読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか

2013年03月25日 15時40分26秒 | 医療 (医療小説含)

今村 聡氏、海堂 尊氏の共著。

今村氏は1951年生まれ、秋田大学医学部卒業の医師、日本医師会常任理事、医学博士。 三井記念病院、神奈川県立こども医療センター、浜松医科大学講師などの勤務を経て、91年から都内板橋区の医療法人社団聡伸会今村医院院長。そのかたわら板橋区医師会副会長、東京都医師会理事などを歴任し2006年より現職のご経歴。

海堂氏は、ドラマや映画になつてゐる医療小説「チーム・バチスタの栄光」「アリアドネの弾丸」等の原作者であられる、作家、医学博士。放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院Ai情報研究推進室室長。

「はじめに」で海堂氏が書いてゐるのだが、「日本医師会は、開業医の利益団体はでない」といふことを本書は言ひたいのだ。医師会と言へば、医師の利益追求団体のやうなイメイジがあつた。なので、この本を見た時に「本当だらうか?」と半信半疑で読み始めた。

読み終はった今でも、「本当だらうか?」と言ふ気持ちが強いし、本当ならマスゴミはますますゴミだと思ふし(財務省や厚労省の広報)、患者のために働いてゐる医師会をなぜ、「医師の個人利益のための団体」といふ嘘をばら撒き、患者からの信頼を失はせるやうなことをするのか、一度きちんと聞きたいものである。

海堂氏は、医師会に所属してゐない。ここも驚いたのだが、医師会といふのは強制参加ではなく任意加入らしい。医師会とは何か、と海堂氏の言葉を借りれば

「医師会とは、医師の代表機関」 (P3)

である。

本書の内容は、一般に全く知られてゐない

「医療の問題点(行政とマスゴミによる弊害から起きてゐるものが多い)」

「開業医の現実(儲けてゐるのはイメイジ?)」

「消費税増税による、医療への圧迫」

「東日本大震災で日本医師会が果たした功績」

「TPPで取りざたされてゐる、米国の民間医療保険の参入」

「混合診療の患者への影響」

「薬のネツト販売の自由化に伴ふリスク」

と、マスゴミ報道だけでなく医師会の側からもその見解を聞いてをいたはうがいいことばかりである。

医師会が反対してゐる、となると「医師の利益がなくなるからだろ」といふイメイジが先行するが、反対してゐる理由が実は「結局患者の負担が大きくなる」ことに集約されてゐる件もある。

なぜ財務省が患者の負担になることを推奨するのか? それは、税金で医療費を賄ふ必要がなく、患者が個人で払ふことになるから、といふウラがある。そして、記者クラブといふ「官公庁からの情報を待つてゐるだけの広報機関」は、検証することなく官公庁の言ひ分をそのまま流すのである。

今までも別の本で感じてきたが、マスゴミは絶対に信用してはならない。マスゴミと反対意見、マスゴミが否定する意見もきちんと読んで自分で考へるべきと思ふ。


朝日新聞の危機と「調査報道」 原発事故取材の失態

2013年03月08日 15時33分37秒 | 社会・報道・警察・教育

谷 久光氏の著書。

谷氏は1934年生まれ、57年学習院大学政経学部卒、同年朝日新聞社入社。名古屋スタートで社会部畑を歩き、東京社会部次長、名古屋社会部次長、東京企画報道室長、企画総務、編集委員などを歴任。退職後は03年まで故平山郁夫氏が主宰する(財)文化財保護侵攻財団専務理事の経歴をお持ちで現在は日本記者クラブ会員。

本書は朝日新聞記者OBが福島原発事故の際の「大手新聞社の報道の姿勢」に疑問を持ち、その疑問と自分達が現役の時に行なつてゐた「調査報道」の状態を一冊の本にまとめたものである。

「プロローグ」、および「第一部 朝日新聞にみる存亡の危機」では、記者クラブの「発表報道」にすつかりと「慣れて」しまつた現在の記者らが現地に潜入取材をせず、危険区域には立ち入らず、東電他の発表に従って記事を「書いた」ことに対し、フリイの記者は原発作業員となつて潜入し本を出版したりしてゐる対照的な取材姿勢を書き、大手新聞社の「堕落?」を嘆いてゐるやうに見えた。

