穏やかな春の陽光が降り注ぐ暖かい行楽日和。
部屋の中でじっとしていると薄ら寒く感じるのは何故かと思ったら、ベランダに差し込む日差しがもうガラスを通して部屋の中まで届かなくなったせいだと気づいた。
団地の桜の花は半分ほどが散ってしまったが、北側に楚々と咲いている山桜を見つけた。
赤みを帯びた新芽と白い花びらには絵巻物のような風情がある。
ハラハラと何処からともなく桜の花びらが風に舞う。
昨日はくぅの引越し&入学式だった。
朝5時に家族全員が起床。
レトルトおかゆで朝ごはん。
くぅはなぎぃのスーツを借りて身支度。
私も入学式スーツを着込む。
夫となぎぃは引越し作業服。
6時にワゴン2台で出発!
夫となぎぃの車が先導して、免許取立てほやほやのくぅのワゴンに私が乗り込む。
早朝なので渋滞には遭わずに無事市内を抜ける。
車間をあけて走るので途中で他の車に割り込まれたりするが、見失うことなく付いていった。
篠栗の辺りまで来ると道なりに走るだけなのでくぅも余裕が出てくる。
八木山バイパスを快調に飛ばし、飯塚市へ。
7時過ぎには目的地近くに来てしまったので一旦アパートに行って荷物を降ろすことにする。
家を出て1時間で着いてしまったが、7時に出たのでは渋滞にかかって9時には間に合わないので仕方ない。
初めての長距離ドライブで緊張していたくぅもホッとした様子。
ワゴン車1台に自転車まで積んできたが、男3人で下ろせば荷物もあっという間に運んでしまう。
落ち着く間もなくくぅと私は夫に送ってもらって入学式へ。
飯塚コスモスコモン大ホールが入学式会場。
川沿いの立派な建物は周りの景色の中でかなり目立っていた。
大ホールはコンサートホールだ。
新入学生と大学院入学生が半々に1階に座り、保護者は2階席に誘導された。
ステージを見下ろすように席がしつらえてあり、子ども達は見えない。
入学式は式次第にはないオーケストラの演奏から始まった。
サークル活動の交響楽団だ。
残念ながら上手なのか下手なのか分からなかった
普段なら退屈な同窓会会長などの来賓挨拶も有名電機メーカーの取締役などの話は具体的で結構面白かった。
なぎぃは寝ていたらしいが
入学生代表の挨拶は、慣れないヒールを引きずってひざを曲げて歩いて行った女子が足を広げたまま挨拶文を読んだ。
緊張していたのだろうとは言え、親御さんはハラハラしたことだろう。
式の後にパ○ソニックの取締役の講演があった。
奈良の大仏の鋳造方法を示して「日本人は古来物づくりに適している」と言っていたが「それを作ったのは大陸から来た技術者じゃないのか」などと考えた。
それはともかく、内容は具体的で分かりやすく面白かった。
その後、保護者説明会。
大学生になって保護者説明会もないだろうと思ったが、成績不振などで引きこもりになる子も多く、20%も留年すると言うから親も無関心ではいけないと言う。
1時近くにやっと終わった。
お腹はペコペコだったので、夫に迎えに来てもらい、4人で昼食。
アパートに引き上げると、荷物は何にも片付いてない。
なぎぃはベッドで寝ていて、夫は仕事をしていたらしい。
駐車場の契約に行くことになり、くぅは普段着に着替える。
印鑑が要るだろうと言うとくぅは鞄やジャケットポケットを探り、家に置いてきたかもと青くなる。
とりあえず私の持っていた印鑑を持って出かける。
その間荷物を開けて片付け。なぎぃはパソコンの接続。
ゴミ箱やハンガーなどの買い物と寿司を買って帰ってきたので4人で最後の晩餐。
「保険証などの大事なものは持って来た?」と聞くと「あるよ」と白い箱を開けたとたんくぅの印鑑が転がり落ちてみんなで大爆笑
大事なものはまとめておいたらしい。
「ガスと水道は自分で連絡するんだよ」と言うとちょっと不安そうになり、6時を過ぎていたが私達が帰る前に電話する。
ガスは連絡がついたが水道は役所なので月曜にまた電話することに。
何事も経験だ。
銀行引き落としだと言うのでちょうど持っていた印鑑をくぅに預けて帰途に着く。
「それじゃ~」とドアを閉めようとするくぅがちょっと心細そうに見えた。
黄昏時の帰り道、私の携帯が鳴る。
くぅから「銀行の支店名が分からない」とメールが入る。
「電話番号は書いたほうがいい?」などと何度かメールが入り「しっかりしているようで結構抜けているね」と3人で爆笑
帰り着くと8時過ぎ。
長い長い1日が終わった。
それにしても、デジカメを忘れていった私は写真がぜんぜん撮れなかった