読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

日本共産党の深層

2014年04月29日 14時50分55秒 | 政治関連・評論・歴史・外交

大下 英治氏の著書。

正直、のつけの「はじめに」から度肝を抜かれた。

先の選挙で東京で議席を獲得した共産党議員の選挙運動について書かれてゐたが

ネツトではすでに「正体」がおなぢみになつてゐる、あの太鼓集団の応援が書かれ 「そこぬけに明るい選挙運動」(P5)と書いてある。

唖然・・・  あの集団の正体はネツトで内ゲバまがいのやりとりを平気で公開してゐる連中なのだが。しかも差別反対と叫びながら日本人への差別発言や死ね発言をしてゐるのだが。

さうしたことは一切触れてゐない。そしてそのサポーターたちの活動は第一章へと続く。

何も裏を知らない人は完全に騙されるであらう。 驚いた。

しかも、この「新生」共産党と持ち上げるかのやうな流れは、この本を通じて続く。 未だに日の丸君が代、天皇陛下を否定するといふ思考は日本国そのものを否定する思考なのだが、それを紹介していくやうな内容は 「共産党のありのままを知つてもらひ、読者に判断をゆだねる」といふ狙ひなのか、それとも著者がこの思考に共感してゐるのかは知らないが

感じるのは

共産党の「負」の部分が全く書いてゐない。 

冒頭のサポーターについてもだが、伊豆大島の町長が共産党であり避難勧告も何も出さずに飲んでゐたこと、いつも「正義の味方」の赤旗はその件について口を閉ざし続けたこと・・・・等々共産党に都合の悪いことは一切書いてゐない。

その反面、赤旗の自民党に対する「スクープ」は第四章に「しんぶん赤旗と党組織」として書いてある。

 大下 英治ってこんな人だつたッけか? こんなに偏つた印象を抱くやうな作品を読んでしまふと、この人の他の作品も穿つて用心深く読まなくてはならない。 小説電通などかなり面白く感じたが、この共産党に関する本は何か裏があつて書いてゐるのだらうか?

そして最後のはうには、相も変はらず現実を無視したバカな 「戦争をしない国へ」。

馬鹿だな、戦争の前に防衛があるだらうが!! 9条なんか防衛そのものを邪魔してるんだよ! 共産党は日本人に死ねと言ひ、日本の領土をシナ朝鮮に渡していいと暗に主張してるのと一緒だらうが。 しかも許せないのは自衛隊を否定しながら、災害が続いたときに自衛隊の名を出さずにこんなツイをしてゐた。

  1. 党の関東甲信大雪災害対策本部を開き、今後の対策を検討しました。山梨県は「陸の孤島」状態。孤立した集落が多数あり、食料や灯油不足などが深刻です。救助を必要としている市町村への速やかな災害救助法の適用など、現地の党組織・議員団と連携して、必要なあらゆる手立てをとることを確認しました。

 

山梨が豪雪に降り込められています。現地からの連絡では、孤立した地域の救援をはじめ緊急の人命救助、燃料・食料不足への対応などが求められているとのこと。党国会議員団として政府に救援のための万全の措置を要請しています。現地及び政府と随時連絡をとり、救援のために全力をあげます。

全力をあげるとか、必要なあらゆる手立てとか、なんだよ?結局自衛隊だろ? 共産党が総出で出向いて何かしたのか? この偽善には呆れかえつた。そしてこれ 
 

自衛官の「服務の宣誓」は「我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命」を自覚して「責務の完遂に務める」とある。そういうつもりで入隊したのに、海外での米国の戦争に参戦するとなったら、話が違うということになる。自衛隊で働く若者のことを考えても「海外で戦争する国」への道を進んではなりません。

なんでもかんでも「戦争はよくない」「あの過ちを繰り返すな」とエラさうに語るな。 そもそも、きちんとした歴史の教育をせず、シナ朝鮮の嘘を丸呑みにしてゐるおまへらがエラさうに言ふ問題ではない。

しかも攻撃して来た相手にどうやつて対処するのか具体的に言つたこと一度もない。なら日本の領土侵犯してる露と朝鮮にまず平和的に領土返せと働きかけるべきだ。

この本は、ただただ共産党への不信を倍増化させ、共産主義者が自己都合のために平気で嘘を吐き人を陥れるといふ「いつもの光景」を確認させただけだつた。

共産党離れを引き起こしたい狙ひがあるのなら、その効果をいかんなく発揮してゐると言へやう。


悪医

2014年04月27日 16時34分44秒 | 医療 (医療小説含)

久坂部 羊氏の作品。

医師の気持ちと患者の気持ちが交互に出てきて まるで比較するかのやうに描かれてゐる、興味深い作品。

 

現在病院にかかつてゐない人は、比較的冷静に読み比べできる一冊であらう。


ここに出てくるのは癌患者


そして、がんの手術を多くこなす外科医

 

手術をしても、化学療法を行つても

 

いぢわるをするかの如く、がんが転移し復活してくる患者

 

その患者に対し、医師は 「治療法がもふない。余命は++位だから辛い治療に時間を割くよりも

好きな事をして時間を過ごしたはうがよい」 と考える

そして思つたとおりに口にする。

ところが患者の反応はだうか?