フリイの記者の書いた本も読んだ。谷氏が指すのはきつと、この本であらう ヤクザと原発 福島第一潜入記 http://blog.goo.ne.jp/liebe-kdino-schumi/e/842b989bda5d20e76b79e70717eea45d 

また、それ以前に記者クラブといふものがどういふ団体でフリイの記者や外国メディアといふ「よそ者」に対してどんな対応を取るのかも本で読んでゐた。
記者クラブ 情報カルテル http://blog.goo.ne.jp/liebe-kdino-schumi/e/4eac92c98c38d4442415e4d293a0f398
記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争  ジャーナリズム崩壊  新聞が面白くない理由

なので、この第一部で谷氏が記者クラブに在籍する記者と記者クラブに在籍を拒否されてゐるフリイの記者のかき分けは理解できた。フリイの記者からは、大手の「会社員」記者クラブ員は結構辛辣な目でみられてゐるやうである。

谷氏は記者クラブの記者の対応とフリイの記者の対応を見比べ、「存亡の危機」を感じられてゐる。 個人的に言ふと、前から思つてゐた「新聞取る意味あるのかな~」といふ状態が書いてある。

そして、谷氏は「第二部 よみがえれ、調査報道」として過去自分達やその先輩が一本の情報提供の電話により、いかに多くの情報を集め世間を動かし、様々な賞を受賞したのかを書いてゐる。

第二部の最後は、その調査報道を行い各賞を受賞した人達との座談会となつており、ネツトに対するコメントもあつたが。

正直、なんかがつかりした。

以前、「朝日が取り上げなければ記事ではない」とか「朝日が天下を動かしてゐるんだ」と朝日の記者が本気でさう信じて発言してゐるといふのを聞いたことがあつたが、この座談会がまさにその雰囲気だつた。

第一部でフリイに記事を抜かれ状態になつてゐる、現状の自社の記者の反省とか改善は全くなく、他の媒体もそうだとかテレビはもつと酷いとか言つてゐる。ネツトが出たら取材にもいかないでネツトの記事で書いてゐる記者もゐるとかの話もある。

でも、最後はネツト媒体は記者を持つてゐないから新聞記者がとくダネを書かないと言論が死ぬ、といふ意味不明の結論になつてゐた。

これは結局、ネツトだらうがそんなのはフリイと同じと思つてゐるのか? 大本営の発表通りにしか書いてない現在の自社の記者のことは何もなく、「昔取った杵柄」で自慢してゐるやうな感じがした。

これが朝日新聞の体質か・・・・・ なら慰安婦ねつ造キヤンペインといふ、ありもしないことを調査報道しないでキヤンペイン記事を発行するとはだういふことは何なのか?

調査報道を掲げてゐる限り、恥ではないのか?


調査報道がジャーナリズムを変える

2013年03月05日 16時52分03秒 | 社会・報道・警察・教育

田島 泰彦氏 (上智大学新聞学科教授、憲法・メディア法専攻)、山本 博氏(北海道新聞記者を経て、1970年朝日新聞本社入社)、原 寿雄氏((社)共同通信社入社、社会部記者、バンコク支局長、外信部長を経て77年に編集局長、85年専務理事、編集主幹)らが編集。

本書は10章からなり、執筆者は清水潔氏、太田昌克氏、高田昌幸氏、青木理氏、山本博氏、原寿雄氏、橋場義之氏、小黒純氏、小俣一平氏、田島康彦氏らである。

中盤から終盤、朝日新聞の賞賛?と思ふやうな内容が続いて、異様な感じを受けた。

元朝日新聞記者が書いてゐるせいなのか?

それとも、昔の朝日はエラかつたと言ひたいのか? 

では、なぜほぼ同時期の朝鮮人を親戚に持つ朝日の記者植村氏が朝鮮人と一緒に捏造した慰安婦の問題を取り上げないのか?

