「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「逞しき烏の豌豆」

2014-05-31 00:43:29 | 和歌

 野原に、「烏の豌豆」が咲いていた。

 「イタドリ」や「萱」、或いは強靭な幹や枝を誇る灌木などと違って、「烏の豌豆」は 
ごく「か弱い蔓草」であるが、野原における繁殖力や、厳しい自然環境に堪える逞しさは並大抵てはない。加えて、可憐な花を咲かせる野草だから、どこにその逞しさの源を秘めているのだろうかと、訝る程だ。



 3・11の巨大津波に呑み込まれた福島第一原子力発電所の事故以来、日本の原発は総てが運転を停止し、原子力規制委員会による新基準への適合性の審査中で、未だに再稼働の目途もたっていない。
停止中の原発に代る電源確保のために、化石燃料の輸入で我が国は年間3.8兆円もの国富が、海外に流出しているのが現実だ。

 こんな厳しい現実の中で、原子力部門に配属になった新入社員、原子力の次世代を担う若者達を鼓舞しようと、原子力シニアと新入社員の意見交換会が開催され、虚庵居士もそれに参加した。

 新入社員諸君は現実を厳しく受け止め、我が国のエネルギー確保に向けて彼らが果すべき役割を正しく認識し、如何にしたらその重い課題を果すことが出来るかを、真摯に考え意見交換する姿は健気であった。いわば踏みつけられた野草が、逞しく生き延びる姿を連想させて、その眼の輝きにエールを送るシニア達であった。

 シニアとの意見交換を経て、日本だけの狭い視野だけでなく、グローバルで人類の将来に向けてのエネルギー確保に向けても、熱い思いを発言する彼等を見て、次世代を託すに足る逞しさに痺れた。このままその逞しさを、本物に育んで欲しいものだ。




           そよ風に蔓葉をなびかせ花咲くも

           逞しきかな烏の豌豆は


           世の声も厳しき批判も多けれど

           それらに堪える君らに託しぬ


           この地球の未来を託す原子力の

           明日を委ねむ若き君らに


           輝けるまなこを見れば心据わり

           託すに足りなむ若き君らは


           シニアの真摯な声に耳を貸す

           輝く瞳は肯き応えぬ