読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

三月は深き紅の淵を

2009年05月28日 19時51分28秒 | 小説

恩田 陸さんの作品。
久々に恩田さんの作品を読んだ。

恩田さんはフィアンタジイ・ノベルと呼ばれる作品を多く書かれてゐる。
確かに彼女の作品は、御伽噺のやうな現実のやうな不思議な世界が広がるのである。

この作品も同様。
お話は4部構成になつてゐる。

口伝えで話題になつた、「幻」とも言へる本「三月は深き紅の淵を」を巡るそれぞれの物語。
この本を貸すには4つのルールがあつた。作者は不詳。

この本の作者の謎を巡り、様々な人たちが知恵を働かせ旅に出る。

一緒になつて「4つの世界」を楽しめる作品です。ところどころに恩田さんの作品が出てくるのも面白ひ。

クロク、ヌレ!

2009年05月11日 21時32分21秒 | 小説
真梨 幸子 (まり・ゆきこ)さんの作品。
初めて読みました、この方の作品。

真梨さんは1964年生まれ、多摩芸術学園映画科(現、多摩美術大学映像演劇学科)を卒業され「孤虫症(こちゅうしょう)」で第32回メフィスト賞を受賞し、デビューされてをります。

「映画科」を卒業されているだけあつて、文章も視覚的に浮かびやすい、まるで映画を観てゐるやうな展開が多かつたです。この方のほかの作品にもかなりの興味が湧きました。早速、図書館で借りてきたのが「孤虫症」。楽しみです。

本作「クロク、ヌレ!」はご存知の方はご存知のザ・ローリング・ストーンズのナンバーであります。
あたくしもこの曲大好きです。
「黒く塗りつぶせ!!」とはなんて格好いいんだらう・・・と

この作品は、ストーンズがこの曲を発表した時代を語つてゆくやうな物語り。
主人公、岩代 彰子は母親の久仁枝と暮らしてゐる。彰子の父、道夫は兄彰夫をとても大事にする人であつた。
彰夫は、絵描きを目指してゐたが定職に就いていない。ゴッホが弟テオに手紙を送つてゐたやうに道夫に手紙を送る・・・ その手紙の内容はいつも・・・

物語りを語るのは、彰子でも久仁枝でも、道夫でもない第三者。

この語り口とそれぞれの登場人物の様子が面白く描かれます。

断絶

2009年05月09日 17時28分34秒 | 小説
堂場 瞬一氏の作品。

なんと言つたらよひのかわからないが。
親子とは何か
絆とか信頼関係は何か
人間とは何か

いろいろな要素が入つてゐる

主人公は警察官

ある海辺付近で女性の遺体が発見される。
銃で顔半分が撃ち抜かれてゐる遺体は、身元不明であるが妊娠していた。
女性の身元を明かそうと動く主人公に上からのストップがかかる。

しかし、匿名の電話で女性の名前が知らされ・・・・

かういふこと、本当にあるんだらうな・・・ 残念だが
と思ふ

同時に、人間とはどこまで自分中心になつて人を陥れることに平気になつていくのか
身近にさういふ人がいるので、思ひ浮かべながら読みました。
醜い人の心理・感覚は本人は「恥」と思つてゐないやうに見へます。

さう、この物語の主要登場人物と同じです。

日銀券 (上下巻)

2009年05月05日 17時14分02秒 | 経済

幸田 真音さんの作品。

「日銀券」とは何か?

それは皆さんがいつも肌身離さず持つてゐるものであります。
さう、「お金」なのだ。

なぜ「日銀券」とされてゐるか・・・ 「円」を発行するのは誰?といふところから来てゐるのだな、と思ひました。

幸田さんは、今までの作品も同様ですが、「未来を予言するやうな」内容を小説に
されてをります。
そして、そのほとんど(とりゐべは思ふ)が幸田さんが「日本がかうあつて欲しい」といふ内容なのです。

今回もさうであつたと同時に、「低金利」をなんとかしてよと思ふりゐべは幸田さんに全面賛成。

経済も結局、「政治」がしつかりしてゐるか否かこの小説でそれがよくわかりました。

税金でお給金を得てゐる「政府官僚」その他の諸君!!
あーたがた自ら変わるべきなのです!!

「小説」ヘッジファンド

2009年05月02日 22時14分12秒 | 経済
幸田 真音さんの作品。
幸田さんが最初に書かれた作品です。この作品を機に、ドクターストップを言ひわたされたデイラアを退職して作家活動に入ることとなります。

幸田さんは外資系銀行のデイラアやセエルスをされてをりましたが、その経験が豊かに生かされた作品が多く、素人にもわかりやすくてテンポが小気味よく進んでゐくのが特徴です。
とても面白ひのと同時に、「幸田さんて、凄い仕事できたんだらうな」と思はせます。

この作品は、日本の中堅銀行に為替デイラアとして社会人として一歩を踏み出した主人公岡田 隆之を中心に「為替市場」「市場の動き」「デイラアの仕事」がわかりやすく描かれてゆきます。
日経ダウ、東証株価、為替レエトなど日々のオニユウスの最後にチラと出てくる情報と一日、日が沈んでも海の向こうの市場の動きを追いかけて仕事をしてゐるデイラアの仕事が凄くよくわかります。
面白さうだけど、馬鹿には絶対に無理ですね とよくわかります。

逆に「日銀介入」「米国連銀介入」等々、情報網が非常~に大事な仕事だといふこともわかります。

幸田さんは、他のご自分の作品でも「日本経済を牛耳る立場の人たちが変わる必要がある」と書かれてゐますが、この最初の作品にも世界で活躍してきた幸田さんの日本市場に対する願いと思ひが強く出てきます。

円高=中小企業損害

この図式を何度繰り返してきたのか

今も円高になつて随分経ちますが、幸田さんから見て政府の対応はこの小説を書かれた10年以上前とどう変わつてゐるのか・・・

小説のやうに変わつて、といふか変へて欲しいですね。