「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「小菊の秋 その1」

2014-11-05 12:35:05 | 和歌

 小菊が咲き誇る秋になった。



 「うつろ庵」のご近所のお宅では、道路に沿ったフラワーベルトに小菊を植えて愉しんで居られるが、道行く私たちも共に愉しませて頂くこの頃だ。

 菊は様々な種類があって、その何れもが素晴しいが、小菊は殆ど手間を掛けずに気楽に、しかもかなり長い期間を楽しめるところが優れものだ。

 鉢植え三本仕立てや懸崖仕立ての菊は、気品があって見応えがあるが、苗の育成からその後の手入れは並大抵ではない。その丹精込める手入れを愉しみ、堪能するところが菊作りの得も言われぬ処だろうが、それに引き替え、小菊はいとも手軽だ。謂わば普段着的な気楽さが、皆さんに好まれる所以であろうか。

 人間社会でも、よそ行き的な雰囲気の人も居れば、やあやあと気楽にお付き合いの出来るご仁もいる。
小菊は後者の雰囲気だが、それでいて気品を湛えているところが堪らない。




           道路沿いのフラワーベルトに様々な

           小菊が競う秋になりけり


           しどけなく咲き乱れるかと見ゆれども

           小菊は何れも誇り咲くかな


           どの花も目をそらさずに吾見上げ

           笑みを湛えて何をせがむや


           頬寄せて押し合いへし合う小菊かな

           幼き子らの声きく心地す


           白花と淡く色づく花交え

           小菊の和みは心癒しぬ