[9月11日18:00.天候:雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル1Fロビー]
稲生:「ところでさ、どうしてワンスターホテルって名前なの?」
エレーナ:「ドヤ街の中では高級ホテルだったからだよ」
稲生:「えっ?」
稲生は隣室のマリアを誘って夕食に行こうとしたのだが、マリアの方がまだ準備ができていなかったらしく、先に行っているように言われた。
エレベーターでロビーに下りると、やはりエレーナがフロント係をやっていた。
で、暇つぶしにエレーナと喋っているわけである。
エレーナ:「ドヤ街に星がもらえるようなホテルがあるわけないじゃない?そんな中で、星が1つでももらえるようなホテルだってことでさ」
稲生:「そういう理由なの?」
エレーナ:「あとは……オーナーの名前から取ったとか……?」
稲生:「オーナーの名前?」
チーン♪(エレベーターが1階に到着)
マリア:「お待たせ!」
エレーナ:「フム。『彼氏を焦らす作戦』か」
マリア:「は?」
エレーナ:「だがしかし、私と楽しく喋った時点で失敗、と……」
マリア:「おい!」
稲生:「ぼぼぼ、僕はそんなつもりはーっ!」
変な三角関係になりつつある先輩達の様子を横目で見ながら、リリアンヌはロビーの掃除を手伝っていた。
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。発言小町以上のドロドロ……。フフフフ……」
エレーナ:「あっ、リリィ!人目に付く所ではとんがり帽子は取って!変なキリスト教団にバレたらめんどくさいから!」
リリアンヌ:「フヒッ?は、はい……」
稲生:「あー、何かあったね、そんなこと。正証寺の皆、元気かなぁ……」
エレーナ:「おやぁ?その顔はまた日蓮正宗法華講に戻りたくなりましたかなぁ〜?」
マリア:「ユウタ、本気か!?」
稲生:「や、やだなぁ。僕は今やダンテ門流魔法の見習魔道師ですよ。謗法にならない為にも、仏法は捨てなきゃ」
マリア:「その意気だぞ」
と言いつつ、マリアは多少複雑であった。
実はダンテ門流では、別にキリスト教以外の宗教であれば掛け持ちOKだったりする。
少なくとも、門内禁止事項としては『魔女を弾圧するキリストの信仰は捨て……』くらいしか書いていない。
この門規を定めた際、仏教徒が入って来ることまでは想定していなかったらしい。
なんぼ大魔道師とはいえ、何百年も先のことまで(必ず当たるという保証付きという条件では)予知できないからだ。
実際、稲生は顕正会での日蓮仏法実践により、持ち前の霊力(≒魔力)を高めたとされる。
暴走気味に鰻上りを続ける霊力に、(現在では勝手に使い魔扱いされている)威吹は大喜びで稲生の顕正会仏法を最初は協力していた。
だが、他の悪質妖怪達も稲生に目を付け、威吹から稲生を横取りせんと夜な夜な稲生家への襲撃が繰り返されたこともある。
宗門(法華講)に行ってからは霊力の上昇もストップし、安定飛行の為にむしろ下がるという現証に威吹は複雑な思いを抱いたという。
マリア:(別に仏教徒を辞める必要は無い。でも、それだとせっかく私の所に居場所を作ってくれたユウタが……あっちに行って、戻って来なくなるかも……)
エレーナ:「大石寺にでも行ってきたら?カントクも行くんでしょ?」
多摩:「本当か!?」
雲羽:「……!……!」(←無言で『台本と違うぞ!』と言っている)
エレーナ:「いやあ、懐かしいなぁ。あん時ゃ私、アンタ達の敵だったもんね」
稲生:「そうだねぇ……」
エレーナ:「アタシの魔法力駆使して、奉安堂を崩壊させてやろうとしたもんさ」
稲生:「失敗したけどね」
エレーナ:「さすがに無謀だった」
マリア:「そん時のオマエ、ブスキャラ扱いだったしな」
エレーナ:「黒歴史だからそれは言わないでっ!」
リリアンヌ:「フヒヒヒヒ……。読者の皆様、挿絵家さんに書かせた2枚の絵があります。1枚は“東方Project”は霧雨魔理沙の絵を少しいじくったものです。もう1枚は……」
エレーナ:「リリィ、ダメっ!」
[同日18:30.天候:雨 ワンスターホテル内レストラン“マジックスター”]
ここはダンテ一門の魔道師の1人がテナントとして入居し、経営するレストランである。
店長のキャサリンは元々ポーリン組に所属していたのだが、ハイマスター(High Master.ベテラン魔道師)になってからは独立し、このホテルでレストランを経営している。
