[10月22日14時44分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線1421T電車先頭車]
私達はリサの着替えや、自分達1泊分の泊まりの準備をして菊川駅に向かった。
土曜日昼下がりの駅に用務客の姿は少なく、家族連れや学生達の姿の方が目立った。
〔まもなく1番線に、各駅停車、新宿行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
本八幡方向から、都営の車両がやってくる。
週末ということもあり、車内は空いていた。
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。きくかわ~、菊川~〕
私達は電車に乗り込んだ。
空いている座席に座るが、座席の硬いタイプであった。
すぐに、短い発車メロディが流れる。
〔1番線、ドアが閉まります〕
JRの通勤電車と同じタイプのドアチャイムが鳴り、ホームドアが閉まる。
駆け込み乗車は無かったのか、再開閉することはなかった。
そして、運転室から発車オーライのブザーが鳴ると、ガチャッとハンドルを操作する音が聞こえてくる。
車両のドアさえ閉まり切ればすぐに発車するJRの通勤電車に乗り慣れていると、少しまだるっこしく感じるが、都電からの名残とあらば致し方ない。
電車は暗闇のトンネルの中に入る。
〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
ところで、私が持っている荷物は、リサの着替えや自分達の泊まりセットだけではない。
私が仮眠中に見た夢の内容をまとめた書類も入っている。
たかが夢の話と一蹴されるかもしれないが、あまりにも具体的過ぎる内容だったので、話しておきたいと思ったのだ。
それで一蹴されてしまうようなら、仕方が無い。
高橋「リサ、どんな感じなんスかね?」
愛原「俺は期待しているよ」
高橋「期待されてますか」
愛原「もしも手遅れなら、俺達を呼ぼうとは思わんだろう」
高橋「死体の処理を手伝わせるとか?」
愛原「無い無い。これまでBSAAに倒されたBOWの末路、資料映像とかで観ただろ?殆どが死体すら残さずに消えている。日本版リサ・トレヴァー達もそうだっただろ?その辺はリサも同じだろう」
高橋「なるほど……」
愛原「それに、もし仮にリサが手遅れになるほどの化け物になったとして、BSAAが出動したら、とっくにこの地下鉄は運転見合わせになっているだろう」
高橋「あっ!」
愛原「診療所のあるビル、浜町駅に程近いからね。ビルを巻き込んでの大騒動になった場合、BSAAなら街を巻き込んでの大騒動にするだろう。当然、地下鉄が走れるわけがないということさ」
高橋「そういうことでしたか」
もっとも、ニューヨークの地下鉄とかは、事件現場の最寄り駅は閉鎖し、電車は全てその駅を通過させて、運転自体は続けるそうだがな。
[同日14時47分 天候:晴 東京都中央区日本橋浜町 都営地下鉄浜町駅→某診療所]
電車はものの数分程度で、浜町駅に到着する。
〔……各駅停車、新宿行きです。はまちょう、浜町。明治座前〕
私達は電車を降り、エスカレーターで改札階に向かった。
浜町駅構内は、静かなものである。
明治座で大きな公演がある場合は、賑わうようだが。
また、日本橋街区ということもあり、オフィスビルも多い為、平日の朝夕ラッシュも賑わう。
愛原「ほら、駅は静かだぞ」
高橋「そうっスね」
改札口を出て、今度は地上に向かう。
地上に出ても、静かなものだった。
そして、診療所の入っているビルも、閉鎖されているということはない。
もちろん週末なので、ビルの正面入口は閉められている。
私達は防災センターに立ち寄って、用件を伝えた。
それから奥に進んで、エレベーターホールに出る。
愛原「やっぱり何も無いな」
高橋「俺の考え過ぎでした。サーセン」
愛原「まあ、いいよ」
エレベーターに乗って、診療所のあるフロアに向かう。
土曜日は午前中しか診療していない為、診療所の正面入口は閉鎖されていたが、通用口から入れた。
善場「愛原所長、お疲れさまです」
いつもながら、善場主任はポーカーフェイスなので、なかなか感情が読み取れない。
愛原「戻りました。リサの着替えと、私達の泊まりの準備です」
善場「ありがとうございます。この近くのホテルを取りましたので、愛原所長と高橋助手はそちらに泊まってください」
愛原「あ、ありがとうございます。それで……リサは?」
善場「お会いになりますか?もっとも、彼女の方もそれを望んでいますが……」
愛原「いいんですか!?」
ということは……ということは……!
