昨年は、たった一輪咲いただけの「うつろ庵」の梅花卯木だが、ことしはガンバッテ沢山の花を付けて、じじ・ばばを愉しませて呉れた。
花木や果樹は、枝の剪定の時期と、どの辺りに鋏を入れるかといった、剪定の適・不適で翌年の花付は格段の差がつくようだ。果樹の場合は、将にそれによって果樹の生産が大幅に変化するから、果樹農家にとっては死活問題だ。したがって農協などが懇切丁寧に指導するのだが、花木の剪定は庭の周辺事情や住人の好みで、好き勝手な剪定をするのだから、花木にとってはいい迷惑であろう。
「うつろ庵」の梅花空木の昨年の剪定は、偶々いい具合だったのであろう、それぞれの枝にかなりの数の花をつけてくれた。素人庭師とはいえ、大真面目な向きはそれなりに剪定の勉強をするようだが、ずぼらな虚庵居士は気分次第ゆえ、来年はどうなることやら。
「うつろ庵」の甘夏蜜柑は、枝もたわわに沢山の蜜柑がなった昨年だったが、今年は何と、あの香豊かな花は全く付けなかった。お蜜柑が大好きな虚庵夫人の落胆ぶりは、気の毒なほどだ。梅花空木はさておき、甘夏蜜柑については虚庵夫人のためにも、剪定の仕方を勉強せねばなるまい。
ただ一輪 頼りなく咲きし初花を
思いいだしぬ こぞの今ごろ
しろたえの梅花空木は何故に泣くや
涕の痕か しべの影はも
白妙の花にまだらの影さすは
恋に惑うや 梅花空木
白妙の花弁も蕊も陽を受けて
笑みて開きぬ乙女のこころを