報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「リサの事情聴取」

2023-12-15 16:13:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月3日13時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階リビング]

 リサの事情聴取は2階の事務所ではなく、3階の居住区のリビングで行われた。
 まずは昼食。
 途中で購入したマクドナルドのハンバーガーを食べてからにする。
 徹夜で眠気に勝てなかった愛原と高橋は、仮眠に入ることにした。

 リサ「わたしも着替えてきていい?」
 善場「どうぞ」
 パール「粗茶でございますが……」
 善場「お構いなく。……というか、何故にメイド服?」
 パール「この後、午後からアキバのメイドカフェを手伝わないといけませんので」
 善場「本当は?」
 パール「カントクの趣味です」

 雲羽「おい!」

 善場「コホン。まあ、いいでしょう。いただきます」
 パール「リサさん、着替えた服はいつもの所に入れておいてください」

 当初は『リサ様』だったのだが、あくまでパールは斉藤家のメイドである為、リサを様付けで呼ぶのは違和感があるということで、さん付けに愛原が直させている。
 我那覇(旧姓、斉藤)絵恋が一緒の時だけ、ということにした。

 リサ「分かった。下着は先生の部屋の中に入れておけばいい?」
 パール「どうぞ、ご随意に」
 高橋「現役JKの使用済み下着ってことで、ネットで売りゃいいんじゃね?」
 善場「いえ、ちゃんと汚れ物は洗いなさい」
 リサ「……はーい」
 善場「高橋助手も、リサに変なこと教えないように」
 高橋「へーへー。早いとこインゴット……」

 高橋は大きな欠伸をした。

 高橋「夕飯前になったら起こしてくれ」

 高橋はそう言うと、リビング隣の自室へ向かった。

 リサ「メイドさんもいなくなったら、夕飯はどうすればいい?」
 善場「リサが作れb……いえ、外食でも出前でもすればいいでしょう」

 善場は一瞬、リサが作れば良いと言い掛けたが、愛原が食べる物に『何か』を投入する恐れがあったので、それは言い止めた。

 リサ「じゃあ、着替えてくるね」

 リサはそう言って、エレベーターに乗り込むと、自室のある4階に向かった。
 リサの部屋は、エレベーターのすぐ横にある。
 制服から私服に着替えた。
 さすがの制服は洗濯機で洗えないが、消臭スプレーをしたりはした。
 下着はスポーツタイプの物ではなく、普通のブラショーツにする。
 真冬だというのに、半袖のTシャツとデニムのショーパンを穿いた。
 そして、急いで3階に戻る。
 脱衣カゴに、抜いだブラウスや下着、バッグに中に入れていたブルマを入れた。
 それから、リビングに戻る。

 リサ「お待たせ」
 善場「それでは、事情聴取を開始致します。……隣、高橋助手が寝てますけど、大丈夫ですかね?防音になってませんよね?」
 パール「まあ、マサは1度寝落ちすると、なかなか起きないので。それに、耳栓もあるから、それを使えばいいと思いますよ」
 善場「そうですか」
 パール「何でしたら、私が『極上のもみコース』でマサを眠らせてきます」
 善場「どうぞご勝手に」

 パールは高橋と共同で使用している隣の部屋に向かった。

 善場「あの人、普通のメイド喫茶で働いてるの?」
 リサ「うーん……。少なくとも、メイドコス風俗ではないらしいけど……。普通のメイド喫茶ではないらしい」
 善場「やっぱり。『昼のお店』(メイド喫茶)と『夜のお店』(メイド風俗)の間のお店ってところかしら」
 リサ「そうかも」
 善場「まあ、いいわ。まず、攫われた時の状況なんだけど……」
 リサ「もう、すぐ、そこ!家まであと数メートルの所で攫われたの!」
 善場「直接、現場を教えてくれる?」
 リサ「分かった。ちょっとパーカー持って来る」

 リサは再び自室に戻って、パーカーを羽織ってきた。
 さすがに家の外では、半袖のままでは寒いようだ。
 1階までエレベーターで下りると、車の中で待機していた善場の部下も降りて来た。

 リサ「ここで、黒いワンボックスが2台やってきて、わたしを挟み撃ちにしたの」
 善場「やはりそうでしたか。ここはちょうど、住宅の塀と塀の間ですね。つまり、住宅の住人からも見えない位置にあります。よく下調べをしたものです」
 リサ「黒い着物を着た男達に掴まれた後、首に麻酔注射みたいなものを打たれたり、“鬼ころし”を一気飲みさせられたりして、もう抵抗できなくなって……」
 善場「“鬼ころし”が『鬼封じの酒』ということも知っていることから、やはり栗原家の犯行で間違いないようですね。分かりました。家に戻りましょう」

 善場の部下は、デジカメを持って現場の撮影をしたり、チョークで印を付けたりしていた。
 家の中に戻ると、善場の部下は再び車の中で待機する。
 リサと善場は、エレベーターで3階に戻った。

 リサ「気が付いたら、狭い空間に閉じ込められてて……」

 外が暴走族達の怒号で騒がしかったこと、例の関連施設に連れ込まれた話をした。

 善場「分かりました。人間だった栗原蓮華を最後に見たのは、地下の大広間ということですね?」
 リサ「そう。全身包帯だらけだったけど、匂いですぐに分かった。左足は義足だったし」
 善場「分かりました。栗原家は、それまでの間にも、何か『薬』を作っていたのですね?」
 リサ「そんな感じなこと言ってた。それをわたしの血に混ぜると、元に戻るんだって。実際は違ったけど」

 確かに、イチカこと日本版リサ・トレヴァー『1番』に食い千切られた左足は再生し、火傷の痕やケロイドなんかもきれいさっぱり無くなった。
 しかし、代わりに人間であることを辞めてしまった。

 善場「その薬の出所が気になりますね。まあ、だいたい想像つきますけど」

 善場は自分のスマホを取り出すと……。

 善場「善場です。大至急、富士宮を押さえて」

 とだけ言った。
 それを聞いたリサ、ピンと来るものがあった。

 リサ「富士宮って、もしかして、愛原先生の伯父さん?」
 善場「ええ」
 リサ「で、でも、伯父さんの薬は回収したはずじゃ?」
 善場「造った本人ですからね、材料と機材さえあれば、また造れるでしょう。おおかた、どこかで情報を仕入れた栗原家が、大金を積んで愛原公一『容疑者』に、例の薬を造らせたのでしょう」
 リサ「既に容疑者!?」
 善場「逮捕状は後から請求します。取り急ぎ、まずは地元県警に依頼して、任意同行という形で身柄の確保を……」
 リサ(どういう法律でタイーホするんだろう?)

 リサは気になったが、難しい法律の話をされて頭痛を起こすのはカンベンと思い、それは黙ってておいた。

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