読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

周極星

2009年03月31日 20時21分59秒 | 経済
幸田 真音さんの作品。
中国経済に挑んだ作品です。

連載は2004年からでしたので、多少古い部分があるのですが2006年の単行本あとがきで幸田さんが
状況を説明されてをります。

いつもながら、幸田さんの展開の早さと経済に絡んだ人間関係記述の上手さは感心させられますし
この作品は特にそれが強ひと言へませう。

経済状況だけでなく、中国人の性格も記述してゐるのは絶賛です。
さすが、観察力の鋭い幸田さんだけあります。
全面賛成です。

ご一読をお勧めします。

夏の名残りの薔薇

2009年03月29日 17時52分37秒 | 小説
恩田 陸さんの作品。

面白かつたです。
恩田さんは「六番目の小夜子」で日本フアンダジイイ・ノベル大賞の最終候補作品で
デビユウされましたが、そのファンタジーノベルの才能がありふれた作品です。

沢渡三姉妹が山奥のクラシツクホテルで毎年秋に開催する豪華なパアティ。
参加者は姉妹の甥の嫁の美貌の桜子や次女の娘で女優の瑞穂など華やかだが
何かと噂のある人物ばかり。

一つ一つの「変奏」が目まぐるしく展開し、これは嘘なのか真実なのか夢なのか・・・

最終変奏が見事

傷 邦銀崩壊

2009年03月28日 16時14分22秒 | 経済
幸田 真音さんの作品。

面白いです~。
幸田さんは元外銀・外資系証券会社デイラアでありまして。
その経験を元に書かれてゐる経済小説が本当に面白い。 

発表が1991年なので、少し古いこともあるが当時の日本はバブル崩壊で金融業界が
物凄い打撃を受け、「不良債権」なるものがどかどか出、果ては某証券会社倒産等等あつた時期である。

その頃の時代を背景に主人公の有吉 州波(すなみ)が繰り広げる経済小説。
経済小説といふか、金融界と官僚の癒着等々日本金融界の闇を抉る作品。

今もきつと変わつてゐないのだろうが・・・

主人公の行動は幸田さんの意見を表明してゐるのかなと思ふこともあった。
スピーディな展開、大胆な州波の行動が小気味よく描かれた作品です。

座礁 巨大銀行(メガバンク)が震えた日

2009年03月22日 17時56分35秒 | 経済
江上 剛(ごう)氏の作品。
江上氏は1977年第一勧業銀行(現みずほ)に入行。
1997年第一勧業銀行総会屋利益供与事件で広報部次長として混乱の
収拾に付与した経歴があります。

本書は、その経験を生かした作品です。

今、「総会屋」つて聞かなくなつたやうだが

本当に無くなつたのか?
総会屋の代わりに利益を得てゐる集団があるのでは?

自分のお金を銀行へ預けてゐる預金者の財産を使つて、自分らが不当利益を
得ている話・・・
相手が総会屋でなくても、他人のお金を使用して不当利益を得てゐるのなら・・・

たんす預金しかないか?

人は、永遠に輝く星にはなれない

2009年03月18日 19時15分07秒 | 医療 (医療小説含)
山田 宗樹氏の作品。

主人公は病院に勤めるソーシャル・ワーカー
彼女を取り巻く人たちが描かれる。

高齢化社会を迎えつつある今、
「介護」
が将来的な問題になつてゐるであらう。

年をとって身体の自由が効かなくなる自分 
事故にあつて半身麻痺してしまつた自分

自分で自分のことが出来ない自分・・・ 人に助けてもらうしかないやうなとき
その人たちをいろいろなケースで主人公のソーシャル・ワーカーの目を通して
描いていく。

自分の最期はどうなのか
誰にもわからない
自分の望むやうに死ねる人は皆無では?
他人事、と割り切れば良いけれど、自分はどうなるだろう?と思ふと切なくなる

が・・・・・・
現実を描いた作品だと思ひます。