星のひとかけ

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最小で、 無限な、、。 ボルヘスの「アトラス」

2008-02-02 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
いま、、言葉と世界の彷徨、、のような本をめくってみたいらしくて、
ひさしぶりにポール・ボウルズなど、読んだりしている。 あと、京都の本も、読んでいる(笑)

ところで、写真の本は、
『アトラス―迷宮のボルヘス』(ホルヘ・ルイス・ボルヘス/鼓 宗 訳/現代思潮新社/2000年)

(ボルヘスについては過去に少しだけ書きました>>
これ、、もう何度も図書館から借りてきていて、こんなに何度も見たいんなら買えば、、と思うのだけれど、、。そうねえ、、見たくなったら、また借りればいいや、、と、思ってしまう。。
視力を失った晩年のボルヘスが、妻マリア・コダーマと世界をめぐり、そこでコダーマが撮影した写真と、ボルヘスの当地での思索の短文とが収められている本。「アトラス」--地図の無い地図帳。
世界の各地で、 ボルヘスが、たとえば、古代神話の神々や、英文学の作家たち、、ブレイクとか、ワイルドとか、、に思いを巡らす言葉が、散文詩のように読める。ボルヘスの詩集の翻訳も持っているけれど、ボルヘスの詩は翻訳ではなかなか味わうのが難しいのでは、、という気がする。

「アトラス」を、気ままに眺めていると、、 これがボルヘスの「ブログ」のように思える。 写真と、それにまつわるボルヘスの短い思索。。 日時と、 時代と、 場所を変えて、 それらが連なっていく。 最小でありながら、 無限でもあり、、 宇宙と結びつくこともできれば、、 宇宙を閉じ込めることもできる、、 ちょっとblogに似てるでしょ。

、、「アトラス」の最後で、ボルヘスは日本へ、、出雲の地を訪れます。そして、、古代の、八百万の神々の声に耳を傾けます。 その文章が好き。。 神々は世界と人間をおつくりになったけれども、人間は、世界をも滅ぼすようなものまでつくってしまったようだから、、もう人間など滅ぼしてしまおうか、、と神々は話し合います。その時、ある神がおもむろに言います。


  「確かにその通りだ。彼らはあの恐ろしいものを思いつきました。
   しかし、十七音節という空間に収まるこんなものもある」

そして、神々の決断は、、、

、、、私はボルヘスに感謝しつつ、 ちょっとは「アトラス」の一頁ようなblogが書ければいいのに、と思うのです。

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