛さよりも不気味さがどことなくある。
稲生は最初座敷童のようだと思ったものだが、日本の妖怪であるそれを西洋風にするとミク人形達みたいになるのだろうと思われる。
改札口を通って、ホームに降りる。
地上にキップ売り場と改札口があって、ホームは地下という形態は意外と無い。
東京メトロでも、日比谷線の入谷駅くらいしか思いつかない。
乗車ホームに行くと、ちょうど電車が入線してきた所だった。
引き上げ線からの折り返しなので、既に乗客が中にいるということは無い。
〔お知らせします。この電車は、八木山動物公園行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕
〔「17時22分に発車致します。荒井を出ますと、六丁の目、卸町、薬師堂、連坊、宮城野通、仙台、青葉通一番町、大町西公園、国際センター、川内、青葉山、終点八木山動物公園の順に止まります。発車まで、しばらくお待ちください」〕
ブルーの座席に座った。
網棚は座席の真ん中辺りの上に、申し訳程度にしか付いていない。
これはミニ地下鉄の規格で建設された為、車両もフル規格の南北線よりも小さく、圧迫感を与えない為であるという。
その網棚の上には新聞が置いてあり、拾ってみるとアルカディアタイムス日本語版だった。
稲生:「本当に強かですね」
イリーナ:「何か面白いニュースでもある?」
稲生:「特に無いですね。……あ、なんだこりゃ?『“私立探偵 愛原学”の続編なるか?』『宮城県仙台市内において、お忍び取材をしている雲羽監督目撃さる!』」
イリーナ:「ま、何というか……好きにさせておいたら?」
稲生:「は、はい。(何か、嫌な予感しかしないなぁ……)」
[同日17:22.天候:地下なので不明 地下鉄荒井駅→仙台市地下鉄東西線2000系先頭車内]
〔「お待たせ致しました。17時22分発、八木山動物公園行き、まもなく発車致します」〕
〔2番線から、八木山動物公園行きが発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
チャイムともメロディとも判別のつかぬ発車サイン音がホームに鳴り響いた。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
大きなドアチャイムの音と共にドアが閉まる。
そして、電車がゆっくり走り出した。
〔次は六丁の目、六丁の目、サンピア仙台前です〕
〔The next stop is Rokuchonome station.〕
〔本日も地下鉄をご利用頂き、ありがとうございます。お客様に、お願い致します。……〕
稲生:「……『「ラクーンシティの地下鉄も終点が動物園駅なんですよね」と語る雲羽氏』ですって」
イリーナ:「それ、本当?」
稲生:「いや、多分ウソだと思います」
マリア:「私は映画ができたら、是非とも見てみたい」
イリーナ:「マリアは映画とか好きだもんね」
マリア:「ユウタと観るのが好きなんです」
イリーナ:「そうなの。(前にホラーを観て、手を握っていたのはユウタ君の方だったって聞いたけど……)」
休みの日、起きる時間は完全自由な所が独り身のメリットであるとのことですが、正しくその通りのようです。
逆に、それが仇となるのが孤独死なのでしょう。
それはさておき、マーボー焼きそばですが……私はこの作品に登場させるつもりはありません。
それか私の評価です。
地元に帰っても実家の料理に出てくることはまずありませんし、食べに行くという話もありません。
友達の間でも話に出てくることはありませんし、この前くりはら田園鉄道の動態保存会場に行った時も、普通にお昼はラーメン食べてました。
というか、ポテンヒットさんのコメントを見て、それまだあったんだというのが感想です。
友達も昔はマーボー焼きそばを食べていたそうですが、今では普通にラーメンを食べているそうです。
私も富士宮やきそばの方が美味いと思います。
当の富士宮の人達はどう思っているか分かりませんが。
恐らくポテンヒットさんの仰る通り、食べて不味いわけではないけども、忘れやすい味なんでしょうね。
私も、どんな味だったっけ?ということで、しばらく頭が『ダウンロードしています…』状態でしたから。
結論から言えば、俺的にはスタミナラーメン>マーボー焼きそばだったw
仙台のご当地グルメとして俺は牛タン以上に期待していた。牛タンは利久が大宮エキュートにあったりでこっちでも食えるし、それよりマジで仙台でしか食えない、つまり埼玉の娘娘や漫々亭のスタミナラーメンのようなソウルフードを食ってみたかった。つ~かユアスタ近くの「まんみ」でベガルタサポに包囲されながら食ってみたw
いや、美味かった。挽肉タップリで食いごたえもあった。だが、何かが違う。美味いどころかメチャ美味いはずなんだけど、何かが違う。1回食えばいいかな~というあの感覚は何なんだろうとけっこう悩んだが、たぶん中毒性に欠けるんじゃね~かw
娘娘のスタミナラーメンは、俺は定期的に通わないと禁断症状で発狂するジャンキー状態に陥っている。それで育っちまったからなんだろうな。だからマーボー焼きそばも美味いんだけど、でも認められなかった。例えば死刑宣告を受けたとして選ぶ最後のメシとしてくらいにw
ま、スタミナラーメンの洗脳だろうな。ガキの頃からそれで育っちまったからw
そういや今日は顕正の最終日だったらしいな。場外発売とは言えG1決勝があった大宮競輪の帰りでは、洗脳された(めんどくせ~から以下略)w