星のひとかけ

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宇宙に電話したい人に…:『さようなら、いままで魚をありがとう』 ダグラス・アダムス著

2020-07-08 | 文学にまつわるあれこれ(妖精の島)
昨日は七夕でした。

夕方 空を眺めたけれど、 お星さまは望めそうになかったので 心の中でそっと宇宙に電話してみました…

この本に依れば、 何百光年も離れた宇宙でも 地球と電話つうじるみたいですし…⤵


『さようなら、いままで魚をありがとう』 ダグラス・アダムス著 安原和見・訳 河出文庫 2006年
(原著は So Long, and Thanks for all the Fish  1984)

 ***

この本のことは前回少し書きましたが、 この『さようなら~~』は、 『銀河ヒッチハイクガイド』という大人気SFコメディ三部作の、続きになっている第4作目だということで、 本当なら第一作の『銀河ヒッチハイク・ガイド』(The HitchHiker's Guide to the Galaxy 1979)から読んだほうがよいのでしょうけれど、 今回はこの『さようなら~』だけを読むことにしてしまって、、 (その理由も前回書きましたね)

この本のタイトル 『さようなら、いままで魚をありがとう』So Long, and Thanks for all the Fish は、 a perfect circle というバンドが2018年に出した曲のタイトルにもなっていて、 イルカがひたすら泳いでいくMVを見て、 そして歌の中に デヴィッド・ボウイが創り出したキャラクターで有名な《トム少佐》Major Tom という言葉が出てくるのを聴いて、(ボウイは2016年に亡くなっているので) ボウイへの追悼の意味も込めてこの曲を創ったとしたら、 この歌のタイトルってどんな意味なのかな…、、と 調べようとしたのがきっかけなのです。。 その頃はこの歌のWikiもまだ書かれていなかったので、 ダグラス・アダムス著の 『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズのことだったんだ、、と分かるまでには 少し時間がかかりました。。

(ゴメンなさい、 これ読書記になってませんね、、 (^^;

 ***

『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズの 第4作目の 『さようなら、いままで魚をありがとう』 、、読んでいる間、 ずっと幸せな気分でたくさん笑いました。 (と言ってもほんの二日半くらいで読んでしまいましたが…)

英語のSFコメディを翻訳するのって きっととても難しいと思うのですが、 訳者さんの言葉づかいがキュートで 愛に溢れてて、 主役の青年 アーサー・デントの気弱そうな、 でも打たれ強いというのか動じないというか、、 読み始めてすぐにキャラクターも大好きになったし、、 (キャラに感情移入できるかどうかというは読むのにとっても重要ですよね) それもこれも著者の愛情や訳者さんの素晴らしさゆえ、だと思います。

銀河をめぐるヒッチハイクの旅から地球へ戻って来たアーサー・デント君の、 この第4作は《愛》の物語。。 ひたすら《愛》の物語・・・笑 
、、だから その前の三部作の『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズで 宇宙をめぐっていた物語とはおもむきはちょっと違うのでしょう、、 でも 今 世界中が新型ウイルスの脅威にさらされていて、 3月以来 すっかり日常が変化させられてしまって、、 会いたい人にも簡単には会えない暮らしになってしまっている、、 そんな時間を過ごして この本を読めて本当に良かったし、 嬉しかったです。。 
『銀河ヒッチハイク・ガイド』にも 地球の危機はおおきく関係しているのですものね、、

なんだか 日頃の感情が抑え込まれ続けていたせいか、 ちょっとした幸せオーラの漂う場面でも涙腺がこわれ気味になってしまって、、 読んでいてきゅんきゅんしっぱなし、でした。

 ***

それで、、 (すみません ここからは音楽ネタに…)

最初ナゾだった 歌の中に出てくる《トム少佐》のことも、 《イルカ》がひたすら泳いでいるのも、 『さようなら、いままで魚をありがとう』というタイトルの意味も、、 読んでいていろいろわかりました。。 (書きませんので詳しくは興味があればウィキなどで)

  「デヴィッド・ボウイをふたり用意して、 いっぽうのデヴィッド・ボウイを……」
            (212ページ)


著者のダグラス・アダムスさんは 音楽がすごくお好きだそうなので、 『さようなら~』の中にもいっぱい音楽ネタが出てきて 60年代以降のUKロックが懐かしい世代には楽しい部分がいっぱいでした。 、、あ これはピンクフロイド…? とか思った部分も、 たぶん著者さんはフロイド大好きだそうですし、、 ケンブリッジ出身ですものね。。

それで、 すご~~っく ロマンティックな場面で登場する ダイアーストレイツの曲、(およびマーク・ノップラーさんのギターに対する著者さんのご意見はまったく同感です、私も…) 、、その曲名が書かれていなくて、 アルバム『Dire Straits』のなかの曲のことかな… 何だろう… 、、って思っていたのも ウィキに書いてありました。

さっき上に引用した 「デヴィッド・ボウイをふたり用意して…」の部分、、
、、 ボウイは言うまでもなく変幻自在の人なので、 どの時代のボウイを想像するのが良いんだろう… と思って、、 書かれたのが84年だから そのちょっと前くらい? 『レッツ・ダンス』期? いえ、 《トム少佐》が再登場する 『スケアリー・モンスターズ(Scary Monsters....and Super Creeps』80年 を想像すれば良いのですね きっと、、 ベルリン期を経て、 再びアメリカへ行ったボウイ、、 

《トム少佐》はただのジャンキー… と歌った 「Ashes to Ashes」の入っている 『スケアリー・モンスターズ』を聴きながら読むのが良いのかもしれません、、 そして 「キングダム・カム」Kingdom Come が流れてくるのを聴いて(この言葉の意味も…)、、 とか、、 (あぁ そうか、、 それでここでボウイが登場するのかな)とか、、 気づきました。

昨日は七夕。。 お空を想いながら、 そして 大好きな人のことを想いながら、 この本を読めたこと、、 とても良かったです。 (前々回の日記の 夕陽の街にもちょっと繋がっていて、 ほんと今この本に呼ばれていたんだなぁ、、って思いました)

 ***

すごくすごく楽しくて 愛に溢れた物語なんだけれど、、 いまのこの世界の大変さ、、 この惑星《地球》の状況、、 いつも頭のなかにはそのことが離れないから、、 楽しくて笑いながら 泣きそうになってしまって、、


この第4作目の終わりに出てくる 《世界の創造主》についての部分、、 


そこを読んだ時も、  笑っちゃうんだけど、、 やっぱり泣きそうになってしまった。。


、、 そして 終わりはあまりにあっけなくて、、


このあとの 第5作目も (そしてこれまでの『銀河ヒッチハイク・ガイド』3部作も)、、 いつかまたいっぱい笑いたくなったら 読むことにします。 (すぐに読んでもいいのだけど、また泣きそうになっちゃうからね、、甘えちゃうから… 別のいろいろ控えてる本に挑むことにします)


ダグラス・アダムスさん、、 素敵な物語を ありがとう。。


それから 大好きなAPCのビリー・ハワーデルさん、、 素敵な曲と素敵な物語との出会いを ありがとう。。


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