海堂 尊氏の作品。
この作品も、厚生労働省への不満といふか皮肉といふか、欠点を暴露してゐるといふべき事柄が綴られてゐる・・・
しかしながら、もはや誰もその記述が「フィクション」とは思ふまい。
すでに、厚労省は薬害、年金他様々な「分野」でその「失態」「無能さ」等を露呈してゐる。しかし、当人たちは「失態」「無能」と思つてないから始末が悪い。
作品に戻る。
とある未来医学探究センター。ここに、一人の少年が「凍眠」してゐた。少年は5歳のときに網膜芽腫といふ病気で右目を摘出した。その後左目にも同様の腫瘍が見つかる。このままでは両目を摘出し、失明してしまふ。
少年は「人体特殊凍眠法」といふ法律に基づき、5年間の「凍眠」状態に入り新薬の認可が降りるまで「眠り」に入ることにしたのだつた。
未来医学探究センターに勤める日比野涼子は一人、少年の眠る器機の「メンテナンス」を行なつてゐた。
日比野涼子の上司は霞ヶ関にゐる・・・・ この「典型的官僚」の上司を通して、厚労省への皮肉とも現実とも言へるシインが描かれる。
やがて5年がすぎ、少年が「目覚める」時期が来た。そこでまた、法律上の問題が持ち上がる。
作品では「人体特殊凍眠法」といふ将来ありさうな、法律が施行された前提に基づいて、現実に起きてゐるであらう、問題が提議されてゐる。
こんなに「仕事が遅い」なら、あんな立派な建物にあんな大人数の官僚、必要なの?と思ふ・・・・・・