“新人魔王の奮闘記” また更に続く
「やめい!やめい!」
春明は天井に向かって、自動小銃AK-47を発砲した。うち1発はシャンデリアに当たって、物凄い大きな音を立てて床に落ちた。
「春明!何してんの!」
そんな春明をルーシーが咎める。
「衛兵達も静まれ!」
春明の喝に衛兵達の動きが止まる。
「まずは落ち着こう。レナから話を聞く。何があった?」
「何があっただって?そこの魔王が私の弟の血ィ吸いやがって、落ち着いてられるわけないでしょうよ!」
「シャラップ!何が弟よ!?どこにそんな証拠があんの!」
「そう思うなら、催眠術を解けよ!」
「まあまあまあ。ルーシー、俺達がレナの弟を一斉捜索してるって話……あっ!」
するとルーシーは眉を潜めた。
「何の話?私、何も聞いてないよ?」
「嘘つくなよ!普通、首相から魔王に報告が行くだろ!?すっトボけてんじゃねーよ!」
「だから聞いてないっての!この男があんたの弟だったら、最初から対象外にするよ」
「絶対ウソだ!仮にも魔王なら、後出しジャンケンしないで正々堂々としな!」
「うるさい!傭兵の如き、下賎の者が私に口出しするんじゃない!」
「あ、あの、アベ閣下……」
近衛兵隊の隊長が困惑した様子で春明に話し掛ける。
「私共は如何すればよろしいのでしょうか?陛下からは、あの赤い服の女を捕らえよと命令されているのですが……」
その命令を差し止めたのが春明の為、兵隊達が宙に浮いている状態なのだ。
「そ、そうだな。取りあえず、あの2人を引き離そう。んで、あの少年はレナと一緒に連れて行け」
「ははっ」
「あっ、地下牢じゃなくて、総理官邸の方ね」
「……ははっ」
「ちょっと!何するの!?てか、アベ!マジで魔王知らなさそうだよ?どういうこと!?」
「う、うん。あっちで話そう。弟さんも連れてな。あっ、やっぱり診療所に連れて行った方がいいかな?あ、そうそう。一部の隊員は、“参加者”の皆さんを丁重に城外までご案内するように」
「ちょっと待ちなさい!春明!まず私に説明しなさい!」
「ルーシーには後でじっくり説明するからちょっと待ってて!」
「フリーズ!」
「あとの者は陛下を丁重に、御寝所までお送りするように!」
春明はレナの背中を押して、逃げるように謁見の間から出て行った。
「“勇者”のくせに、魔王の私から逃げやがった……!」
ルーシーは半分憤怒、半分呆気の状態でいた。
「しかしアベ閣下、陛下の魔法が効かないとは……」
隊長は完全に呆気に取られていた。そして、
(さすが勇者様は凄い)
と、心の中で感服した。
(と、それよりも……)
隊長はルーシーに向き直した。
「大変恐れ入ります。陛下、お部屋に戻りましょう」
ルーシーの顔に憤怒の表情が浮かんでいた。
「お怒りになられるのも、無理からぬことでございます。ですが、アベ閣下は必ず今夜の事件の真相をご説明くださるでしょう」
隊長は、ルーシーが“王宮見学会”を妨害されたことを怒っているのだと思っていた。
「こ、この私を差し置いて……あんな奴を……!」
「へ、陛下?」
“魔王の杖”の先端がピンク色に光っていた。七つの大罪に関わる悪魔のシンボルカラーに光ると聞いたことがあるが、ピンク色は……恐らく“憤怒”だったと思うが……。
「やめい!やめい!」
春明は天井に向かって、自動小銃AK-47を発砲した。うち1発はシャンデリアに当たって、物凄い大きな音を立てて床に落ちた。
「春明!何してんの!」
そんな春明をルーシーが咎める。
「衛兵達も静まれ!」
春明の喝に衛兵達の動きが止まる。
「まずは落ち着こう。レナから話を聞く。何があった?」
「何があっただって?そこの魔王が私の弟の血ィ吸いやがって、落ち着いてられるわけないでしょうよ!」
「シャラップ!何が弟よ!?どこにそんな証拠があんの!」
「そう思うなら、催眠術を解けよ!」
「まあまあまあ。ルーシー、俺達がレナの弟を一斉捜索してるって話……あっ!」
するとルーシーは眉を潜めた。
「何の話?私、何も聞いてないよ?」
「嘘つくなよ!普通、首相から魔王に報告が行くだろ!?すっトボけてんじゃねーよ!」
「だから聞いてないっての!この男があんたの弟だったら、最初から対象外にするよ」
「絶対ウソだ!仮にも魔王なら、後出しジャンケンしないで正々堂々としな!」
「うるさい!傭兵の如き、下賎の者が私に口出しするんじゃない!」
「あ、あの、アベ閣下……」
近衛兵隊の隊長が困惑した様子で春明に話し掛ける。
「私共は如何すればよろしいのでしょうか?陛下からは、あの赤い服の女を捕らえよと命令されているのですが……」
その命令を差し止めたのが春明の為、兵隊達が宙に浮いている状態なのだ。
「そ、そうだな。取りあえず、あの2人を引き離そう。んで、あの少年はレナと一緒に連れて行け」
「ははっ」
「あっ、地下牢じゃなくて、総理官邸の方ね」
「……ははっ」
「ちょっと!何するの!?てか、アベ!マジで魔王知らなさそうだよ?どういうこと!?」
「う、うん。あっちで話そう。弟さんも連れてな。あっ、やっぱり診療所に連れて行った方がいいかな?あ、そうそう。一部の隊員は、“参加者”の皆さんを丁重に城外までご案内するように」
「ちょっと待ちなさい!春明!まず私に説明しなさい!」
「ルーシーには後でじっくり説明するからちょっと待ってて!」
「フリーズ!」
「あとの者は陛下を丁重に、御寝所までお送りするように!」
春明はレナの背中を押して、逃げるように謁見の間から出て行った。
「“勇者”のくせに、魔王の私から逃げやがった……!」
ルーシーは半分憤怒、半分呆気の状態でいた。
「しかしアベ閣下、陛下の魔法が効かないとは……」
隊長は完全に呆気に取られていた。そして、
(さすが勇者様は凄い)
と、心の中で感服した。
(と、それよりも……)
隊長はルーシーに向き直した。
「大変恐れ入ります。陛下、お部屋に戻りましょう」
ルーシーの顔に憤怒の表情が浮かんでいた。
「お怒りになられるのも、無理からぬことでございます。ですが、アベ閣下は必ず今夜の事件の真相をご説明くださるでしょう」
隊長は、ルーシーが“王宮見学会”を妨害されたことを怒っているのだと思っていた。
「こ、この私を差し置いて……あんな奴を……!」
「へ、陛下?」
“魔王の杖”の先端がピンク色に光っていた。七つの大罪に関わる悪魔のシンボルカラーに光ると聞いたことがあるが、ピンク色は……恐らく“憤怒”だったと思うが……。
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