「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「青梅二つ」

2014-05-19 00:28:12 | 和歌

 葉隠れに「青梅二つ」が見つかった。

 「うつろ庵」には「蘇芳梅」の古木と、名前を失念して気の毒な白梅の、二本の梅が
ある。 蘇芳梅は樹齢約八拾年を超え深紅の花を愉しませて呉れるが、残念ながら梅の実は生らない。

 それに引き替え白梅は、鉢植えの盆栽仕立を路地に下ろしてまだ幾許もないので、
背丈はまだ1メートル程度だ。昨年は50個ほどの青梅を収穫して、「梅味噌」を調理して堪能した。虚庵夫人は梅酒用のホワイトリカーを既に購って、虎視眈々と狙っているのだ。虚庵居士は梅味噌に仕立てて、晩酌や食事の調味料などで愉しみたいと、虚庵夫人とネゴシエーションを繰り返しているが、何れに軍配が挙がることやら。

 若葉を掻き分け、やっとの思いで「青梅二つ」をカメラに収めたが、昨年に劣らず
かなりの数の青梅が生っていた。 盆栽仕立てでは青梅の収穫など及びもつかな
かったが、路地に下ろして青梅争奪戦を演じようとは、望外の愉しみを見出した。

 老夫妻が激しい駆け引きを展開中などとは想像すべくもなく、ふくよかな青梅の肌は、極上の緑ビロードが見事であった。




           収穫にまだ間があるにも拘わらず

           青梅狙ってジジババ競いぬ


           おさな木の青梅の数は限りあれば

           梅酒にせむか 梅味噌にせむや


           青梅をめぐる競いも楽しけれ

           手練手管のネゴシエーションも


           若葉分けて青梅探せばふくよかな

           青梅二つに陽射さしきぬ