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俳人杉田久女(考)、旅行記&つれづれ記、お出かけ記など。

劇団青年座 「ブンナよ、木からおりてこい」

2012年12月19日 | お出かけ

福岡市民劇場12月例会で劇団青年座の「ブンナよ、木からおりてこい」を観劇しました。
Photo <リーフレット>

師走に入り何かと忙しい日々で、平日なので今日は観客は少ないだろうと予想していましたが、行ってみると空き席待ちの人の列が長く伸びていたのには驚きました。

この芝居は水上勉原作で、1972年に「蛙よ木からおりてこい」の題名で出版されたのを演劇化したものです。演劇としては1978年が初演で、総上演回数は1140回にもなるそうです。そういえば、10年以上前、北九州にいた時、北九州市民劇場の例会で同じ演目の芝居を観た記憶があります。ただ芝居は演出家が違うとまったく異なった芝居になる様で、今回は、生きるとは、命とは等に思いが到る、すばらしい舞台でした。

幕があがると一匹のトノサマ蛙と沢山のツチ蛙が、飛び跳ね楽しい会話をしている、いきいきとした躍動感のある場面から芝居は始まります。

「鳥のように空を飛べたら、広い世界がみえ楽しいだろうな」と、いつも未知の世界にあこがれているトノサマ蛙のブンナは、一念発起していつも自分達がいる寺の池のそばにある大きな椎の木に登りました。登ってみるとそこは、瀕死のすずめ、ネズミ、へび達が運ばれて来るトンビの餌場だったのです。

運ばれて来る小動物の建前と本音が交錯する椎の木の上で、ブンナが目にするのは、少しでも長く生きたいという渇望をむき出しにした、囚われのすずめ、ネズミ、へび等です。これらの小動物たちの会話はコミカルで面白いですが、しかし彼らは、この木の上で保身、裏切り、犠牲など弱肉強食の厳しい世界を展開しているのです。


ブンナは木のテッペンで彼らと言葉を交わし、又、さまざまな経験をし、命の大切さを実感し、沢山の困難を乗り越え、翌春に地上の仲間の元へ帰ってきます。そして、よりよい場所は高みのそれではなく仲間と暮らす地上にある事を悟るのです。

「今日一日を精一杯生きる」、「短い命を精一杯生きる」というセリフが劇中に何度も出て来ますが、明日につながる希望を描くことにより、生命の讃歌というメッセージが伝わって来る様に思いました。

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