冷静な立場では言ふことが理解できる

 

しかし

 

がんになり、治療を延々続けてきた人間がこの台詞を言はれて、わかりましたと冷静に受け止められるのだらうか?

 

人の性格にもよるが、「なんといふ思ひやりのなさ」「治療がないなんて死ねと言ふのか」「治療放棄か」等々非難の言葉が浮かぶのは仕方のない事であらう・・・・

プロローグとしてその場面が描かれる。

患者は「俺に死ねといふのか!」と激高して診察室を飛び出してしまつた・・・  残された医師は、なぜそのやうに否定的に捉えられるのか理解ができない。そして、だう言へばわかつてもらへるのだらうか・・・と悩み続ける。

一方、治療法がもふないと言はれた患者は収まらない。 意地でも直つてやる、あの最悪の医者を見返してやると思ひ治療について調べ、見つけた治療法を試して行く。

そこに、とんでもない医者が出てくる。 金儲けが根底にあつたり、自分の論文を書くためのデータ採取のためであつたり、まあとにかく驚く。
きつと、実際にこんな医者がゐるのであらう。 ためしに「癌 治療法」で検索すると、この小説に出てきた治療法のサイトがまッ先に表示された。
ネツトの謳ひ文句もおなぢである。

医師から治療法がない、と言はれたら治りたい一心の人はいろいろな方法を試すであらう、それは批判できない。

この小説の主人公は、何をしても全く効かない・・・  精神的に追ひつめられ、荒廃していく・・・・ 

その他にも「死んでもいいから治療を続けてくれ」と繰り返す患者も出てくる。こちらも、その態度を批判できない。治療法がないから止めますと言はれ、希望を持てる人はゐない。 患者の身内は比較的冷静な人間が出てきて、患者を説得するも患者は聞かない。治療を受ければいつか必ず癌が治ると信じてゐる(信じたい)らしい。

この本は癌といふ病気の恐ろしさと、それに罹つたときの人間の心理・健康状態を一人の主人公を通じて淡々と描いてをり、自分ならだうするかなと考えつつ読んだ。 

以前から、読書おぶろぐで言つてゐるが

人間はいつか必ず死ぬ

生まれた時から死ぬときは決まつてゐる

死に方と、時期が人により違ふだけ

 

なのになぜ、人は「死」を受け入れられなくなつたのか?

 

歌舞伎を観るとわかるが

 

人が死ぬことが当然で死を受け入れてゐる時代の人のセリフは違ふ

 

「気を確かに」

 

と言ふが

 

ダメなものはダメ、と諦めてゐる

死にかける人も死ぬ覚悟がある

へたに長生きするやうな医療ができてから、マスゴミの大騒ぎとともに人は死ぬ覚悟をしなくなつた

だが、確実に死ぬ状態になつて行くとき

死に方を考えて行動するしかないし、治療法がありません、と言はれる病気になつたら死ぬ準備をして生きていかないと
大変だな・・・・と思つた

悲しいが、人間はいつか必ず死ぬのだから、せうがない・・・・  


神様のカルテ

2014年04月19日 16時27分02秒 | 医療 (医療小説含)

夏川 草介氏の作品。

夏川氏は大阪府生まれ、信州大学医学部卒。 長野県の病院にて地域医療に従事。
本作品にて第10回小学館文庫小説賞を受賞、映画化。

医療小説といふか、医師である栗原 一止を主人公とした、医療と医療を通しての人の生き方を描いてゐる作品。

栗原 一止といふ、夏目漱石 「草枕」を愛読書とする主人公の語り口と視点が面白い。

映画は観てゐないが、この栗原 一止の語り口を翔さんがやるのは似合つてゐるなあとイメイジしながら読んだ。

きつと、夏川氏が日々体験されてゐる地域医療を描いてゐるんだらうと思ひつつ読み、厚生労働省といふ机上の空論ばかりで
現場無視の政策が現場にどんな被害をもたらしてゐるのか、色々な性格・考えの医師がゐるといふこと、医療を離れた場での
何人かの登場人物との関り・・・・とこの作品が描いてゐることは幅広い。
しかも楽に読めるのもいい。 

医療に関する本は今までにもいくつか読んで、問題が多く医師にかなりの負担をかけてゐることは感じてゐた。

病気にならないことが一番いいんだらうけど、病気になつてしまつて医療の手を借りなければならない時に
きちんと受け入れる体制ができてゐない現状を感じる。

また、「病気予防」として検診だなんだとあるが、そこに群がる利権目当ての存在も多く「人」の姿よりも金等々
が浮かびあがる世界と感じてもゐる。

官僚とか政治屋は、コネでいい病院だ医師だ紹介してもらへるのだらうが

これを是正する気はないのだらうか?  今の総理は難病を抱えてゐるが、この小説に出てくる「安曇さん」のやうな立場とは
違つてゐるので

結局わからないのだらうか? 

