散歩で時々足を踏み入れる草むらに、「姫踊り子草」が咲いていた。
エノコロ草や風草など、葉の細いイネ科の野草が多い草むらでは、「姫踊り子草」はどちらかと云えば目立つ存在だ。何時もは緑葉に出会うことが多いが、上部の若葉の部分が紫がかった色を帯びて、何処となく厳かな雰囲気であった。
四方に向って、「おちょぼ口」風のユーモラスな花を咲かせるので、親しみを感じさせる野草だ。「姫踊り子草」は薬草としても古くから人々に親しまれて来たが、腰痛や打撲傷に効果があると云われている。
虚庵居士は未経験だが、若芽や花などは「天ぷら」「おひたし」或は「和え物」等にして食べられるそうだ。昔から様々な野草が薬用や食用として用いられて来たが、生活のスタイルが変わった昨今では、それらの野草が人間生活から次第に遠のいてしまった。自然に囲まれ、自然と仲良く暮らしたいものだが、そんな環境は余程の山郷でないと許されないのであろうか。
おちょぼ口を四方に向けて花開く
姫踊子草にこころ和みぬ
常ならば緑葉なるにこのたびは
紫がっかった若葉に出会いぬ
雰囲気の厳かなるかな紫を
帯びた若葉の醸す気配は
何時の日かひめおどりこそうを試さむか
天麩羅おひたし或いは和え物
野に生える草花と共に暮らさむか
自然を朋に自然に抱かれ