私達は機械室に偽装された『特別処置室』の中に案内された。
機械室の入口のようなドアから中に入り、通路を10mくらい進むと、また似たような鉄扉がある。
最初のドアは普通の鍵で開けるタイプだが、今度はカードキーと暗証番号で開けるタイプだった。
そして、最初のドアよりも厚みのある鉄扉を開けると、そこは……見た目は普通の病室。
やや広めの個室といったところだ。
リサ「先生……!」
ベッドにはリサが寝かされており、彼女はエンジ色の検査着を着ていた。
見た目は普通の人間の姿である。
だが、肌の色は土気色になっており、明らかにやつれている。
死にそうな病人みたいだ。
愛原「おまっ……!?それ、大丈夫なのか!?」
善場「薬の副作用です。何とか、ここまでの姿に戻りました。しかし、かつての姿までに戻るには、もう少し時間が掛かりそうです」
愛原「時間が掛かるとは、どれくらいですか?」
善場「医官の見解では、3日ないし1週間とのことです」
愛原「3日から1週間……」
善場「あくまでも、見解では、です。薬の副作用で、Gウィルスまでもが今は弱体化している状態ですので……。しかしながら、Gウィルスは再び活性化するでしょう。その時、リサは元気になるはずです」
愛原「そうですか……」
善場「リサ、取りあえず下着を着なさい」
リサ「はい……」
リサは起き上がるのもやっとという感じだった。
左手には点滴を着けているが、看護師によって、一時的にチューブだけは外され、針を付けたままで着替えを始めた。
もちろん、私はその間、カーテンの外側に出る。
こういう時は、ハーフトップブラの方がいいな。
リサの下着着用が終わり、再び検査着と点滴の管が装着されると……。
愛原「善場主任、ちょっとこれを……」
私は善場主任に、書類を渡した。
あの夢のことについて、まとめたものだ。
愛原「一蹴されるかもしれませんが……」
善場「いえ、もしかしたら、特異菌の作用かもしれません。早速、確認させて頂きます。その間、所長はリサと話していてください」
愛原「分かりました」
私はやつれた顔のリサと対面した。
医官の話によると、特異菌を完全に排除することはできなかったという。
特異菌がTウィルスをエサにしていた可能性があり、それならばと、今度はTウィルスの徹底排除に乗り出した。
それは成功し、餌が無くなって弱体化した特異菌を、今度はGウィルスが食べ始めたが、やはり合わなかったらしく、弱ってしまった。
それが、今のリサの状態なのだという。
特異菌とGウィルスが仲良く、リサの体内で共同生活してもらえれば良いとのこと。
今はどちらも弱体化している状態の為、リサも弱っている状態ということだ。
私達はリサの着替えや、自分達1泊分の泊まりの準備をして菊川駅に向かった。
土曜日昼下がりの駅に用務客の姿は少なく、家族連れや学生達の姿の方が目立った。
〔まもなく1番線に、各駅停車、新宿行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
本八幡方向から、都営の車両がやってくる。
週末ということもあり、車内は空いていた。
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。きくかわ~、菊川~〕
私達は電車に乗り込んだ。
空いている座席に座るが、座席の硬いタイプであった。
すぐに、短い発車メロディが流れる。
〔1番線、ドアが閉まります〕
JRの通勤電車と同じタイプのドアチャイムが鳴り、ホームドアが閉まる。
駆け込み乗車は無かったのか、再開閉することはなかった。
そして、運転室から発車オーライのブザーが鳴ると、ガチャッとハンドルを操作する音が聞こえてくる。
車両のドアさえ閉まり切ればすぐに発車するJRの通勤電車に乗り慣れていると、少しまだるっこしく感じるが、都電からの名残とあらば致し方ない。
電車は暗闇のトンネルの中に入る。
〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
ところで、私が持っている荷物は、リサの着替えや自分達の泊まりセットだけではない。
私が仮眠中に見た夢の内容をまとめた書類も入っている。
たかが夢の話と一蹴されるかもしれないが、あまりにも具体的過ぎる内容だったので、話しておきたいと思ったのだ。
それで一蹴されてしまうようなら、仕方が無い。
高橋「リサ、どんな感じなんスかね?」
愛原「俺は期待しているよ」
高橋「期待されてますか」
愛原「もしも手遅れなら、俺達を呼ぼうとは思わんだろう」
高橋「死体の処理を手伝わせるとか?」
愛原「無い無い。これまでBSAAに倒されたBOWの末路、資料映像とかで観ただろ?殆どが死体すら残さずに消えている。日本版リサ・トレヴァー達もそうだっただろ?その辺はリサも同じだろう」
高橋「なるほど……」
愛原「それに、もし仮にリサが手遅れになるほどの化け物になったとして、BSAAが出動したら、とっくにこの地下鉄は運転見合わせになっているだろう」
