われわれ男声五人組がトアロード市民コンサートで演奏した模様が、ほんの2カットであるが昨21日夕7時前のNHK神戸で放映された。写真は最初のカットである。
人前で歌った回数はまだ五指に満たないが、なかなか心地よい。拍手を頂けるのが嬉しくて、時間があれば、拍手してくださる方一人一人に目線を合わせ、頭を下げたい思いである。この醍醐味を一度味わうともう抜け出せそうもない。
「感動した」「うまかったよ」「楽しかった」「ようやる」「トチリも愛きょう」「オジイサン、やるね」「続けてくださいね」「シニアのアイドル、頑張れ」・・・・、等々、いろんなメッセージが込められているだろうが、とにかく拍手にはモルフィン効果がある。そして向上への意欲が刺激される。
そこで連想が働いた。
現役時代、いわゆる『講演』などで聴衆から拍手をいただくのは、儀礼的なものもあってごく当たり前なのである。しかし教室における日常の『講義』で聞き手である学生諸君から拍手をしてもらったことは残念ながら一度もなかった。
私は『講義』の準備にはけっこう手間暇をかけた。それなりに『話術』にも気を配った。居眠り学生を目覚めさす努力も等閑にはしなかった。思いがけないところで学生の笑声をさそう儲けものも時にはあったが、おおむね反応の乏しいのが常であった。
「面白かった」「よく分かった」「熱意が伝わった」「次の時間が楽しみ」、要するに何か得るところがあれば『講義』の終わりに学生諸君が教師に拍手を送ったらどうだろう。教師もにこやかに会釈を返しては、自分の努力が報われたことを励みとし『講義』により一層力を注ぐ決意を固めることであろう。もちろん「授業料返せ!」と叫びたくなる『講義』には床をドンドン踏みならせばよい。
こんなたわいもないことをふと思った。