[2月3月15時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階リビング]
善場「……それで、“青いアンブレラ”のエイダ・ウォン・コピー……高野芽衣子は皆をヘリに乗せて、どこへ連れて行こうとしてたの?」
善場のリサに対する事情聴取は、まだ続いていた。
リサ「そんなの分かんないよ。先生は、『取りあえず、安全な所まで避難させてくれるんだろう』なんて言ってたけど……」
善場「随分楽観的ですね。まあ、元は一緒に同じ事務所で働いていた『仲間』だから、信じたいという気持ちも分かるけど……」
リサ「でも、高野さんの死体は見つからなかったんでしょ?」
善場「そうね。でもまあ、あのエイダ・ウォンのコピーだもの。ヘリが墜落したくらいでは死ぬような女ではないから」
リサ「まるでBOWだね」
善場「そうかもね」
もちろん、エイダ・ウォンは人間である。
……まあ、BOWである証拠が無いというだけだが。
リサ「ん?」
その時、インターホンが鳴り響いた。
どうやら、1階の玄関に誰かが来たらしい。
パールが応対した。
パール「リサさん。どうやら、お友達が訪ねて来られたようです。淀橋様と小島様です」
リサ「ヨドバシとコジマか。いいよ。入れてあげて」
パール「かしこまりました。それと私、そろそろアキバに行きますので」
リサ「分かった。……この恰好じゃ、仮病だってバレるかな?」
善場「それは大丈夫でしょう。具合が悪かったのは本当ですし、私が証明しますよ?」
リサ「それは助かる」
しばらくして、階段から『魔王軍四天王』のうちの2人、淀橋と小島がやってきた。
淀橋「ちぃーっス!具合どうですかー?」
小島「宿題のプリント、持って来ましたー」
リサ「ありがとう」
淀橋「ていうか魔王様、元気?」
リサ「まだ本調子じゃないよ。先生の血でも吸わないことには……」
淀橋「ふーん……」
小島「ふーん……」
善場「納得するんですか、皆さん!」
淀橋「だって魔王様だし」
小島「だって魔王様ですし」
善場「リサさん、本当に学校では悪さしてないんですよね?」
リサ「も、もちろん!イジメ、ダメ、ゼッタイ!」
淀橋「むしろ魔王様は、イジメを取り締まる側ですよ」
小島「そうです!」
善場「何だか怪しいですねぇ……」
淀橋「それより魔王様、本当に具合悪かったの?」
リサ「これでも、浜町のクリニックに行って、点滴受けて来たんだよ?」
善場「そうです。貧血で倒れましたからね」
淀橋「マジっすか!?」
リサ「本当。はい、証拠」
リサは左腕の肘を見せた。
点滴の針を刺した痕が残っている。
普段の傷はすぐに回復し、痕すら残らないのがリサであるが、何故か薬物を注射した場合は普通の人間と同様、痕がしばらく残った。
なので採血の注射針を刺した痕については、もう跡形も無く消え失せている。
小島「本当だ」
善場「というわけで、リサの本日の病欠は、けして仮病ではありません。それでもお疑いでしたら、今回の診療に掛かった費用の領収証をお見せしても宜しいですよ?」
淀橋「い、いえ、それには及びません!」
小島「因みに、どちら様で?」
善場はスーツの内ポケットから、縦型二つ折りの身分証を見せた。
警察手帳のようだが、正にそれはデイライトの職員証ではなく、本当に善場が所属している日本政府諜報機関の身分証だった。
警察手帳に酷似しているのは、その方が都合が良いのだろう。
善場「愛原リサを監視している、政府機関の者です」
淀橋「ご、ご苦労様です!」(`・ω・´)ゞ
小島「スゴイ……!本当にいるんだ。『政府機関のエージェント』って……」
善場「そりゃいますよ。……取りあえず、事情聴取はこのくらいにしましょう。続きは、また後日にお願いします」
リサ「えーっ!まだやるの!?」
善場「重要な話ですから。あとは、お友達とご自由にどうぞ」
淀橋「あー、いえ!私達もリサさんに宿題のプリントとか、学校からのお知らせ、渡しに来ただけですから!」
小島「そうです。これ以上は公務執行妨害に……」