いい小説だが、現状を考えるとむなしさを感じる・・・・ 

安曇さんの最期の場面に対し、栗原医師のとつた行動に対して反対する人もゐるのだらうが。

自分は賛成だし、自分があのやうな状況になつたらおなぢやうにしてほしい。

「生きてゐる」 といふことがだういふことなのか、も併せて考える作品。 これから 2 を読む。  

 


永遠の0

2014年04月15日 21時25分46秒 | 小説

百田 尚樹氏の作品。

この本が話題になり始めたとき、案の定 「9条信者」らが大騒ぎをして否定した。

「戦争賛美」といふのである。

そして当然のことながら映画も否定した。 戦争賛美映画は観ない、主人公を演じたJ事務所所属のタレントの顔みたさの映画だ
なんだと散々批判をしてゐた。

当の本人らは観てゐないし、読んでもゐないらしい。 きつぱりと「戦争賛美なものは読まないし観ない」と人づてに聞いたことを
真に受けて反対を主張してゐるブログもあつた。

かういふのが一番のばかだ。 人の言ふことを真に受けてそのまま受け売りのやうに批判する前に、自分で読んで考えてみることをしない
奴は、反日共産主義者に利用されるだけの存在だ。さぞや陰でバカにされてゐることであらう。 

この本を読んで「戦争賛美」としか思はない人は日本語読解能力に著しく欠けてゐるもしくは最初から戦争を題材にしたものは賛美であると決めつけてゐる思考の持ち主もしくはとにかく戦争を持ち出して反日に結び付け日本人を貶めたい願望の持ち主であらう。

途中でたびたび思つたが現在の日本の政治とそれに関はる団体が敗戦を起こした大本営とよく似てゐる事、この現場無視上長の恐ろしさを淡々と教え、一方その中でも必死に目の前の任務を果たして来てくれた方々がゐたといふこと、その人達への感嘆、感謝畏敬。 (後半になつて、登場人物が現在の官僚組織と軍の構図が似てゐることを指摘する)

戦争中必死に目の前の任務を果たして来てくれた方々がゐたといふこと、その人達への感嘆、感謝畏敬を「戦争賛美」としか捉える事ができないのなら、それは元々のその人の人格に欠陥がある。 人に対する感謝を知らないからねじくれた発想しか持てないのだ。

それにしても、この小説はいい構成だと思ふ。

特攻隊だつた祖父が自分の血のつながった祖父だと知り、祖父のことを調べやうと動き始める主人公。
主人公が会ふ人達がそれぞれの戦争体験を語る。

その語り口の中に、現在伝はつてゐる「間違ひ」を正したり、米軍の発表と日本軍の発表の違ひ、どこで日本が戦つてゐたのか 等々がよくわかる。
変な論調ばかりで嘘を書いてゐる「専門書」よりもよほどためになる。

淡々と語られる 戦争 と 戦場 - 小説らしく時として、人間が描かれてゐる、とてもいい本だと思ふ。

図書館で借りたが文庫を買はうと思ふ。映画と比較しながら読んだが映画は原作を尊重しつつ監督の考えも入れたいい映画だつた。まだやつてゐるからまた観やうかと思ふ。

この本と映画を戦争賛美だとか戦争体験は語るものではないと主張する人達はなぜこの本を薦めて戦争反対を主張しないのか?

この本は戦争反対、9条死守、平和主義を声高に訴える人々が主張する「戦争のむごさ」を十分に描いてゐるではないか。これを推薦して戦争反対を主張せずに何をするのか?この本を戦争賛美と言ふ時点でそいつは戦争反対を心から唱えてゐないし上辺だけの主張なのだとわかる。

この本に反対して戦争反対を主張する奴らが上辺だけといふのがわかる理由がこの本の中にある。戦争反対を主張する人達から「桜花」の話を聞いた事がない。特攻の話ばかり。それだけで何も知らないで反対だ賛美だ文句をつけてゐるのだとわかつた。

米国で翻訳されるらしいが このよさがきちんと翻訳されるのか、それが懸念。 翻訳の仕方で随分と作品の印象が変わるため、心配。

最後は

個人的にはすべてを爆破してほしかつたけど、全体的に観たらあの最後がいいのかな・・・と。 平和を願ふ面から言つて・・・・