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天才

2016年08月13日 21時59分19秒 | 人物伝、評伝 (自伝含)

石原 慎太郎氏の著書。

昭和47年日本の総理大臣となつた田中 角栄氏の人生を石原氏が一人称にて
書き上げた一冊。

田中氏と言へば、その印象はロッキード事件で5億円もらつた人、といふ印象しかない
といふか、殆ど無知な状態だつたのだがこの一冊でいろいろわかつた。しかも一人称
で思ひでばなしのやうに書いてあるので、わかりやすい。

父親が馬を持つてゐてお金に関する苦労の話から、上の学校を進められるも諦めた事、
東京に出てくるきッかけとその後の変化など、この人凄い人生を来たんだなと思はざるをへ
なかつた。

頭は、とてもよかつた人なんだなといふのが読み進んでいくうちに強くなつたが
金権政治を作り上げたのもやはりこの人なのだらうと思ふと、頭がよくて日本の将来を見て
行動してゐたのにそこが残念に感ぢた。

新幹線、高速道路等々地方のことを念頭に置いた政治活動はこの人が始めたことだつたと
は知らなかつた。 しかし、新幹線や高速道路は首都から地方に分散するといふこの人の
狙ひよりも、地方のはうが発展する仕方を知らづに逆に人が東京圏内に出てくることになつて
しまつた皮肉な結果になつてゐるやうに思ふ。

今、やうやく官公庁が首都圏から移転の方向を進めてゐるが同時進行すればもつと違つた
形になつてゐたのかもしれない。

金権政治が始まり、首相が頻繁に交代するやうな国民無視のばかな政治が形づくられたのが
この人からの時代なのだらうといふ印象はぬぐへない。

国民とか国を無視し、どの派閥から誰を出して総理にするのかなどといふことに時間と金を
使つて政治の堕落を招いた印象もぬぐへない。

その結果、有権者がうんざりして自民党大敗、民主党政権を呼んだやうな気がする。

だが、田中角栄氏は日本のためにいいこともしてゐたらしい・・・・ 知らなかつたことだが。
そして、それが米国の機嫌を損ねたためにロツキイド事件といふものを仕立てあげられ
失脚させられたのではないかといふ印象も持つた。

米国の内政干渉はかねてから感ぢてゐたが、こんな昔からこの姑息な事をやつてゐたのかと
いふ思ひと、日本のマスメディアのろくに取材もせずに大騒ぎするばかな傾向がこの時から
あつて、日本の足を引ッ張ッてゐたのだといふ至極残念な思ひが交錯した。

田中 角栄氏の政治活動だけでなく、プライバシイも書いてゐて大丈夫なのかと思つたが
既に著書が出てゐるので大丈夫らしい。

政治屋と芸者さん、おめかけさんとの間の子供の関係ッてほんたうにあるんですね・・・・ 

著名な人の奥さんは大変だなあと思ひつつ、なんでそんなにお金が持てるのでせうかと
いふ疑問がいろいろ湧きました・・・・

ほんたうに国民のために潔白に仕事をする人は、政治屋にはなれないのかもしれません。



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