「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「逞しき可憐な蔓草」

2014-07-18 11:59:28 | 和歌

 小学校の生垣に、可憐な蔓花が咲いていた。

 葉のつけ根のところどころに、小さな筒花を付け、ヒゲ蔓で身を支えて、上へ上へと這い登っていた。花の大きさは、この写真とほぼ同じ程度に小ぶりで、貝塚伊吹の緑を背にして、じゃれ合うかの様な風情が可憐であった。

 「屁糞蔓」という、何とも酷い名前が付けられているのが、お気の毒だ。可憐な花をめで、香りを嗅いでも殆ど無臭だが、蔓草を除草しようとして蔓を刈り、葉を切ると
途端に激しい異臭に悩まされることになる。酷い名前が付けられている所以だ。

 手出しをせずに、花を愛でている間はよいのだが、逞しい蔓草はジャングル状に
成長するので、除草せざるを得ぬ折りには、否応なしに異臭と闘わねばならぬ。

 古人は敢えて酷い名前を付けて、異臭への警告をしたものであろう。
それにしても、この蔓草の異臭は並大抵ではない。蔓草は身を護るために逞しくも
異臭を隠し持ち、草食動物に食べられるのを自ら護っているのであろうが・・・。

 


           生垣の貝塚伊吹に寄り添いて

           蔓の小花は可憐に咲くかな


           筒花の四つ五つはじゃれ合うや

           校庭の子等の声に応えて


           蔓草よ育ち急ぎな繁茂せば

           除草と異臭で 評判落すに


           校庭を囲む生垣に身をゆだね

           子等の手届かぬ高さに咲き居れ