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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「帰京の途に就く鬼娘達」

2025-07-19 08:13:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月18日15時50分 天候:曇 宮城県仙台市宮城野区榴岡 仙台駅東口バスプール→JR仙台駅]

 リサ達を乗せたホテルの送迎バスは、市街地の入口で渋滞に巻き込まれた。
 その為、予定よりやや遅れて仙台駅東口に到着した。
 3連休最終日ということもあり、高速道路が混雑しているらしく、そのインター付近が混んでいた為だ。

 リサ「バスを待っている人達がいるよ?」
 愛原学「宿泊客がこれから乗るんだよ。要は俺達日帰り客を送った後、折り返しで宿泊客を乗せてホテルに戻るんだ」
 リサ「そっかぁ……」

 バスがバース内に停車し、大きなエアー音が車内に響く。
 そして、またエアーの音がして外開き式のスライドドアが開いた。

 運転手「お疲れさまでした!仙台駅に到着です!」

 リサ達、乗客はドアの方に歩いて行った。
 日帰り客なのであまり大きな荷物を持っている者は少なく、網棚や座席に置いたバッグを持ち出すだけであった。
 大きな荷物を荷物室に積んでいるのは、むしろリサ達。
 運転手が降りて、荷物室のハッチを開けた。

 運転手「どうぞ」
 レイチェル「Thank you.」

 バスを降りると、学が両親を見送りに行くという。
 エスカレーターでペデストリアンデッキの2階に上がる。

 愛原父「いいよ!俺達、地下鉄で帰るから!」
 学「何言ってんの!久しぶりにはしゃいで、腰を痛めたのに!」
 愛原母「年甲斐も無く、卓球ではしゃぐからよ」
 父「温泉に行って卓球で盛り上がるのは当然だろう!」
 母「モノには限度ってもんがあるでしょ!」
 学「というわけで、タクシー代は出すから、今日はタクシーで帰ってよ」

 学は財布の中から2000円を出して母親に渡した。

 母「本当に悪いわねぇ……。気をつけて行くのよ」
 学「ああ」

 東口のタクシー乗り場まで見送る。
 この時間帯では混雑していない為、タクシーにはすぐ乗ることができた。

 母「リサちゃんも……学の事、宜しくね」
 リサ「はい!」

 学の両親はタクシーに乗って、実家へと帰って行った。

 学「よし、それじゃ俺達も行こうか」

 学はリサの肩を叩いた。

 リサ「うん……ひィッ!?」

 リサはそちらの方を見たが、その学の手の甲に大きな目玉が出来ているのが見えた。

 学「ん、どうした?」
 リサ「……!?い、いや、何でもない……」

 しかし、よく見るとそれは無かった。

 リサ(気のせいか……?!)

 別のエスカレーターに乗って、駅の入口がある2階へと向かう。

 リサ「レイチェル、今の分かった?」
 レイチェル「何がですか?」
 リサ「レイチェルには見えなかった?」
 レイチェル「だから、何がですか?」
 リサ「やっぱり気のせいかぁ……」

 どうしてあんな錯覚が見えたのか不明だが、そう思うことにした。

 リサ「先生、手ェ握ろう!」
 愛原学「んん?大胆だなぁ、お前」

 手を握る時、リサは愛原の左手を見てみたが、やはり目玉があるような怪異は無かった。
 やはり、ただの見間違いだったのだろう……。

[同日16時00分 天候:曇 JR仙台駅・新幹線乗り場]

 愛原「キップは1人ずつ持とう」
 リサ「ありがとう」

 駅の中に入り、3階の新幹線乗り場へ向かう。
 愛原は指定席券売機で、東京駅までの自由席特急券と乗車券を買った。
 指定席券売機で買うと、乗車券と特急券が1枚に纏められている。

 愛原「夕食は向こうに帰ってから食べることになるが、食べ物は……」
 リサ「そりゃ当然買うに決まってるでしょw」
 愛原「そりゃそうだな」

 新幹線南口改札から自動改札機を通って、コンコースに入る。
 入ってすぐの所にあるNewDaysで、飲み物などを購入した。

 愛原「ビーフジャーキーなら、詫びの品でもらった中に入っていただろう?」
 リサ「あれ、ビーフジャーキーじゃなくて、ササミジャーキーとか、鹿ジャーキーとかだったよ」
 愛原「そうだっけ。あれも美味そうだったな」

 愛原は、『酒のつまみに』と言っていた。
 すると、愛原の腹が鳴った。

 リサ「あれ?先生もお腹空いたの?」
 愛原「お、おかしいな!昼はちゃんと食べたはずなのに!」
 リサ「天丼じゃダメだよ。やっぱ肉にしないと」
 愛原「そ、それもそうだな!俺もビーフジャーキー買っておこう!」
 リサ「わたしのもいい?」
 愛原「オッケー!」

 愛原はリサのビーフジャーキーや飲み物も手に、レジへと向かった。

 リサ「奢らせ成功w」( ̄ー ̄)ニヤリ

 リサはレイチェルの方を向いてニヤリと笑った。
 そこには苦笑したレイチェルの姿が……無かった。

 レイチェル「……!!」
 リサ「レイチェル?」

 レイチェルの右耳のインカムには、アラームの鳴り響く音が聞こえていた。
 それはBSAAの開発した探知機。
 付近に強力なBOWがいる時に反応する時のアラーム。
 リサの場合は、通常は鳴らないように設定されている。
 暴走する際に鳴るようになっている。
 もちろん、今は暴走していないので、鳴るはずがない。
 しかし、鳴っている。
 レイチェルの探知機には、『未確認』と表示されている。
 リサのは当然登録されているわけだから、すぐ横にいても暴走さえしなければアラームは鳴らない。
 未確認の強力なBOWの存在を検知し、それでアラームが鳴っているのだ。
 その検知先を確認すると、どうしてもそれが愛原から発せられているとしか言いようが無いのだ。

 レイチェル「リサ。リサには何が見えますか?」
 リサ「え……?」
 レイチェル「リサには、愛原センセイが化け物に見えますか?」
 リサ「い、いえ……。別に……」

 リサは先ほど、駅のタクシー乗り場で見た愛原の手の甲に現れた目玉を思い出したが、気のせいということにしている。
 同じくその場にいたレイチェルが見ていないというのだし、愛原自身も何も言ってこない。

 レイチェル「そうですか……」

 レイチェルはアラームを止めた。

 愛原「買って来たぞ!」
 リサ「あ、ありがとう」
 愛原「自由席だから、早いとこホームに行って並ぼう!」

 仙台駅始発の“やまびこ”だから、早めに並べば座れるとのこと。
 3人はまたエスカレーターに乗り、4階の新幹線ホームに向かった。

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