善場「それは大丈夫ですから、ご安心ください」
リサ「とはいえ、隣の部屋はお兄ちゃんが寝てるし、上は上で先生が寝てるんだよねぇ……」
小島「もしかして、愛原先生達も具合悪いの?」
淀橋「インフルエンザ!?もしかして!?」
リサ「違う違う。昨夜、ずっと仕事で徹夜だったから。それで寝てるだけ」
小島「探偵のお仕事も大変だねぇ……」
リサ「うん、大変。時々、化け物とか鬼とかとも戦うし」
淀橋「ええっ?」
小島「さ、さすがにそれは、愛原先生だけじゃ……」
[同日18時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]
善場が帰り、淀橋と小島も、リサと少し話した後は帰って行った。
月曜日は登校できる旨を伝えて。
愛原「おはよう……。リサ」
リサ「まるで、朝の6時だね」
リサはニッと笑った。
リサはリビングでテレビゲームをやっていた。
それを中断する。
愛原「高橋はまだ起きないのか?」
リサ「うん、まだ寝てる」
一応、高橋が寝てるので、ヘッドホンをしてゲームをやっていたリサ。
愛原「そろそろ起こしてくるか。……あれ?てか、パールは?」
リサ「今日は夜まで、メイドカフェのバイトだって」
愛原「あっ、そうだったか!」
生活費の足しにするのと、斉藤家のメイド仲間も働いているので、そのツテで。
但し、メインは愛原学探偵事務所の住み込み事務員なので、あくまでもメイドカフェの方で人手が足りない時のヘルプ要員に留まっている。
高橋「おはざーっス……!」
愛原「おはよう。パールのヤツ、今日はバイトだったんだって?」
高橋「あー、そうでしたね。サーセン、言うの忘れてました。今すぐ、飯作りますんで」
愛原「いや、いいよ。お前もまだ疲れてるんだし。今日は出前にしよう」
高橋「サーセン」
リサ「じゃあ、ピザにしよう!」
リサは固定電話の横にある宅配ピザのメニュー表を取り出した。
愛原「ああ、分かった」
愛原が自分のスマホを取り出す。
そこから注文するらしい。
リサ「特大ミートピザ!」
高橋「1人で食う気かよ!」
リサ「あとサイドメニュー、チキンナゲットとフライドチキンと、ローストチキンと……」
高橋「全部肉ばっかじゃねーか!」
愛原「まあいいや。要はLサイズ1枚だな。俺は軽くマルゲリータのSサイズでいいや」
リサ「本当に軽い」
愛原「それでも、それなりにカロリーはあるはずだぞ」
高橋「それはそうっスね。でもまあ、サイドメニューで山盛りポテトは欲しいっスかね」
愛原「あー、そりゃそうだ。それは採用」
リサ「チキン!チキン!」
愛原「はいはい。フライドチキンもセットで頼んでやるよ」
リサ「おー!」
愛原「ビールあったっけ?」
高橋は冷蔵庫を見た。
高橋「あー、あります。取りあえず、今日の分は大丈夫っスね」
愛原「じゃあ、ビールはいいな。ジュースは?」
高橋「オレンジジュースとか、コーラとかありますけど?」
愛原「じゃあ、ドリンクはいいな。……よし、これで注文っと。30分後には来る」
リサ「おー!」
高橋「ちょっと俺、寝汗かいたんで、シャワー浴びてきます」
愛原「分かった。俺の分の入浴剤、あったよな?」
高橋「確かありますよ」
愛原「頼む。昨夜は走り回り過ぎて、体があちこち痛いんだ」
高橋「ですよねぇ」
高橋は笑いながら、バスルームへ向かった。
そこでリサ、ピンと来た。
リサ「先生!」
愛原「どうした?」
リサ「お風呂上がりに、わたしがマッサージしてあげる!」
リサは涎を垂らしながら、牙を剥き出しにし、両手をわきわきさせた。
その両手からは、肌色の毛がびっしり生えている。
実は毛ではなく、触手。
髪の毛よりも細い無数の触手が、足ツボに突き刺さり、そこからリサは愛原の血中老廃物と、血液を吸い取るのだ。
リサが黙認されている『人食い』というか、吸血行為であった。
本当はこれすらも禁止しないといけないのだが、あまり禁止し過ぎると、却って暴走してしまう恐れがある。
そこで、される側の命に危険が無いと判断されたものについてだけは黙認されていた。
