「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「散歩のお土産・花梨」

2014-11-19 12:30:16 | 和歌

   散歩のお土産に、香り高い「花梨」を頂いた。



 ズッシリと重い果実を手にしたら、得も言われぬ爽やかな香りが漂った。
「花梨」の肌は「しっとり」と潤いがあって、香りたつ果実とはこの様な状態なのかと、改めて鼻を近づけた。

 花梨を下さった方は、「香りは佳いのですが、固くて食べられませんよ」と仰ったので、暫らくはテーブルに飾り、香りを楽しむ毎日だった。
だが、物好きな虚庵居士の好奇心がムクムクと頭をもたげて、試みに一つを食べてみようと挑戦した。固い果実をやっとの思いで切って、小片を口にして驚いた。
下さった方が仰った様に、「固くて食べられない」果肉であった。それでも無理して咬んだら、香り高い果汁が少しだけ口に拡がったが、舌には「ぼそぼそ」の残渣が残って、果物とはとても思えないシロモノであった。

 頂戴した果実が、本物の「花梨」であろうかと念のため、図鑑のお世話になった。
図鑑の解説にも、「花梨の生の果実は固くて食用には適さない」と明記してあった。 
解説の末尾に「ジャム」の記述を見つけたので、試みに挑戦してみて驚いた。

 何とも香り高い、上質のジャムが完成した。
あれ程「ぼそぼそ」の果肉が柔らかく煮えて、砂糖の甘味と果肉の酸味が調和して
誠に美味であった。




           諺は「犬も歩けば 棒に当る」と

           じじは散歩で「花梨」を頂く


           手にすればズシリと重き花梨かな

           香りは豊かに気品を湛えて


           この果実は固くてとても食べれねど

           香りを召されと下さりしかな


           試みに一切れ口にかじれども

           舌に残るは滓の「ぼそぼそ」


           念のためひも解く図鑑の解説に

           「ジャム」のヒントで トライするかな


           有ろうことかあの「ぼそぼそ」が変身し

           美味なるジャムに生まれ代わりぬ