草むらに「ルドベキア」が、疎らに咲いていた。
野草の緑の中で、鮮やかな黄色の花が風に揺れる姿には、風情があった。
かってかなりの数で群れ咲いていたのを観たことがあるが、この花が一面に咲き乱れる景色よりは、この程度に疎らに咲いているのが、虚庵居士の好みに合うようだ。
蕊の部分がこんもりと盛り上がって咲くのが、この花の特徴だ。
この様な咲き方は類い稀だが、園芸種として輸入されたものが何時しか野生化して、「特定外来生物」に指定されているのは、旺盛な繁殖力を怖れてのことであろう。
別名「大反魂草・おおはんごんそう」とも云う。「反魂」とは ”死者を蘇(よみがえ)らせる”との意味だ。夏からお盆過ぎにかけて咲くので、ご先祖様をお迎えしようとの
思いから、付けられた名前だろうか。
横道に逸れるが、反魂香はお香の煙の中に亡き人に逢いたいと念じて焚き、反魂丹は亡き人が甦生する霊薬といわれ、かつて富山の薬売りは腹痛薬にこの名前をつけて、家庭用の常備薬として売った。
それにしても「大反魂草」とは、大層な名前を貰ったものだ。
野の草を踏み分け歩めば金色の
大反魂草の苑に至りぬ
草むらの緑に浮かぶルドベキア
頬寄せあいて何を語るや
金色の花びら広げもっこりと
蕊盛り上げてご先祖招くや
暑き野にそよ風受けて爽やかに
大反魂草の迎え盆かな