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五十嵐正男 著 『黄昏のくる前に』

2013年10月15日 | 読書

本棚の整理をしていたら『黄昏のくる前に』という文庫本がひょっこり出てきました。これは老いについての考えが、今よりずっと甘かった40代の後半頃に読んだ本です。それから17、8年経った今、又読んでみようとホコリを払って取り出しました。
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表紙カバー裏の著者紹介によると、著者の五十嵐正男さんは聖路加病院の内科部長をされた方で、その後内科、循環器科クリニックを開設され開業医をしておられる方のようです。

最初の単行本は1990年に朝日新聞社から刊行されていますが、私の手元にある朝日文庫版は1994年版です(今も版を重ねているのかは判りません)。なので中のデーターが少し古いですが、医学書ではないので、それをあまり気にしなくても読んでいける気がします。

内容は ①老いについて ②老いの心 ③老いの体 ④老いの日々の過ごし方 の4項目に分けてあり、それぞれの項目にさらに幾つかの見出しが付いています。

②老いの心の項目に出てくる言葉、【心の健康は意味のある高齢期の生活を送る上で、他のどの年代よりも大切】
【感情も老化し、感受性が鈍くなってゆく。老人特有の寂しい感情は、老いとともに失うものがあまりにも多いことによる】【偏狭、意固地などの老人特有といわれる性格は、老いに伴う喪失と住む社会が狭くなっている事により、自分の性格の軌道修正が出来なくなった結果である。広く社会と交渉を持つことが必要】などは、今まで何となく感じていた事がはっきり文章で示されているので、ドキッとします。

④老いの日々の過ごし方の項目の中には、6、70歳代の私達がこれから心していかなければいけない大切な事として、【精神的、肉体的、経済的な自立】、その自立の最低条件として「健康であること」「貯蓄をもつこと」「生きがいを持つこと」「孤独に陥らないこと」があげてあり、どれも若い時からの心がけなしには無理なことばかりで、まさに“ローマは一日にして成らず”ですね~。

それ以降の80歳代になると、体の老化や病気の為、生きてゆくことさえ難しい年代になる。そうなっても周囲の人がしてあげるべきなのは、すべてをやってあげることではなく、時間がかかっても自立した生活が出来るように手伝ってあげることなのです、と著者は述べておられます。自立という事が老人にとっていかに大切かということがよくわかりますね。


最初にこの本を読んで以来、17、8年経った今、読み直してみると、以前は何となく理解していた事が、どれも心から納得できる様になり、身につまされます。これは私自身が忍び寄る老いを自覚し、それに驚き戸惑っている最中ということなのでしょうね、きっと。

この本はお医者さんが書いた老年医学エッセーという感じの本で、私達がこれから老いに向かって生きていくうえで、基本的なことが述べられている役に立つ本だと思います。なので、これからも読むことが多々あると思い本棚に残しました。

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