海堂 尊氏の作品。
海堂氏の作品は、「チーム・バチスタの栄光」からずつと舞台と登場人物らが繋がつてをり、厚生労働省の欠陥策による医療現場の抱える困難、未来への問題点を提起してゐる。この作品は、厚生労働省がなんだかしらないが導入に積極的でない、死因を解剖せずに1分程度で判明できる「AI(エーアイ=死後画像診断)」をテエマにしてゐる。
死因が不明の場合、解剖となるが「遺体に傷つけたくない」とする遺族の思ひから解剖は拒否され死因が不明のまま、「心不全」などの死因で死亡診断書が発行されることが主流の現在、この状況が犯罪を隠匿する原因となつてゐることは、海堂氏が以前より著書や作品の中で登場人物を通じて訴えてきた。
今回、この作品ではAI(エーアイ)を導入することにより「不都合」を感ぢる組織が新たに登場する。ちなみに、「AIを導入することにより不都合を感ぢる」といふのは、これまで海堂氏の作品を読み続けて感ぢたあたくしの主観であり、海堂氏の主観ではない。
新たに登場する組織とは・・・・ 警察 である。
なるほど、これは驚く人は驚くであらうがマスゴミやら記者クラブやら官公庁に関する本を読み続けたあたくしにとつては、「すべて悪は繋がつてゐる」といふ思ひなので全然驚かない。
はつきり言つて、「縦割りの弊害」は官公庁らが結託して行なつてゐるのだと思つてゐる。
作品に話を戻し
主人公 田口公平が勤務する東城大学医学部付属病院において、AIを実施することにし器械の導入も行なはれる。しかし、導入してゐた業者の技術者が院内で死んでゐるのが発見される。死因は外傷がなく、不明。遺族は解剖を拒む。遺体を傷つけないAIなら、と遺族の承諾が得られ田口らは遺体をAIにかけ、画像を保存する。
AIを実施するにあたり、エーアイセンターの設置が決まり田口がそのセンター長となつた。エーアイセンターの会合を関係者を集めて行なふのだが、そのメンバアには医療関係者だけでなく警察関係者も含まれてゐた。
ある日、その警察関係者がMRIの中で射殺され犯人は病院の院長といふ状況に出くわす田口始めとした病院関係者。このまま強制捜査が行なはれたら病院は閉鎖に追い込まれる・・・・・・
技術者の遺体のAI画像から、厚生労働省技官白鳥は技術者が事故死はなく、殺害されたと主張する。画像に映つてゐたものとは・・・?
今回は少し、推理仕立てになつてゐる。
しかし
ここまでしてまで、死体画像診断による死因究明を避けたい人がゐるのか?と思つた。
人が死んだとき、病気に長期かかるなど原因がはつきりしてゐなければ死因を知りたいと思ふのは遺族の心情であらう。
なぜに、その気持ちを邪魔するのか?
ほんたうに役人のすることは理解しがたい。