他の新聞社の「大本営発表」鵜呑み記事を批判するのなら、親戚関係にある者の言ひ分等で捏造キヤンペインをするのはいかがなものかと思ふ。

要は、この本はジャアナリズムは記者クラブに待機して官公庁の発表をそのまま記事にするやうな発表報道ではなく、記者が疑問を持つて調査を行ひ、鵜呑み記事を書くのではなく調査した結果の記事を書くべき

と言ひたいらしいが

今、マスゴミがそれをしたところで、内容が信用されるのだらうか?とすら思つてしまふ。

テレビの番組など、どこかが当たれば似たやうな番組を出してくる。

夕方のニュウスの「特集」など別の局で取り上げられた店が時を置いて出てくる・・・・

馴れ合ひの、マスゴミ

といふ印象しかないが・・・ 街頭インタビュウなどもスタツフのやらせと聞いてもすでに驚かない。

実を言ふと、夕方のニュウスの店の特集も客はスタツフではないかとすら思つてゐる。もしくは、コメントはあらかじめ用意してあつて、それを言ふやうに頼んでゐるんだらうと思ふ。さうしないと、放送用の画と発言が撮れないからだ

朝日はさすがだと思つたのは

民主党政権下で起きた尖閣諸島領海侵犯シナ漁船による襲撃事件のビデオを公開しなくてよいと主張してゐたところだ。その理由が「政府の『高度な』(政治)判断」を尊重する」(P195) といふものだ。

「『高度な政治判断』が何を意味してゐるのか。(略)社説の責任者である大軒由敬論説主幹は次のように答えている。
『問題がこじれて、日中関係を悪くする方向に発展することは好ましくないということを基本に考えた。結果的に中国の態度に大きな影響を与えておらず、公開しても差し支えない内容だったと思う。』
短い説明ではあるが、ここには十分すぎるほど、朝日新聞の立場が説明されている。すなわち、政府がビデオ映像を公開すべきか否かは、『日中関係』 『中国の態度』を考えて判断するというのである。政府は悪影響が出ると判断し、朝日新聞はそれを追認した。」 (P195-196)

さすが、安倍政権を攻撃する朝日ですね。民主党、といふよりシナ様一色なのでせう。こんな新聞が日本で日本語で発行して、日本人からカネを取るといふより、よくまあ購読してゐる人がゐるものだ。

メディアといふより、「シナの工作機関の機関紙」であらう。 シナ朝鮮機関紙は朝日のみにとどまらず、毎日とかネツトの媒体もある。

本書を読んで、ジャアナリズムに関はる人によつて記事は変はると思つたがそれよりも、受ける側の読者、視聴者がその情報をうのみにせず、吟味し他の情報を調べてみる、といふことが大事ではないかと思つた。


ナミヤ雑貨店の奇蹟

2013年03月01日 21時36分07秒 | 東野 圭吾

東野 圭吾さんの、久々の 純ミステリイといふ作品。

東野さんは、立て続けに刑事が登場する社会的なミステリイを発表されてゐたが、この作品では完全なるミステリイに徹してゐる。

第一章から第五章まで、「ナミヤ雑貨店」を取り巻く話となつてゐる。

第一章で、犯罪をしでかした後らしい、若者3人が「あばらや」へ向かふ。そこはとつくに閉店した雑貨屋なのに、なぜかポストに手紙が投函された。

その手紙は「悩み相談」だつた。

面白半分に回答して、返事を牛乳箱に入れると、なぜかすぐにその回答に対する返事が来た。これはどういふことなのか?

ミステリイから幕を開け、この第一章の悩み相談を始めとして第二章から第五章まで、物語りが展開していく・・・・・

東野さんは、人の心情を描くのが大変上手い作家であるが、このミステリイもその特色が生かされてゐる。

ミステリイなので、作品の詳細は書かない。ここで読むよりも作品を読んでほしいからだ。

最後の最後の、ナミヤ雑貨店の返答には、涙した。 常に社会を見つめる東野さん。社会の様相を作品に反映させていく東野さん。
若者の職がない、等若者が未来に希望が持てないといふ暗いニュウスをマスゴミが流してゐるが、東野さんはそれを蹴飛ばし、自分次第なのだと伝へてくれてゐるやうに思ふ。