日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

森見登美彦著「夜は短し歩けよ乙女」のページをめくりて

2007-05-25 18:22:01 | 読書

四条木屋町、高瀬川、烏丸御池、老舗喫茶「みゅーず」、先斗町、京阪三条駅界隈、下鴨神社参道、糺の森、下鴨納涼古本まつり、時計台、学園祭、本部構内、吉田南構内、吉田神社、出町柳駅、百万遍交差点、銀閣寺、哲学の道、東一条通り、高野川、北白川、今出川通、寺町通、元田中・・・、こういう文字がこの本のページをめくると出てくる。かっての私の行動範囲と一致する。面白そうだと思ってこの本を買った。

早速登場するのが酔っぱらい、恋わずらいに悪性の風邪引きで、そのせいか皆頭が朦朧とおかしくなっている。そのなかに引っ張り込まれるものだから、読む方もおかしくなる。小説だから当たり前なのかも知れないが、まともな人間は一人もいない。皆どこかがおかしい。おかしいもの同士だから話の繋がりなんてどうでもいい。あっちこっち飛んでいく。ストーリーだけでなく、登場人物までも風に吹き飛ばされ空中遊泳をする。『タミフル効果』でもあるまいが、私もベランダから飛び出して遊泳したいなという気分に誘われる。

学生が主役でそれを支える脇役の社会人、その猥雑な人間模様にオジサンが郷愁を覚えるというのもいいものだ。一種の回春本でもある。本屋が読んで欲しいと2007年本屋大賞第二位に選んだ作品ゆえ、本屋で堂々と立ち読みするのがよさそうだ。買うほどのものではなかった。

ちなみに大賞は私も読んだ佐藤多佳子著「一瞬の風になれ」。


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