読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

My Brother, My Sister, and I

2015年05月10日 15時40分24秒 | 政治関連・評論・歴史・外交

「竹林はるか遠く」の続編。 http://blog.goo.ne.jp/liebe-kdino-schumi/e/39142080b1969c97a4218b1fc35c6e45

原書はこちらで入手可能 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-02-9780689806568 、現在翻訳本が発売になつたばかり。http://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-89295-996-7.html

原書の英語は難解ではないので、中高生の勉強にぴつたりだと思ふ。 

以前の感想は、戦争反対に結びつけて日本の防衛を失くさせやうとしてゐる現在の国内の反日活動も交えて書いてゐる。
それは、「竹林はるか遠く」の内容が「武器を持たない、持てないとどんな危険が身に起るか、身を守れないか」を教えて
くれてゐたといふ印象を自分が強く受けたからだと思ふ。

前作は、朝鮮半島ではぐれた兄が無事に日本に帰国し、京都舞鶴の伝言を見て作者と姉が住んでゐるところに
辿りつき、再会できたところで終はる。

前作から読んできて、作者の大変な人生に呆然とすることが多々あつたが、今回も大変だつた。
やうやく「定住」できる部屋を提供してもらへたのに、火事に遭つてしまふのである。 母親の遺骨を取りに戻つた姉は大けがを負ひ、
入院先の病室でしばらく暮らすこととなる・・・・ 

ほんたうに大変な毎日なのだが、人を恨んだり、人から盗んだり、騙したりといふ方向に絶対に行かずに正しく生きて行く
その姿がすごい。本書に何度か出てくる「川嶋家の誇り」(英文では カワシマスピリッツ となつてゐる)を思ひだして頑張る
様は、人のお手本になるものと思ふ。(原書裏表紙の作者の言葉で両親が子供たちをきちんと育ててくれたと書いてゐるが、
外れないこの人たちもすごかつた)

本書は、朝鮮人の嘘も暴く。主人公の兄が朝鮮語で歌ふと「日本政府は朝鮮人の滞在を許可してないぞ」と言はれる場面がある。
また、兄や主人公は「秘密の会話をしたい時」には朝鮮語で話す場面も出てくる。
 朝鮮にゐた一家が朝鮮語を話すのは日本人が朝鮮語を禁止せずに覚えたからであらうし、政府が朝鮮人を帰国させやうとしたのに
今もつて滞在してるのは竹島を襲撃して日本人を人質にとつたからである。

作者は人を恨むことはしないが、戦争の事は恨んでゐる。朝鮮で不自由のない生活をしてゐた作者が、日本の敗戦により
朝鮮から逃避行をするはめになり、母を失ひ、父は生死が不明。兄と再会でき兄弟で生きていくものの、日々の食事に苦労し
靴も買へない。「戦争さへなければ、戦争は二度とごめんだ」といふ一文がある。かのやうな体験をした人のこの一言は重い。
歴史捏造とそれに加担する反日の戦争反対は何の説得力もない。

「朝鮮にゐるときにはなんでも当たり前だと思つて、感謝することがなかつた」と書いてゐるが、これを少しわかつたのが
東日本大震災による生活の不自由だつたと思ふ。もちろん被災した人達には比べ物にならないが、スウパアに食糧がない、
水が普段の10倍の値段、いきなりワケのわからないシナ製のポータブルガスコンロが並ぶ等、普段当たり前に普通に
出来てゐたことが出来なくなつたり、入手できない等当たり前と思つてゐたことができなくなつて初めて、今まで恵まれて
ゐたのだと実感する。

戦争の状態になつたら、こんなことでは済まないのであらう・・・・・

しかし、再度驚くのが作者が住んでゐた京都の人の凄さである。 自分達はあまり大変な思ひをせずにゐたやうだが、
困つてゐる人を助ける発想が全くない人がよく出てくる。 作者の通つてゐた学校はお金持ちの家の人が多かつた
やうで、中高生でオメガ(戦後すぐにオメガ)を子供に買つてきてやる家の子供などがおり、その人が率先して作者に
嫌がらせやオメガが盗まれたと言つていじめる。

作者はここで、我慢をせずに闘ふ。失礼な校長にも毅然と反論する。 かういふのが大事だらう。
これをしないと、歴史捏造の汚名を着せられてきた日本政府のやうに泥沼にはまる。 いじめで不登校になつて
ゐる人も、教師もこの本を読んで対応を考へてみたらだうだらうか?

定住してゐた場所を火事で失ひ、姉が退院すると3人はしばらく橋の下でガレキで小屋を建てて暮らす。
橋の下には多くの行き場を失つた人がゐた。そこで長崎で原爆に遭ひ、京都の親戚を頼つていくも追ひ出された
人の話も出てくる。

橋の下に住んでゐる作者一家に部屋を提供した人がゐる。姉と同じ病院に入院してゐた人で、作者が日々の
身の回りの世話をしたことが縁で退院時に何もない作者の家に小さな家具や布団一式を残して行つてくれた人である。
作者は偶然、この婦人と出会ひ部屋を提供してもらふことになるのだが、学校のクラスメイトからその人が
の人だと指摘をされる。

の人の事はあまりよく知らないが、関西ではかなりなウエイトを占めてゐて学校でもいろいろ教へるらしい。
教へるのはいいが、その教へ方によつては印象が大きく変はるであらう。 作者の学校の生徒たちはかなり偏つた
思考を持つてゐたやうで、朝鮮から引き揚げてきた作者の身なりや持ち物がないことを理由にいじめる。
「民」の地域に住んでゐるといふことを知つた後は、完全に誰も近寄らなくなる。そして卒業式の日にはクラス写真
を一緒に撮ることも拒否される。

作者はそれに対して悲しいと思ふよりは「私は彼女らのやうな一員ではない」と毅然と拒否する。

の人については色々な話が聞くが、本書に出てくるやうな人もゐるわけで、このやうな人が一部の人の
突出した行動により一緒にされて一線を引かれるのは気の毒と思ふ。

前作を読んだときにも思つたが、震災の際に京都からどれだけの寄付があつたのか全国で何位だつたのかぜひ知りたい。

主人公の父親がついにシベリア抑留から帰国する。駅に迎へに行つた主人公はあまりの変りやうにショツクを受ける。
首や背中が曲がつてゐる父に何があつたか訊いても「今はまだ言へない」と答える父。
かういふ事情を利用して日本の被害者と言ふ嘘をホザく朝鮮人は絶対に許せない。また、最近マスゴミがロシアの
「戦後勝利70周年」を流し、プウチンの「日本の軍国主義に戦つた」といふ大嘘を否定もせずに流してゐるが
日ソ不可侵条約を一方的に破棄し、北方領土を侵略した事実をきちんと放送しろ。 シナと一緒にゐるプウチンの姿は
いかにも共産主義者が大嘘吐きで独裁的であるという象徴のやうだつた。

作者のご尊父は「人に親切に」と言つて亡くなる。 人に親切に、悪には毅然と、がこの両親の教へなのだなあ
と作者の姿を見てゐると思ふし、それは大事なことだと思ふ。