小菊が咲き誇る秋になった。
「うつろ庵」のご近所のお宅では、道路に沿ったフラワーベルトに小菊を植えて愉しんで居られるが、道行く私たちも共に愉しませて頂くこの頃だ。
菊は様々な種類があって、その何れもが素晴しいが、小菊は殆ど手間を掛けずに気楽に、しかもかなり長い期間を楽しめるところが優れものだ。
鉢植え三本仕立てや懸崖仕立ての菊は、気品があって見応えがあるが、苗の育成からその後の手入れは並大抵ではない。その丹精込める手入れを愉しみ、堪能するところが菊作りの得も言われぬ処だろうが、それに引き替え、小菊はいとも手軽だ。謂わば普段着的な気楽さが、皆さんに好まれる所以であろうか。
人間社会でも、よそ行き的な雰囲気の人も居れば、やあやあと気楽にお付き合いの出来るご仁もいる。
小菊は後者の雰囲気だが、それでいて気品を湛えているところが堪らない。
道路沿いのフラワーベルトに様々な
小菊が競う秋になりけり
しどけなく咲き乱れるかと見ゆれども
小菊は何れも誇り咲くかな
どの花も目をそらさずに吾見上げ
笑みを湛えて何をせがむや
頬寄せて押し合いへし合う小菊かな
幼き子らの声きく心地す
白花と淡く色づく花交え
小菊の和みは心癒しぬ
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