ポーリン組は魔法薬の研究・開発に勤しむ所であるからして、そこを卒業したキャサリンも魔法薬と様々な種類のハーブを駆使した薬膳をメインディッシュとしている。
表向きは『創作西洋薬膳の店』ということになっている。
稲生:「お店、なかなか繁盛してますね」
キャサリン:「おかげさまで」
マリア:「あなたの後輩、少しフザけ過ぎよ。姉弟子として、注意してやってください」
キャサリン:「うーん……。気持ちは分かるんだけど、私はもうOGだから余計な首は突っ込め無いのよね」
尚、エレーナが初めて稲生達の敵として登場した時は既にポーリン組から独立していた為、エレーナの凶行を止めることはできなかった。
ただ、さすがに師匠同士のケンカに弟子まで巻き込むのはいかがなものかと元・師匠のポーリンを諌める手紙を出したことはあったそうだ。
但し、けんもほろろに断られたもよう。
前に来た時はキャサリンが1人で切り盛りをしていたが、今では数人の魔女が接客応対などをしていた。
マリア:「キャサリン組、結成ですか?」
キャサリン:「どうだろう?お店が流行ってきて、1人でやるのが大変になったからバイトを雇っただけなんだけど……」
稲生:「魔女じゃないんですか!?」
キャサリン:「バイト募集の広告を出して、応募してきたコ達がたまたま全員魔女の資質があっただけなのよ」
マリア:「多分それ、どこからかの見えない『後押し』があったものと思われます」
稲生:「キャサリンさんの契約悪魔か、或いはポーリン先生とか?」
キャサリン:「なるほど。私の契約悪魔か。使い魔が勝手なことをするなと何度も言ってるんだけどねぇ……。あ、ワインお代わりいるでしょ?」
マリア:「ええ」
稲生とマリアはカウンター席に隣り合って座っている。
稲生:「あ、そうそう。『飴玉婆さん』」
キャサリン:「懐かしい通り名を覚えてるね」
稲生:「昔、僕が卒業した高校の前にいた魔法使いのお婆さん」
それがキャサリンだ。
もちろん当人の見た目は老婆ではなく、30歳になったばかりといった感じの女性。
もっとも、そこは魔道師だ。
見た目の年齢など、ただの見た目に過ぎない。
実際はイリーナのように、4桁も生きているのかもしれない。
それだけの者なら、魔法で自在に見た目年齢を変えることは可能だ。
実際キャサリンも、世間一般的な魔女のイメージとして、しわがれた老婆だろうということで、その姿に変身して稲生の高校の前に現れていた。
キャサリンは自作の魔法薬を無償で高校生に配っていた。
但し、色々と条件はある。
例えば1度その魔法薬を渡した者の所へは、絶対2度と現れないだとか。
魔法薬を渡す相手は、基本的に今現在学校生活が楽しくない者限定だとか。
ここではレストランの女性経営者として気さくに振るまう彼女も、老魔女として活動していた頃は殺人を犯したことがある。
いや、あれは殺めたと言って良いのかどうか……。
稲生:「僕の学校の退学者の中に、『両目を著しく損傷し、失明となった為、学業の続行困難と判断した為』という人がいました。そんなことをしたのがキャサリンさんだと聞いて、ここに来たのが初めてでしたね」
キャサリンの魔法薬の材料の中には、何と人間の目玉を使用するものがあった。
ある時、とある男子高校生に魔法薬を渡したところ、それから2つも奪い取られてしまった。
しかしそこはハイマスターたる大魔道師。
そのような不遜な者の家を突き止め、追い詰めることなど造作も無いこと。
だが駆け付けた時には既に時遅く、奪われた大事な薬は食べられてしまった後だった。
激昂したキャサリンは、その男子生徒の目玉を素手で繰り抜いて持って行ったという。
稲生:「今でもそんな危ないものを調達しているんですか?」
キャサリン:「……日本で集めるのはやめることにしたわ。それに、今は研究も進んで、何も無理して人間の目玉でなくても良いことが分かったの。だから今では、ほとんどやってないわ」
稲生:「そうですか」
マリア:(多分、ウソだな。日本ではやっていないのは本当だと思うけど、おおかた魔界ではやってるってことか……)
キャサリン:「あ、そうそう。東京中央学園の怪談話を作った1人として、OBのあなたに情報提供してあげるわ」
稲生:「えっ?」
キャサリン:「どうもね、私以外にもあなたの学校に怪談話を提供した魔道師がいるみたいなのよ」
稲生:「ええーっ!?」
マリア:「世間は狭いなぁ……」