高橋「あっ!」
愛原「診療所のあるビル、浜町駅に程近いからね。ビルを巻き込んでの大騒動になった場合、BSAAなら街を巻き込んでの大騒動にするだろう。当然、地下鉄が走れるわけがないということさ」
高橋「そういうことでしたか」
もっとも、ニューヨークの地下鉄とかは、事件現場の最寄り駅は閉鎖し、電車は全てその駅を通過させて、運転自体は続けるそうだがな。
[同日14時47分 天候:晴 東京都中央区日本橋浜町 都営地下鉄浜町駅→某診療所]
電車はものの数分程度で、浜町駅に到着する。
〔……各駅停車、新宿行きです。はまちょう、浜町。明治座前〕
私達は電車を降り、エスカレーターで改札階に向かった。
浜町駅構内は、静かなものである。
明治座で大きな公演がある場合は、賑わうようだが。
また、日本橋街区ということもあり、オフィスビルも多い為、平日の朝夕ラッシュも賑わう。
愛原「ほら、駅は静かだぞ」
高橋「そうっスね」
改札口を出て、今度は地上に向かう。
地上に出ても、静かなものだった。
そして、診療所の入っているビルも、閉鎖されているということはない。
もちろん週末なので、ビルの正面入口は閉められている。
私達は防災センターに立ち寄って、用件を伝えた。
それから奥に進んで、エレベーターホールに出る。
愛原「やっぱり何も無いな」
高橋「俺の考え過ぎでした。サーセン」
愛原「まあ、いいよ」
エレベーターに乗って、診療所のあるフロアに向かう。
土曜日は午前中しか診療していない為、診療所の正面入口は閉鎖されていたが、通用口から入れた。
善場「愛原所長、お疲れさまです」
いつもながら、善場主任はポーカーフェイスなので、なかなか感情が読み取れない。
愛原「戻りました。リサの着替えと、私達の泊まりの準備です」
善場「ありがとうございます。この近くのホテルを取りましたので、愛原所長と高橋助手はそちらに泊まってください」
愛原「あ、ありがとうございます。それで……リサは?」
善場「お会いになりますか?もっとも、彼女の方もそれを望んでいますが……」
愛原「いいんですか!?」
ということは……ということは……!
私達は機械室に偽装された『特別処置室』の中に案内された。
機械室の入口のようなドアから中に入り、通路を10mくらい進むと、また似たような鉄扉がある。
最初のドアは普通の鍵で開けるタイプだが、今度はカードキーと暗証番号で開けるタイプだった。
そして、最初のドアよりも厚みのある鉄扉を開けると、そこは……見た目は普通の病室。
やや広めの個室といったところだ。
リサ「先生……!」
ベッドにはリサが寝かされており、彼女はエンジ色の検査着を着ていた。
見た目は普通の人間の姿である。
だが、肌の色は土気色になっており、明らかにやつれている。
死にそうな病人みたいだ。
愛原「おまっ……!?それ、大丈夫なのか!?」
善場「薬の副作用です。何とか、ここまでの姿に戻りました。しかし、かつての姿までに戻るには、もう少し時間が掛かりそうです」
愛原「時間が掛かるとは、どれくらいですか?」
善場「医官の見解では、3日ないし1週間とのことです」
愛原「3日から1週間……」
善場「あくまでも、見解では、です。薬の副作用で、Gウィルスまでもが今は弱体化している状態ですので……。しかしながら、Gウィルスは再び活性化するでしょう。その時、リサは元気になるはずです」
愛原「そうですか……」
善場「リサ、取りあえず下着を着なさい」
リサ「はい……」
リサは起き上がるのもやっとという感じだった。
左手には点滴を着けているが、看護師によって、一時的にチューブだけは外され、針を付けたままで着替えを始めた。
もちろん、私はその間、カーテンの外側に出る。
こういう時は、ハーフトップブラの方がいいな。
リサの下着着用が終わり、再び検査着と点滴の管が装着されると……。
愛原「善場主任、ちょっとこれを……」
私は善場主任に、書類を渡した。
あの夢のことについて、まとめたものだ。
愛原「一蹴されるかもしれませんが……」
善場「いえ、もしかしたら、特異菌の作用かもしれません。早速、確認させて頂きます。その間、所長はリサと話していてください」
愛原「分かりました」
私はやつれた顔のリサと対面した。
医官の話によると、特異菌を完全に排除することはできなかったという。
特異菌がTウィルスをエサにしていた可能性があり、それならばと、今度はTウィルスの徹底排除に乗り出した。
それは成功し、餌が無くなって弱体化した特異菌を、今度はGウィルスが食べ始めたが、やはり合わなかったらしく、弱ってしまった。
それが、今のリサの状態なのだという。
特異菌とGウィルスが仲良く、リサの体内で共同生活してもらえれば良いとのこと。
今はどちらも弱体化している状態の為、リサも弱っている状態ということだ。
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