善場「……それで、“青いアンブレラ”のエイダ・ウォン・コピー……高野芽衣子は皆をヘリに乗せて、どこへ連れて行こうとしてたの?」
善場のリサに対する事情聴取は、まだ続いていた。
リサ「そんなの分かんないよ。先生は、『取りあえず、安全な所まで避難させてくれるんだろう』なんて言ってたけど……」
善場「随分楽観的ですね。まあ、元は一緒に同じ事務所で働いていた『仲間』だから、信じたいという気持ちも分かるけど……」
リサ「でも、高野さんの死体は見つからなかったんでしょ?」
善場「そうね。でもまあ、あのエイダ・ウォンのコピーだもの。ヘリが墜落したくらいでは死ぬような女ではないから」
リサ「まるでBOWだね」
善場「そうかもね」
もちろん、エイダ・ウォンは人間である。
……まあ、BOWである証拠が無いというだけだが。
リサ「ん?」
その時、インターホンが鳴り響いた。
どうやら、1階の玄関に誰かが来たらしい。
パールが応対した。
パール「リサさん。どうやら、お友達が訪ねて来られたようです。淀橋様と小島様です」
リサ「ヨドバシとコジマか。いいよ。入れてあげて」
パール「かしこまりました。それと私、そろそろアキバに行きますので」
リサ「分かった。……この恰好じゃ、仮病だってバレるかな?」
善場「それは大丈夫でしょう。具合が悪かったのは本当ですし、私が証明しますよ?」
リサ「それは助かる」
しばらくして、階段から『魔王軍四天王』のうちの2人、淀橋と小島がやってきた。
淀橋「ちぃーっス!具合どうですかー?」
小島「宿題のプリント、持って来ましたー」
リサ「ありがとう」
淀橋「ていうか魔王様、元気?」
リサ「まだ本調子じゃないよ。先生の血でも吸わないことには……」
淀橋「ふーん……」
小島「ふーん……」
善場「納得するんですか、皆さん!」
淀橋「だって魔王様だし」
小島「だって魔王様ですし」
善場「リサさん、本当に学校では悪さしてないんですよね?」
リサ「も、もちろん!イジメ、ダメ、ゼッタイ!」
淀橋「むしろ魔王様は、イジメを取り締まる側ですよ」
小島「そうです!」
善場「何だか怪しいですねぇ……」
淀橋「それより魔王様、本当に具合悪かったの?」
リサ「これでも、浜町のクリニックに行って、点滴受けて来たんだよ?」
善場「そうです。貧血で倒れましたからね」
淀橋「マジっすか!?」
リサ「本当。はい、証拠」
リサは左腕の肘を見せた。
点滴の針を刺した痕が残っている。
普段の傷はすぐに回復し、痕すら残らないのがリサであるが、何故か薬物を注射した場合は普通の人間と同様、痕がしばらく残った。
なので採血の注射針を刺した痕については、もう跡形も無く消え失せている。
小島「本当だ」
善場「というわけで、リサの本日の病欠は、けして仮病ではありません。それでもお疑いでしたら、今回の診療に掛かった費用の領収証をお見せしても宜しいですよ?」
淀橋「い、いえ、それには及びません!」
小島「因みに、どちら様で?」
善場はスーツの内ポケットから、縦型二つ折りの身分証を見せた。
警察手帳のようだが、正にそれはデイライトの職員証ではなく、本当に善場が所属している日本政府諜報機関の身分証だった。
警察手帳に酷似しているのは、その方が都合が良いのだろう。
善場「愛原リサを監視している、政府機関の者です」
淀橋「ご、ご苦労様です!」(`・ω・´)ゞ
小島「スゴイ……!本当にいるんだ。『政府機関のエージェント』って……」
善場「そりゃいますよ。……取りあえず、事情聴取はこのくらいにしましょう。続きは、また後日にお願いします」
リサ「えーっ!まだやるの!?」
善場「重要な話ですから。あとは、お友達とご自由にどうぞ」
淀橋「あー、いえ!私達もリサさんに宿題のプリントとか、学校からのお知らせ、渡しに来ただけですから!」
小島「そうです。これ以上は公務執行妨害に……」
善場「それは大丈夫ですから、ご安心ください」
リサ「とはいえ、隣の部屋はお兄ちゃんが寝てるし、上は上で先生が寝てるんだよねぇ……」