マリアは呆れてワイングラスに口を付けた。
稲生:「ところでさ、どうしてワンスターホテルって名前なの?」
エレーナ:「ドヤ街の中では高級ホテルだったからだよ」
稲生:「えっ?」
稲生は隣室のマリアを誘って夕食に行こうとしたのだが、マリアの方がまだ準備ができていなかったらしく、先に行っているように言われた。
エレベーターでロビーに下りると、やはりエレーナがフロント係をやっていた。
で、暇つぶしにエレーナと喋っているわけである。
エレーナ:「ドヤ街に星がもらえるようなホテルがあるわけないじゃない?そんな中で、星が1つでももらえるようなホテルだってことでさ」
稲生:「そういう理由なの?」
エレーナ:「あとは……オーナーの名前から取ったとか……?」
稲生:「オーナーの名前?」
チーン♪(エレベーターが1階に到着)
マリア:「お待たせ!」
エレーナ:「フム。『彼氏を焦らす作戦』か」
マリア:「は?」
エレーナ:「だがしかし、私と楽しく喋った時点で失敗、と……」
マリア:「おい!」
稲生:「ぼぼぼ、僕はそんなつもりはーっ!」
変な三角関係になりつつある先輩達の様子を横目で見ながら、リリアンヌはロビーの掃除を手伝っていた。
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。発言小町以上のドロドロ……。フフフフ……」
エレーナ:「あっ、リリィ!人目に付く所ではとんがり帽子は取って!変なキリスト教団にバレたらめんどくさいから!」
リリアンヌ:「フヒッ?は、はい……」
稲生:「あー、何かあったね、そんなこと。正証寺の皆、元気かなぁ……」
エレーナ:「おやぁ?その顔はまた日蓮正宗法華講に戻りたくなりましたかなぁ〜?」
マリア:「ユウタ、本気か!?」
稲生:「や、やだなぁ。僕は今やダンテ門流魔法の見習魔道師ですよ。謗法にならない為にも、仏法は捨てなきゃ」
マリア:「その意気だぞ」
と言いつつ、マリアは多少複雑であった。
実はダンテ門流では、別にキリスト教以外の宗教であれば掛け持ちOKだったりする。
少なくとも、門内禁止事項としては『魔女を弾圧するキリストの信仰は捨て……』くらいしか書いていない。
この門規を定めた際、仏教徒が入って来ることまでは想定していなかったらしい。
なんぼ大魔道師とはいえ、何百年も先のことまで(必ず当たるという保証付きという条件では)予知できないからだ。
実際、稲生は顕正会での日蓮仏法実践により、持ち前の霊力(≒魔力)を高めたとされる。
暴走気味に鰻上りを続ける霊力に、(現在では勝手に使い魔扱いされている)威吹は大喜びで稲生の顕正会仏法を最初は協力していた。
だが、他の悪質妖怪達も稲生に目を付け、威吹から稲生を横取りせんと夜な夜な稲生家への襲撃が繰り返されたこともある。
宗門(法華講)に行ってからは霊力の上昇もストップし、安定飛行の為にむしろ下がるという現証に威吹は複雑な思いを抱いたという。
マリア:(別に仏教徒を辞める必要は無い。でも、それだとせっかく私の所に居場所を作ってくれたユウタが……あっちに行って、戻って来なくなるかも……)
エレーナ:「大石寺にでも行ってきたら?カントクも行くんでしょ?」
多摩:「本当か!?」
雲羽:「……!……!」(←無言で『台本と違うぞ!』と言っている)
エレーナ:「いやあ、懐かしいなぁ。あん時ゃ私、アンタ達の敵だったもんね」
稲生:「そうだねぇ……」
エレーナ:「アタシの魔法力駆使して、奉安堂を崩壊させてやろうとしたもんさ」
稲生:「失敗したけどね」
エレーナ:「さすがに無謀だった」
マリア:「そん時のオマエ、ブスキャラ扱いだったしな」
エレーナ:「黒歴史だからそれは言わないでっ!」
リリアンヌ:「フヒヒヒヒ……。読者の皆様、挿絵家さんに書かせた2枚の絵があります。1枚は“東方Project”は霧雨魔理沙の絵を少しいじくったものです。もう1枚は……」
エレーナ:「リリィ、ダメっ!」
[同日18:30.天候:雨 ワンスターホテル内レストラン“マジックスター”]
ここはダンテ一門の魔道師の1人がテナントとして入居し、経営するレストランである。
店長のキャサリンは元々ポーリン組に所属していたのだが、ハイマスター(High Master.ベテラン魔道師)になってからは独立し、このホテルでレストランを経営している。
ポーリン組は魔法薬の研究・開発に勤しむ所であるからして、そこを卒業したキャサリンも魔法薬と様々な種類のハーブを駆使した薬膳をメインディッシュとしている。
