杉田久女が生涯に残した俳句の数はそんなに多くはありません。『杉田久女句集』を紐解くと、久女といえども平凡なただごとの句も沢山ある様に思います。
しかし彼女が生み出した代表作、名吟と言われている句は、高い完成度を示し私達の胸に迫って来ます。それは執念ともいえる俳句に対する久女の感情が、その俳句に託されているからでしょう。
「私の好きな〇〇十句」の様な表現を時々目にしますが、私の好きな久女の句はとても十句では納まりきれません。ここでは少し欲張って十五句挙げてみようと思います。
「 花衣 ぬぐやまつはる 紐いろいろ 」
「 紫陽花に 秋冷いたる 信濃かな 」
「 朝顔や 濁り初めたる 市の空 」
「 谺して 山ほととぎす ほしいまゝ 」
「 愛蔵す 東籬の詩あり 菊枕 」
「 風に落つ 楊貴妃桜 房のまゝ 」
「 灌沐の 浄法身を 拝しける 」
「 うらゝかや 斎祀れる 瓊の帯 」
「 荒れ初めし 社前の灘や 星祀る 」
「 鶴舞ふや 日は金色の 雲を得て 」
上の10句に下の5句を加えて「私の好きな久女十五句」としたいと思います。
「 葉鶏頭の いただき躍る 驟雨かな 」
「 戯曲よむ 冬夜の食器 浸けしまま 」
「 秋来ぬと サファイア色の 小鯵買う 」
「 張りとほす 女の意地や 藍ゆかた 」
「 甦る 春の地霊や 蕗の薹 」
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