読書おぶろぐ

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いつか、あなたも

2015年02月07日 21時09分03秒 | 医療 (医療小説含)

久坂部 羊氏の作品。

本書は、作家ご本人も記されてゐるが、「めずらしく」あとがきがある。
この本は、久坂部氏の実体験に基づいて書いてゐる本ださうだ。
だが、登場する2人の医師のモデルが久坂部氏であることは明かされてゐるものの
登場するクリニツクの看護師や事務員の方はフィクションと明記されてゐる。

主人公は在宅医療専門のクリニックの看護師。
この看護師の勤めるクリニツクは、在宅医療のケアなので訪問診療のみであり、クリニツクに
患者を迎えることはしない。

訪問して、患者の自宅で診察をし、必要な措置が出た場合は外部の病院を紹介するクリニツクである。

このクリニツクを中心とした、さまざまな患者の物語が短編となつてゐる。

題名の「いつかあなたも」 は

あなたもいつか死にます、それが在宅なのか・・・・といふ問ひかけといふか語りかけのやうな雰囲気で
つけてゐるのであらう・・・・と思ひながら読んでゐたら

とんでもなかつた。 それぞれ症例の違ふ患者の短編集なのだが、「いつかあなたも」は精神疾患を
患ひ、それを元に身体的に胃ろうや導尿カテーテルをつけてゐる患者の言葉なのであつた。

ここまでほんたうに酷いのか戸惑ひながら読んだ。

最初の「綿をつめる」では、文字通り自宅で亡くなつた方の遺体の処置を描いてゐるが・・・・
知らなかつた・・・・ これを読んだら人によつては食事ができなくなるであらう 

しかし

かうした処置をしてくれるからこそ、葬式の時に遺体が粗相をしないのだ・・・・と思ふと
こんな手間人様にかけたくない・・・・  海かなんかで泳いでる時に突然高波が来て攫はれて
行方不明で死にたい・・・・ と以前よりの願望をさらに強くした。

次の「罪滅ぼし」では、認知症が重度になると座ることもできないのかと愕然・・・・・
そんなになつてまで生きてゐたくない。 安楽死協会で認知症も対象にしてもらへないだらうか
(なつてゐるのかな?)

死体の処置はともかく
生きてゐるのに、生きてゐないやうな恐ろしい状態・・・ 人間ッてこんな状態にもなるのかと

個人的な事を言ふと、自分は安楽死協会に登録してゐて、何かあれば無駄な延命治療はしないで
ほしいといふ書類に署名してゐる。

本書は

自分で食事ができないのに、栄養チュウブをつけ、栄養液を注入されてゐるせいで死なずに
ただやせ衰え、寝たきりの患者が何人か出てくる

そのうちの一人は明確に安楽死を望む・・・・・

安楽死協会に登録してゐる自分としては、物が食べられなくなつた時点で死ぬ時を迎へて
ゐるので、死ぬべきと考へてゐる。

変な例へだが、野生動物は自分で狩り(食事)ができなければ死ぬ。 食べられないことは
体がもふ、終了を告げてゐることだと思ふ。

それを、身体に穴を開け養分を流し込み

息をしてゐる

状態を保つことに何か重要な意味があるのだらうか? 自分で食事もできないのは最早
生きてゐると言へないと思ふ

無駄な事はしてほしくないので、自分の最期は海で人知れず遭難して沈んで死にたいと思つた



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