表向きは『創作西洋薬膳の店』ということになっている。
稲生:「お店、なかなか繁盛してますね」
キャサリン:「おかげさまで」
マリア:「あなたの後輩、少しフザけ過ぎよ。姉弟子として、注意してやってください」
キャサリン:「うーん……。気持ちは分かるんだけど、私はもうOGだから余計な首は突っ込め無いのよね」
尚、エレーナが初めて稲生達の敵として登場した時は既にポーリン組から独立していた為、エレーナの凶行を止めることはできなかった。
ただ、さすがに師匠同士のケンカに弟子まで巻き込むのはいかがなものかと元・師匠のポーリンを諌める手紙を出したことはあったそうだ。
但し、けんもほろろに断られたもよう。
前に来た時はキャサリンが1人で切り盛りをしていたが、今では数人の魔女が接客応対などをしていた。
マリア:「キャサリン組、結成ですか?」
キャサリン:「どうだろう?お店が流行ってきて、1人でやるのが大変になったからバイトを雇っただけなんだけど……」
稲生:「魔女じゃないんですか!?」
キャサリン:「バイト募集の広告を出して、応募してきたコ達がたまたま全員魔女の資質があっただけなのよ」
マリア:「多分それ、どこからかの見えない『後押し』があったものと思われます」
稲生:「キャサリンさんの契約悪魔か、或いはポーリン先生とか?」
キャサリン:「なるほど。私の契約悪魔か。使い魔が勝手なことをするなと何度も言ってるんだけどねぇ……。あ、ワインお代わりいるでしょ?」
マリア:「ええ」
稲生とマリアはカウンター席に隣り合って座っている。
稲生:「あ、そうそう。『飴玉婆さん』」
キャサリン:「懐かしい通り名を覚えてるね」
稲生:「昔、僕が卒業した高校の前にいた魔法使いのお婆さん」
それがキャサリンだ。
もちろん当人の見た目は老婆ではなく、30歳になったばかりといった感じの女性。
もっとも、そこは魔道師だ。
見た目の年齢など、ただの見た目に過ぎない。
実際はイリーナのように、4桁も生きているのかもしれない。
それだけの者なら、魔法で自在に見た目年齢を変えることは可能だ。
実際キャサリンも、世間一般的な魔女のイメージとして、しわがれた老婆だろうということで、その姿に変身して稲生の高校の前に現れていた。
キャサリンは自作の魔法薬を無償で高校生に配っていた。
但し、色々と条件はある。
例えば1度その魔法薬を渡した者の所へは、絶対2度と現れないだとか。
魔法薬を渡す相手は、基本的に今現在学校生活が楽しくない者限定だとか。
ここではレストランの女性経営者として気さくに振るまう彼女も、老魔女として活動していた頃は殺人を犯したことがある。
いや、あれは殺めたと言って良いのかどうか……。
稲生:「僕の学校の退学者の中に、『両目を著しく損傷し、失明となった為、学業の続行困難と判断した為』という人がいました。そんなことをしたのがキャサリンさんだと聞いて、ここに来たのが初めてでしたね」
キャサリンの魔法薬の材料の中には、何と人間の目玉を使用するものがあった。
ある時、とある男子高校生に魔法薬を渡したところ、それから2つも奪い取られてしまった。
しかしそこはハイマスターたる大魔道師。
そのような不遜な者の家を突き止め、追い詰めることなど造作も無いこと。
だが駆け付けた時には既に時遅く、奪われた大事な薬は食べられてしまった後だった。
激昂したキャサリンは、その男子生徒の目玉を素手で繰り抜いて持って行ったという。
稲生:「今でもそんな危ないものを調達しているんですか?」
キャサリン:「……日本で集めるのはやめることにしたわ。それに、今は研究も進んで、何も無理して人間の目玉でなくても良いことが分かったの。だから今では、ほとんどやってないわ」
稲生:「そうですか」
マリア:(多分、ウソだな。日本ではやっていないのは本当だと思うけど、おおかた魔界ではやってるってことか……)
キャサリン:「あ、そうそう。東京中央学園の怪談話を作った1人として、OBのあなたに情報提供してあげるわ」
稲生:「えっ?」
キャサリン:「どうもね、私以外にもあなたの学校に怪談話を提供した魔道師がいるみたいなのよ」
稲生:「ええーっ!?」
マリア:「世間は狭いなぁ……」
マリアは呆れてワイングラスに口を付けた。
乗り心地最悪!さすが南朝鮮製だぜ!
会社番号:W0001
登録番号:富士山240 あ ・・・1