小島「もしかして、愛原先生達も具合悪いの?」
淀橋「インフルエンザ!?もしかして!?」
リサ「違う違う。昨夜、ずっと仕事で徹夜だったから。それで寝てるだけ」
小島「探偵のお仕事も大変だねぇ……」
リサ「うん、大変。時々、化け物とか鬼とかとも戦うし」
淀橋「ええっ?」
小島「さ、さすがにそれは、愛原先生だけじゃ……」
[同日18時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]
善場が帰り、淀橋と小島も、リサと少し話した後は帰って行った。
月曜日は登校できる旨を伝えて。
愛原「おはよう……。リサ」
リサ「まるで、朝の6時だね」
リサはニッと笑った。
リサはリビングでテレビゲームをやっていた。
それを中断する。
愛原「高橋はまだ起きないのか?」
リサ「うん、まだ寝てる」
一応、高橋が寝てるので、ヘッドホンをしてゲームをやっていたリサ。
愛原「そろそろ起こしてくるか。……あれ?てか、パールは?」
リサ「今日は夜まで、メイドカフェのバイトだって」
愛原「あっ、そうだったか!」
生活費の足しにするのと、斉藤家のメイド仲間も働いているので、そのツテで。
但し、メインは愛原学探偵事務所の住み込み事務員なので、あくまでもメイドカフェの方で人手が足りない時のヘルプ要員に留まっている。
高橋「おはざーっス……!」
愛原「おはよう。パールのヤツ、今日はバイトだったんだって?」
高橋「あー、そうでしたね。サーセン、言うの忘れてました。今すぐ、飯作りますんで」
愛原「いや、いいよ。お前もまだ疲れてるんだし。今日は出前にしよう」
高橋「サーセン」
リサ「じゃあ、ピザにしよう!」
リサは固定電話の横にある宅配ピザのメニュー表を取り出した。
愛原「ああ、分かった」
愛原が自分のスマホを取り出す。
そこから注文するらしい。
リサ「特大ミートピザ!」
高橋「1人で食う気かよ!」
リサ「あとサイドメニュー、チキンナゲットとフライドチキンと、ローストチキンと……」
高橋「全部肉ばっかじゃねーか!」
愛原「まあいいや。要はLサイズ1枚だな。俺は軽くマルゲリータのSサイズでいいや」
リサ「本当に軽い」
愛原「それでも、それなりにカロリーはあるはずだぞ」
高橋「それはそうっスね。でもまあ、サイドメニューで山盛りポテトは欲しいっスかね」
愛原「あー、そりゃそうだ。それは採用」
リサ「チキン!チキン!」
愛原「はいはい。フライドチキンもセットで頼んでやるよ」
リサ「おー!」
愛原「ビールあったっけ?」
高橋は冷蔵庫を見た。
高橋「あー、あります。取りあえず、今日の分は大丈夫っスね」
愛原「じゃあ、ビールはいいな。ジュースは?」
高橋「オレンジジュースとか、コーラとかありますけど?」
愛原「じゃあ、ドリンクはいいな。……よし、これで注文っと。30分後には来る」
リサ「おー!」
高橋「ちょっと俺、寝汗かいたんで、シャワー浴びてきます」
愛原「分かった。俺の分の入浴剤、あったよな?」
高橋「確かありますよ」
愛原「頼む。昨夜は走り回り過ぎて、体があちこち痛いんだ」
高橋「ですよねぇ」
高橋は笑いながら、バスルームへ向かった。
そこでリサ、ピンと来た。
リサ「先生!」
愛原「どうした?」
リサ「お風呂上がりに、わたしがマッサージしてあげる!」
リサは涎を垂らしながら、牙を剥き出しにし、両手をわきわきさせた。
その両手からは、肌色の毛がびっしり生えている。
実は毛ではなく、触手。
髪の毛よりも細い無数の触手が、足ツボに突き刺さり、そこからリサは愛原の血中老廃物と、血液を吸い取るのだ。
リサが黙認されている『人食い』というか、吸血行為であった。
本当はこれすらも禁止しないといけないのだが、あまり禁止し過ぎると、却って暴走してしまう恐れがある。
そこで、される側の命に危険が無いと判断されたものについてだけは黙認されていた。
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