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医療格差

2011年06月01日 09時34分36秒 | 医療 (医療小説含)

川田 龍平氏の著書。

川田氏は現在参議院議員、みんなの党 政策調査会長代理、厚生労働委員会委員をつとめられてゐる。1976年生まれ、生後6ヶ月で血友病と診断され、輸入血液製剤投与により10歳でHIV感染。93年、「薬害エイズ事件」の国と製薬会社の責任を問う東京HIV訴訟の原告に加わり、95年実名公表する。2007年の参議院選挙に無所属で立候補し当選。

本書は川田氏ご自身の体験といふより、義父を看取る体験から「日本の医療に必要なこと」をまとめられたものである。

驚いたのは、マスゴミがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を報じた際に農業に視点をあててゐたが、川田の著書でその内容は医療を含む23の分野にわたることがわかつた。

規制緩和に医療を含むとどうなるのか? 一人の医師の発言が紹介されてゐる。

「医療の市場化を進めることで、病院の株式会社経営、患者と医師との間に民間の保険会社が入るようになること、混合診療の全面解禁などがやつてくる」

「自由化により、医療従事者に対しても効率化によつてひとりの医師の労働がさらに過重となり、過労死や過労自殺などが懸念される。今でも苦しい状態に置かれてゐる勤務医の負担だけでなく、医療ミスなど様々な被害が出る可能性がある。自由化で優秀な医師や看護師の都市集中や国外流出が深刻化し、今すでに問題となつてゐる医療従事者の不足と偏在は必ずや加速するだろう」 

「自由化によって地方の医療が荒廃すれば、WHOから世界一のシステムだと評価されるこの国の国民皆保険制度が崩れてしまう」(P134)

・・・・・・ 恐ろしい内容が盛り込まれてゐるといふのに、またマスゴミはバカのやうに国民に不利益なことは隠し、官僚に操られた(としか思へない)放送をしてゐた。

川田氏が気付いてこの本書を執筆してくれなかつたら、とんでもない状況を知らづにゐたところだつた。

国民皆保険制度が崩れるとだうなるか? 現状のアメリカのやうになる・・・・ それがだういふことなのか、本書で説明されてゐる。(P135-137)

奇しくも、きのふアメリカの「医療・科学の発展の成れの果て」の報告書のやうな著書「すばらしい人間部品産業」を読んで感想を投稿したが。

なんでも「商売」にしてしまふ状況は国民皆保険制度が無く、「医療の市場化」といふ金儲け主義が起こしたことだつた。そこには必づ製薬会社の介入があつた。製薬会社の売上増の宣伝に踊らされて「望む体形・子供を手に入れる」ことに大金をはたく人たち・・・・・・

その背景には「保険制度が無い」といふ事情があつたのだ・・・・ 

先の本書は、金に余裕がある人が出てきたのだと思はれるが、純粋な医療行為を受けるのにもカネのある人は受ける幅が広がるが、無い人は選択圏がせばまり基本的な医療行為も受けられないといふ状況であらう。

TPPを導入し、医療もこれに含まれると日本も同様に医療を受けられる人と受けられない人が出てくる。(現状ですら、不況のために国民健康保険の支払いが出来づ医療を受けられない人がゐるといふのに、これが加速するのである)

「第7章 いのちが最優先される社会」にて川田氏は無所属からみんなの党へ入党した経緯を語つてゐる。 (P152-157)

民主党が衆院選で大勝したあと、党内の議員立法を廃止したために超党派での立法や議会活動など、無所属として自分が国会で活動できる重要な部分で奪われ自分の原点である「いのちを最優先する社会」を実現するために最善の道は何かとかなり迷つてゐたこと、第171回国会における「肝炎対策基本法」は政局によつて廃案にされ、「水俣病救済特措法」も患者の意見より政局が優先されたこと等 (P153)

鳩山は「いのちを守りたい」と演説してませんでしたか? 実際民主党がやつてゐることが全部表に出れば、これまでの日本国民への被害にさらに加算されることであらう。

今まで色々な本を読んできて、官僚がもたらした弊害がそれぞれの役所においてあつた。厚生労働省など弊害と被害しかもたらさない役所だと思つてゐたが、さらに本書で実感した。しかも、同様の被害(薬害による病気)が繰り返されることは一体だういふことなのか理解に苦しむ。厚生労働賞省の役人を総入替する必要があるのではないかと思ふ。いつそのこと、厚生労働省は廃省して、民間の会社から「非営利」部署を募らせ稼動させたはうが税金分の効果が国民にあるのではないかとすら思ふ・・・・・・

それにしても、

最終的に「政治家」を選ぶ国民の一票が大変重要なのであらう・・・・



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