朝日朝刊の一面を嬉しいニュースが飾った。イチロー選手の大リーグ9年連続200本安打の新記録達成の偉業と、iPS細胞研究のパイオニア、京都大学山中伸弥教授のラスカー賞基礎医学部門での受賞である。ともに海外から飛び込んできた。
シーズン始めには胃潰瘍を患い、また最近ではふくらはぎの故障で戦列を離れたイチロー選手に私は不安感は抱かなかったものの、9年連続200本安打という大リーグ新記録達成が遅れることにはやきもきした。ところが戦列に復帰するや、欠場をものとしない速いペースで大リーグ108年ぶりの快挙を成し遂げたのだからもうたまらない。イチロー選手の飽くことを知らない研究熱心と、弛まざる日々の実践が偉業達成の裏にあることを思うと、日本人一人ひとりに、いかなる道を歩むにせよ、そのための努力を怠りなく積み重ねようという意欲が湧いてくるのではないだろうか。私はまずは一弦琴と朝鮮語である。
山中伸弥京大教授の万能細胞(iPS細胞)研究に寄せてでこのように述べたことがある。
元日の朝日朝刊に話題の人、山中伸弥京大教授に朝日賞贈呈の記事が出た。「万能細胞作成に関する新手法の開発と実証」によるもので、この成果がマスメディアに大きく報じられてから2ヶ月も経たないうちの決定である。山中教授の受賞がおめでたいのはもちろんのことであるが、授賞を決めた朝日新聞文化財団の素早い対応も賞賛に値する。これを皮切りに山中さんは国内外の栄誉ある賞を受賞していかれることだろう。英雄の誕生である。
(2008年1月2日)
ここで私は朝日新聞文化財団の素早い対応を評価することで、山中教授のわが国におけるさらに重い賞の受賞が相次ぐことを期待したのであるが、残念ながらアメリカのラスカー賞に先を越されてしまった。選考・発表時期との兼ね合いがあるのかもしれないが、わが国が後れをとったことは返す返すも残念である。科学立国日本の面目に賭けて、外国の後追いを繰り返す愚だけは避けて欲しいと思う。