日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

勝手に書き換えられた教科書の話

2009-10-13 22:31:08 | 学問・教育・研究
10月から韓国・朝鮮語の中級クラスに進むことになり教科書も新しくなった。その教科書を使っての初日今日、思いがけないハプニングがあった。ある言い回し方の例文の説明を先生がされたが、なんだか話が分からなくなった。話の流れでは教科書の例文の解説の筈だのに、先生が説明されている単語などが私の教科書には出ていない。先生はこれまでも教科書の例文に加えて、それに似た文章を自分で作り説明されることが多いので、そうなのかなとも思ったが、それにしてもおかしい。分からないまま次の例文に移ったが、ここでも教科書には出ていない単語の説明を始められた。いくらなんでもおかしいと思い、隣の人の教科書を覗き込んだところ、その教科書には先生が説明されている単語がちゃんと出ているので、狐につままれたような気分になった。同じ教科書で同じページなのに、例文の文章が私の教科書のとは違っているのである。本の表紙を比べてもまったく同じであったが、念のために奥付きを見ると、私のは第四刷になっているが隣のは第三刷である。内容が変わったのなら普通なら第何版と表紙の目につくところに表示し、奥付きもその旨が記されているはずである。そう言うことが一切なしに、第四刷では同じページにある五つの例文のうち、二番目と三番目だけが第三刷とは違っているのである。これは摩訶不思議とばかりに帰宅してから出版社に電話した。

担当者はこのような事実をすでに把握していた。新に増刷する際に、そんなことをして貰ったら困ると出版社が言うのに、著者が無理矢理内容を変えてきたと言うのである。そして出版社が押し切られる形で、変更したものを印刷したらしい。しかし、である。それはあくまでも出版社側の事情で、同じものだと信じて内容の違うものを買わされた利用者としては迷惑な話である。

私の韓国・朝鮮語クラスは13人でうち2人が新入生である。ここで少し説明をすると、入門・初級コースを終了してから希望者が中級クラスに進むが、この上のクラスはない。語学の習熟に終わりがあるわけではないので、六ヶ月間の中級クラスが終了してもまたこのコースを繰り返す人が多いのである。13人中の11人はそのような人たちで、中には5年も続けている人が居る。さらに先生は曜日を変えて同じ中級クラスをいくつか持っているので、全体としては長続きしている受講生が結構多いようである。以前から居る人たちは同じ教科書を繰り返して使っており、先生も任意にその日のテーマを決めてそれに関係のある教科書の例題を取り上げて解説する。いわば復習を繰り返しているようなものである。中級クラスに加わった二人の内、私の隣の一人は第三刷を買った。その後同じ本屋で私が買ったのが第四刷であった。他の人たちは第三刷かそれ以前のものを使っていることになる。

今回のような問題の解決策としてまず考えられるのは、出版社が第三刷か、それと同じ内容と出版社が言う第二刷を、私に無償で提供するか交換することである。しかしこの教科書を先生が使い続ける限り、今回のようなトラブルはこれからも必ず起こる。となるとやや手間ではあるがベストなのは、先生の中級クラスの全員に第四刷を出版社の負担で提供するなり交換することである。実は、驚いたことに、後の方の提案は出版社がしてきたのである。当面は私一人だけのことであるので古い教科書に換えて貰えばよく、現に出版社は第二冊なら手配できると言ってきたが、先のことを考えると、現在の中級クラス全員の教科書を第四刷に変えてもらった方がスッキリしてよい。先生にもこうした成り行きを伝えたところ、出版社の提案を受け入れた方がよいと言うことになり、後は先生と出版社との直接交渉にゆだねることにした。出版社から先生の所に第四刷を一括して送ってくることになりそうである。

非を認めた出版社の対応は極めて迅速かつ誠実であった。それにしてもこの教科書の著者の改定の意図が私には理解しがたい。例文が二つ変わったのは、言い回しの表現を「してもらえますか」→「していただけますか」と「してもらえませんか」→「していただくわけにはいきませんか」のように変えたせいなのである。著者にはそれなりにこだわる理由があったのだろうが、それにしても強引なルール破りのように思われる。増刷の際に誤植を訂正するのは当然のことなので許されるが、教科書の中身を、全体で何カ所あるのか私は知らないが、黙って書き換えるなどはたとえ善意によるものであれすべきことではない。教科書出版社の最低限心すべきことであろう。